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2019/08/25

アプリストアのスクリーンショットを変えてCVRを2倍にする方法 #ASO #アプリマーケティング

ASO に関するマニアックな知見を深掘った記事が一部界隈で人気の、知る人ぞ知る職人集団・リバティーンズ社
今回さらに ASO の中でも「スクリーンショット」という一要素にフォーカスして、詳しく話を聞いてきました。

え、スクショだけでこんなに内容あるの...?
ってぐらいのボリュームあるので、業界関係者の方はぜひ最後まで読んでみてください。
手前味噌ながら、けっこう面白いです!笑

ではいつも通り、インタビュー形式でどうぞ!



スクショってどうして大事なの?

ぼく:そういえば先日 Apple と一緒にやったセミナーどうでした?

リバティーンズ社 堂道さん (以下「堂道」):初めてのセミナーでめちゃ緊張しました。色々ボケたり笑いも取りつつ真面目に話したかったんですが、ほとんどボケられなかったです。

ぼく:セミナーでボケてスベるとほんと辛いんで、やらなくてよかったと思いますよ。


堂道:ただ言いたいことは伝えられたのかなとは思いますが...。この記事で補足できると嬉しいです。あと Apple の瀬尾さんはやっぱりすごい方でした。

ぼく:元 Google, Twitter のレジェンド・瀬尾さんですね。Apple の人ってセミナーとか出るんだ〜、ってちょっとびっくりしました。

堂道:勉強になりましたね。次のセミナーでは今回の反省点を活かしてがんばります。

ぼく:では今日の本題です。新しいアプリをダウンロードするときに、ぼくから見ても「スクショがイケてないなぁ」って思うことがあるのですが、ASO (App Store Optimization = アプリストア 最適化) 観点から見てもスクショって重要ですよね?

堂道さん feat.ハンバーガー

堂道:重要です。ASO は「インプレッションの最大化」と「CVR の最大化」の 2 つの両方を達成しないといけないのですが、プレビュークリエイティブ、いわゆるスクショは後者の CVR のほうに効いてきます。

ぼく:ふむふむ。ってことは、キーワードの順位だけ上げて「ASO できた!」って言ってるのは不十分?

堂道:その通りです。テキスト改善によってキーワード検索順位を上昇させ、ストア内でのインプレッションの最大化を達成できたとしても、実際にインストールまで繋げられないと意味がないですよね。

ぼく:検索でユーザーにアプリが露出されたとき「インストールされるか」に影響を与えるものがスクショなんですね。

堂道:だけではないですけどね。説明文の内容や、ユーザーレビューのスコア、アイコンなんかも CVR に影響を与える要素です。ただ、プレビュークリエイティブはその中でも影響が最も大きいものの 1 つです。

ぼく:やっぱそうなんですねー。

リバティーンズ社 中島さん (以下「中島」):例えばこれは一例ですが、海外のストアで「dating game」って検索した時に上のスクリーンショットと下のスクリーンショットどちらがわかりやすいか、という話です。上のほうが視認性高いですよね。

↑検索結果1位
↑検索結果2位

ぼく:1枚目のほうは、なんというか、1m 離れて見てもなんのゲームか分かりますね。

中島:そうですね(笑)。アプリがユーザーに表示されたあと、コンバージョンへのユーザーのモチベーションを支え、つなげる役割をスクショが担っていると考えています。

ぼく:スクショが悪いと、せっかくアプリがユーザーの目の前にあっても、目に止まらなかったり、「アプリ DL したい」っていう元々の気持ちが冷めちゃったりするわけですね。

中島:その通り。また、ここで言うコンバージョンとはインストールのみならず課金やリテンションなど、インストール後のユーザー行動まで含みます。

中島さん feat ハンバーガー

ぼく:なーるほど。運良くアプリを DL してくれたとしても、「このアプリすげぇ良い!使いこなしたい!」みたいな気持ちではなくなってしまうと。スクショがショボいと。

堂道:そういうことですね。なので、ストアクリエイティブは課金やリテンションにまで影響を及ぼす重要な要素であると言えます。

ぼく:深いなぁ。付き合い始めの男女が、すでに気持ちがちょっと盛り下がってるカンジに近いですね。

中島:ちょっとよくわからないです。

スクショ改善の TIPS


ぼく:スクショのクリエイティブを改善するって一口に言っても、単にデザインをオシャレにするってだけの話ではないんですよね?

中島:はい。デザイン性も低いより高いに越したことはないのですが、それより大事なこと、考えないといけないことがいくつもあります。

ぼく:差し支えなければ、そのへん詳しく教えてもらえたり...

堂道:っていうか今日の会ってそういう趣旨ですよね(笑)。

ぼく:いいんですか!?やった!!

ここのハンバーガー美味ぇ

中島:まず、ツールアプリなのかゲームなのかで、少しずつ最適な作成方法が違います。ツールアプリは機能を訴求し、ゲームアプリはゲーム内容だったり世界観を訴求したほうが効果がよいです。

ぼく:なるほど。非ゲームなのに、そのアプリで「出来ること」ではなく「世界観やビジョン」を推しちゃったり、ゲームアプリなのに機能を全面に押し出したりするのは、効果悪くなることがあるってことですね。

中島:そうです。例えば非ゲームアプリの場合、検索結果からいきなり詳細ページに行く前に、いくつか検索上位のアプリをスクロールして眺めたりしないですか?

ぼく:しますね。その中で気になったものだけ詳細ページを見にいきます。

中島:なので、スクリーンショットの視認性を高めることによって、詳細ページに至るまでのクリック率を上げることができます。

ぼく:なるほど。これ重要ですね。

中島:また、詳細ページに行かなくてもアプリのコアとなる特徴を強く押し出すことで、検索結果一覧ページからの直接のインストール(コンバージョン)を増やすことも出来ます。

ぼく:あー確かに。こんな機能を持ったアプリが欲しい、って明確な目的を持って検索してる場合とかは、1 枚目のスクショだけ見て問題なかったらすぐダウンロード、ってやるときありますね。

中島:なので、どんなキーワードで検索されたときに自分のアプリがよくダウンロードされているのか、っていうのを把握した上で、そのユーザーの検索欲求を満たす内容をプレビューに含めるというのは大事な ASO のテクニックです。

これとかスクショ上手いよね、みたいな話をしてる

ぼく:なるほど。スクショのところに動画を入れるのはどうなんですか?

堂道:ゲームに関しては静止画より動画のほうが良いことがあるので、そこの PDCA も回す必要がありますね。

ぼく:あれっ、動画のほうが絶対良いよ、ってわけではないんですね。

堂道:そうですね、実は 100% そうとも言い切れなかったりします。

ぼく:意外だ。他にどういう TIPS があるんですか?

堂道:アプリに関わらずほぼ共通するエッセンスとしてはこんなかんじです。
  • キーワードの掲載
  • ユーザーにとって具体的な表現
  • 重要なところをフォントサイズや色を変更して強調
  • アプリ内画面を訴求
  • スクリーンショットの配置

ぼく:多分いつものパターンからして、1 回外注していいの作ったら終わり、とはならないんですよね?

堂道:そうですね、それらを色々仮説立てしながら PDCA を回す必要があります。なので、数字を見ない・見れない立場の人や業者が担当するのはダメなんですよね。

ぼく:いわゆるグロースハッカー的なアプローチが必要なんですね。

堂道:その通りです。実際我々が過去に改善を手がけた事例で、ツールアプリで CVR が 150% 増、ゲームアプリで 300% 増になったものもあります。具体的なアプリ名を公開できないのが心苦しいです。

ぼく:ちゃんとやらない場合の機会損失は相当大きいですね。案件名はこっそり教えてください(笑)

教えてもらったのですが名前出せないので、ハンバーガーの画像をどうぞ

OS ごとの違いにも注目


ぼく:ぼく iPhone 使いなので、勝手に脳内で App Store を想定してたんですが、これ Android でも同じですか?

堂道:考え方は同じですが、iOS と Android ではクリエイティブ面で重要となる場所が異なります。

ぼく:といいますと?

中島:iOS はスクリーンショットが最重要ですが、Android はアイコンの重要性が iOS よりも大きいです。

ぼく:そうなんですね。Android ユーザーのほうがアイコンをよく見てるってことですか?

中島:ではないですね。iOS は基本的にはインストールは検索結果一覧の画面から発生します。キーワード検索ではない、カテゴリ検索でも基本的には同じ UI です。

ぼく:そうっすね。

中島:Android は実は検索結果画面以外の流入経路が iOS より多く、より目立つんですよ。例えば、アプリストア側で用意している特集コーナーや、類似のアプリなど。

ぼく:確かに、そういうの多いですね。

中島:そういった枠では、アイコン以外に注目されるポイントがないため、アイコンがより重要になります。

「google play 2019」の画像検索結果
一階層奥に入らないとスクショが出てこない Google Play

ぼく:iOS でも「その他のおすすめ」って欄ありますけど。

中島:アイコンが占める面積が Google Play よりも小さく、アイコン以外のタイトル・サブタイトル、もしくはカテゴリ名といったテキストが目立つため、アイコン改善によるインパクトが Android よりも薄いんですよ。

ぼく:なるほどおお。ここもっと詳しく聞きたいけど時間もないので、次のインタビューでお願いします。

さぁスクショの改善を始めよう


ぼく:これ実際にスクショの改善するってなったら、何から手をつけたらいいんですか?

堂道:Android は Google Play Console の機能で A/B テストがあるので、Android のみでやりがちですが、両 OS でやることが理想です。

ぼく:iOS か Android かどっちかだけじゃダメですか?

堂道:やっぱり理想は両方やることですね。ユーザー層が違えば、前述の通りアイコン・スクショが見られる場所も機会も違うので、OS によって違う結果が出ることがあるためです。

中島:両 OS で AB テストを回すと、OS ごとに最適なスクリーンショットが出来あがります。

「ポテトくれよ」「ちょww」

ぼく:でも、iOSはどうやってA/Bテストやるんですか?

中島:iOS は Apple Search Ads のクリエイティブセット機能を使うことで PDCA を回せます。Android はさっきも言ったとおり Google Play Console  にその機能があることは多くの方がご存知かと思いますが、ASA (Apple Search Ads) でも PDCA が回せるのはあまり知られていないのかなと思っています。。

ぼく:クリエイティブセットを使えば iOS でも A/B テストが…!しかも ASA で回すから、ポイントとして挙げられていた〈キーワード〉や〈表現〉など、スクショの中でどの要素を推すのかを決めるための検索広告のデータも得られちゃうんですね。

中島:ですです。なんの根拠もなく勘だけでPDCAを回そうとすると結局うまくいかないことが多いから、そこも注意が必要なんですよね。

ぼく:そのへんの運用・改善ノウハウがない場合は、リバティーンズさんにお願いすればいいんですよね。

堂道:はい。以前から記事に書いていただいているので坂本さんはご存知だと思いますが、我々は広告運用のところで手数料をいただくだけで、スクショやアイコンの改善はもちろん、ストア内でのキーワードの順位上昇というサービスも無料で行っています。

ぼく:広告運用だけやってくれる代理店よりもお得ですね(笑)。

堂道:運用部分でも実績が多いのできちんとパフォーマンスは出しますが、検索広告のミソはそこから得られたデータをどう ASO に活用するかですからね。どちらかしかやらない事業者を使うのは勿体無いです。

ぼく:理解できました。今日も色々教えていただいてありがとうございました!記事書くたびに「紹介してくれ」って連絡をたくさんもらうので、今回も多分いっぱい紹介をお願いすることになると思います(笑)。

また忙しくなっちゃいますね(ニヤニヤ



こんなかんじです!

リバティーンズさんのサイトはこちら
 
紹介ご希望の方は、フレンドの方は Facebook のメッセで、それ以外の方は Twitter @tatsuosakamoto (DM 開放してます) までお気軽にどうぞ!


Q

2018/07/30

いよいよ日本でも開始!『Apple Search Ads』について必ず知っておきたいポイント

 
ぼく:以前から出る出ると言われていた Apple Search Ads (アップルの検索広告) ですが、いよいよ本当にこの夏に日本でもリリースされる (※) ということで、既に US で Apple Search Ads の運用をされていて色々詳しいというリバティーンズさんにお話を伺いにきました!

堂道さん (以下「堂道」)・山口さん (以下「山口」):よろしくお願いします!

後で出て来ますが、Search Ads Advanced は 2018/8/2 8AM、Basic は 2018/8/23 2AM から利用可能になります。(Apple 公式ページ参照)

ぼく:以前にもリバティーンズさんにはこの blog でインタビューさせていただきましたが、ASO と検索広告にむちゃんこ詳しいですよね。

参考→ 2018年注目の『アプリストア検索広告』とASOについて抑えておきたい5つのポイント

堂道:そうですね、ASO と、Google, Apple のアプリの検索広告に特化して事業を行っているので、日本では一番最新情報に触れているんじゃないかと思います。

堂道さん。元ケミストリー、ではない

山口:自分たちでもアプリを出していて、昔から試行錯誤を繰り返しながらノウハウを溜めてきているというのも、他の ASO 事業者さんにない特徴かなと思います。

ぼく:いつも色々教えてくださってて、すごい勉強になってます。早速なんですが、Apple Search Ads についてざっくり教えてください。

Apple Search Ads (App Store 上の検索広告) とは


堂道:Apple Search Ads とは、一言でいうと「App Store 専用キーワード検索連動型広告サービス」です。

ぼく:App Store 内でユーザーがキーワード検索を行った際に、検索結果一覧の一番上に広告枠が出てくるよ、っていうやつですね。Google Play では既にありますよね。

堂道:はい、その通りです。iOS11 の App Store から導入され、アメリカでは 2017 年 2 月 5 日からサービス開始していました。日本では 2018 年 8 月に開始されます。


ぼく:1 年半も間が空いてるんですね。US にアカウントがないと使えなかったんですか?

山口:アメリカ以外の企業でもアメリカに公開しているアプリであれば出稿可能でした。例えば日本の事業者のアプリでも、アメリカの App Store に公開されているアプリであれば Search Adsは実施できたんですよ。

ぼく:へー!じゃあ日本でも実は使ってた人はけっこういたんですかね。

堂道:どうですかね。英語にローカライズしていないとそもそもダウンロードされませんし、アメリカでプロモーションを行えるような日本のアプリ自体それほど多くないですからね。

山口:ただその中でも我々は自社・他社アプリ含めて Apple Search Ads をかなり運用してきて、ノウハウもけっこう掴んでいます。

山口さん、心なしか前回より痩せた気がして嫉妬

ぼく:相変わらず早いですねw ストアの検索上位に出したいというアプリパブリッシャのニーズを考えると、Search Ads 自体はかなり使われているであろうことが想像に難くないです。

山口:おっしゃる通りで、Apple の Search Ads の北米での売上は 2018 年 6 月末現在で約 1,000 億円あります。

ぼく:ぬおーまじっすか!プラットフォーマー強ぇ...

Apple Search Ads でできること


堂道:もう少し詳細に、Apple Search Ads で出来ることを説明しますね。

1. キーワード入札


iPhone・iPad ユーザー (選択可能) が検索したキーワードに合わせ、広告を出稿可能です。
例えば、「RPG」というキーワードを入札している場合、「RPG」と検索されたときに広告が表示されます。
Google と同じように「完全一致」と「部分一致」の概念が存在します。

2. 検索上位表示


広告はかならず検索結果の最上位に配置されるため、実質的に検索順位の最上位への掲載を実現可能です。
検索結果につき広告は 1 枠しか表示されません。

3. 掲載データの取得


Apple Search Ads では、特定のキーワードで広告が表示されたときの表示回数・インストール率等のパフォーマンスが詳細に閲覧できます。
ここから、効果のいいキーワードの特定などが可能です。

Apple Search Ads 実施のメリット


1. 市場規模の大きさ 


Apple Search Ads の北米での総売上は、2018 年 6 月時点で約 1,000 億円となっており、日本でも相当に大きなボリュームになることが予想されています。
巨大な市場内で、狙いたいユーザー層を選定可能です。

2. コントロールがしやすい


Apple Search Ads は入札キーワードの入札金額や、出稿したいユーザーの性別・地域など、詳細な設定が可能です。
これにより、パフォーマンスの可視化や調整・最適化が容易な広告媒体であると言えます。

3. 他方面へのデータ活用


Apple Search Ads ではキーワードの詳細な掲載データが閲覧できます。
これにより効果のよいキーワードを特定し、クリエイティブ作成や SEO (ASO) 施策へ活用できます。
また Search Ads は広告グループ毎に最敵なスクリーンショットの “出し分け” が可能で、効果的なスクリーンショットの提案にも繋げられます。

Search Ads と ASO の相互活用


ぼく:ありがとうございます。検索広告といえば最初にぶつかる壁が、キーワードの選び方だと思います。おすすめのキーワードの選定方法ってありますか?Google のようなツールがあったりするんですか?

堂道:Google のキーワードプランナーの様に具体的な月間ボリューム件数は把握できないですが、Apple Search Ads の管理画面で登録してみたいキーワードの候補を入力すると「人気度」みたいな形でおおよその検索ボリュームが表示されます。
画像をクリックして拡大

ぼく:なるほど。でもそれもキーワードの候補があっての話ですよね。

山口:そうですね。なので我々が運用させていただく場合には、過去の ASO や Google の検索広告の運用データから、それぞれのアプリに対し最も効果が高いであろうキーワードを推定し一度運用します。その後、結果の実数値と照らし合わせて再度キーワードを調整します。

ぼく:ほ〜、それは過去からやってきてる知見が活きそうですね。レポートではどのような情報が得られるのかも気になります。

堂道:Search Ads の管理画面ではキーワードごとのトラフィック、CVR、CPI、CTR、TTR (tap through rate) などが見れます。

ぼく:なるほど、とりあえず獲得のところまでは十分なデータが管理画面だけでもとれそうですね。出稿時の課金形態は、CPI/CPC/CPM でいうとどれになります?

堂道:Apple Search Ads の課金形態は CPC です。我々がクライアントに提案する KPI は CPI または ROAS が一般的ですね。

山口:あと、実は Apple Search Ads には 2 種類の出稿形態が存在するんですね。

ぼく:2 種類?

「2種類あるんだよねー♪」「ねー♪」

Apple Search Ads の 2 種類の出稿形態


堂道:はい。1 つ目 Apple Search Ads Basic は、大きく広告予算を使う余裕はないけれど固定の CPI でユーザーを獲得したいデベロッパーが実施可能なメニューです。月の予算上限はアプリごとに 50 万円で、現在はアメリカのみ実施可能です。

山口:今のところの予定だと 2018 年中には全世界で実施可能になるとは言われています。

ぼく:AppLovin でいう self serve みたいなもんですね。

堂道:もう 1 つは Apple Search Ads Advanced というやつで、こちらが CPC メインで大きくユーザーを獲得したいユーザー向けです。こちらは予算上限はありません。

ぼく:なるほど。CPI は保証されないかわりに、そのリスクの分だけ強くアクセルを踏めると。

堂道:はい、Advanced のほうは当然ながらきちんと運用しないと CPI が高騰してしまうリスクがあり、実際に他の代理店さんが CPI を合わせられずに撤退しているのを見てきています。

山口:特にアメリカで 2017 年に開始された時は色んな代理店やデベロッパーがこぞって参入した結果、全体的に CPI が高騰しました。でも 3 ヶ月後には効果が合わないといって皆さんやめていきましたw

堂道「パンうめえ」

ぼく:その速さはアメリカっぽいw

堂道:その中でも我々は顧客の要望を満たすことによってクライアントを拡大し、知見を得てきています。そのノウハウを最初からフル活用しながら、日本で最初に実施することで、良質なユーザーの囲い込むことが可能だと考えています。

リバティーンズの Search Ads 運用サービスの特徴


ぼく:これ聞いちゃうとノウハウ流出しちゃうかもしれないんですが...差し支えない範囲で、もうちょっと具体的に運用ノウハウについて教えてほしいです。例えば、ノウハウがないとどうなるんですか?

堂道:例えば、漠然としたキーワード入札により、キーワードランキング上昇がほんの僅か、最悪の場合一切上昇しない、なんてことにもなりかねません。

画像をクリックして拡大

堂道:まず施策の目的についてですが、他社は集客チャネルの一部としてのみ Search Ads を提供致しますが、ウチではオーガニック及び広告価値最大化による集客力の最大化を提供します。オーガニック・広告双方の集客効果を最大化し、アプリの集客を最大限高める施策をご提案可能です。

ぼく:すごい最大感ありますね!前回の記事でもおっしゃってましたが、広告単体でのパフォーマンスを高めて終わりではなく、広告で得た情報を ASO にフィードバックしてオーガニック流入を増やして、その逆もやって、っていうことですよね。

堂道:おっしゃる通り、リバティーンズの運用ではオーガニック・広告双方の効果を最大化します。それぞれどのような施策を行うかを紹介しますね。

①オーガニックに関して


オーガニックの最大化は、ASO (アプリストア最適化) によるキーワード順位上昇とオーガニック CVR 上昇で実現致します。それぞれ下記のように対応致します。

【キーワード順位上昇】

過去 8 年間に渡りASOを実施し続けていた経験から、キーワード順位上昇のためのノウハウを膨大に蓄積しています。
これにより、キーワード順位上昇のポイントを抑えたASOを提案可能です。

順位変動時や、App Store の検索アルゴリズム変更時などは、再度 ASO を提案し対応します。
(ちなみに多くのデベロッパーさんは気付いているかと思いますが、2018 年 7 月 15 日から App Store の検索アルゴリズムが変わっております。当然弊社では何が変わったかはすべて把握しております。)

ASO は基本的に無償で提供します。

また独自のノウハウにより、Search Ads の品質スコアや "類似アプリ" の最適化・パフォーマンスの調整が可能です。

【オーガニック CVR 上昇】

オーガニック CVR、つまりストアページに来たユーザーが実際にインストールしてくれる割合ですが、アイコンやスクリーンショット、レビュー等によって大きく変わります。
例えば、過去にスクリーンショット変更で CVR が 1.5 倍向上した事例もあります。

他の ASO 事業社さんの場合、ASO 施策ではキーワード上昇施策のみしか行われないことが多いです。
オーガニック CVR 上昇の施策を交えたご提案が、リバティーンズ運用の特徴であり強みです。

②広告に関して


リバティーンズの広告運用には下記2つの強みがございます。

【運用最適化】

過去 8 年間に渡り ASO を、アプリの検索広告はリリース時からずっと提供していた経験から、多数の知見を蓄積しています。
この施策は独自の運用により、ASO のキーワードランキング最大化にも寄与します。

【キーワードナレッジ】

過去の ASO の経験から、アプリのジャンル・カテゴリごとに、どのキーワードの効果が良いか、悪いかのようなキーワードナレッジを大量に保持しております。

このナレッジは広告運用の最適化を速め、ASO にも流用可能です。

両方やらんと意味ないねん、と力説

山口:他社では ASO・広告のどちらか一方を提供するケースが多いですが、リバティーンズでは上記 2 つの施策を組み合わせ、ASO・広告の効果を互いに最大化します。

ぼく:実際 ASO と広告って同時にやったほうがいいっていう客観的なデータとか根拠ってあるんですか?

堂道:実はあるんですよ。iOS において ASO と Search Ads に相関関係があることは、Search Ads 公式ページにも記載されております。
画像をクリックして拡大 / ソースはこちら

堂道:この画像はアップルのヘルプページのスクショです。

ぼく:ほんとだ...ASO きちんとやってれば、広告を出したときにもいい影響があるってことですね。逆にいうと、このへん知らずに適当にアプリ出してるだけだと、かなり機会損失生まれてしまいそうですね。

堂道:そうですね。実際我々が過去に運用したアプリでも、ASO と Search Ads を両方やった複合効果によってキーワード順位が上昇し、以降も安定した、みたいな事例がいくつもあります。ゲームでも非ゲームでも出来るというのもポイントですね。
画像をクリックして拡大

ぼく:ありがとうございます、今日もすごい勉強になりました。ぼくも AppLovin の新規事業で Lion Studios っていうパブリッシャーの立場になったので、あらためて色んな広告や ASO とかについても勉強しなきゃいけないなと思ってるんですよね。

山口:またアップデートがあったら話しに来ますよ。坂本さんの blog 読んで連絡くださる方、けっこういるのでw



今回の記事は以上です!
もしリバティーンズ社に ASO と Apple Search Ads 運用をお願いしたい・相談したい方がいたら、ご紹介可能なので気軽にお声がけください (*^ω^*)

この blog の内容が役に立った!っていう方はコチラから投げ銭をすることもできます。1 口 300 円、今後有益な記事を書いていくための原資にします!



Q

2018/05/11

【保存版】プログラマ・エンジニアを評価する方法

掲題に関する問いを Facebook に投げたところ、素晴らしい回答がたくさん集まったので、この知をより広く知ってもらうため、そして後世に残すために、内容をまとめておく。 

【問い】 プログラマ・エンジニアを評価する方法


先日「自分が正当に評価されていないと嘆く君へ」という、組織における人事評価に関するエントリを書いたせいで、読者の方からこんな相談が寄せられました。
皆さまの忌憚なきご意見・知見をお寄せいただきたく!

<相談内容>

例えばゲームやアプリの開発って、結果(アウトプット)が現れるまで数年ぐらいかかったりします。
その数年間の間に、真剣に作業に取り組む人もいれば、適当にサボる人など、色々差が出ると思うのですが、どうすればその差を、数年ではなくより(なるべく)短いサイクルで可視化できるものでしょうか?

評価の制度や指標をどのように設計すればいいか、あるいは、どのような設計方法があるのか、アドバイスいただけると幸いです。

(補足:相談者は、名古屋を拠点とする株式会社フリースタイル (http://freestyles.jp/) に勤めており、経営レイヤーから「エンジニアの評価制度を作る」というミッションを与えられた、エンジニア未経験者 - ご本人および経営陣から OK 出たので会社名追記しましたw)

集まった回答のまとめ


エンジニア組織にいる 3 つのジョブレイヤー

まず気をつけるべきことは、被評価者を「エンジニア」という 1 つのバケツにいっしょくたにせず、いくつかのレイヤーに分けること。つまり;
  1. 設計図とスケジュールが与えられていて、その通りに作るのが仕事の人
  2. ものを完成形まで作り上げることに責任を持つ人
  3. ビジネス課題を解決する、事業ゴールを達成するのがミッションの人
の 3 つのパターンがあることを理解する。

これらの 3 つは、必ずしも 3 > 2 > 1 の順番に偉い / 給与が高い必要はない。
「3」が達成出来ていなくも「1」がズバ抜けていれば「1」で評価すべきだし、掛け算でさらに高い給与にすることも必要かもしれない。
人材マーケットとの需給バランスでもあるため、高度人材になればなるほど評価は市場に依存させれば良い、という考え方もある。

評価する順番としては、
  • ビジネス課題から考えて解決できるレベルの人材に対しては「3」ベースで評価
    • もし3が達成出来なかった場合、プロセスおよび職能としての「2」で評価
    • そこでも評価しづらいエンジニアに対して「1」で評価する
という流れになる。

それぞれのレイヤーに対する評価方法


【3. ビジネス課題を解決する、事業ゴールを達成するのがミッションの人】はいわゆる KPI や KGI にコミットして貰って、そこで目標に対する達成度合いを計測する方法をとる。
あまりエンジニアかどうかは関係ない。

逆にこのレベルの人は、単に綺麗なコードをスケジュール通りに書ける、プロダクトを期限までに完成させられる、というだけでは評価されない。
それによって、会社や組織の定める事業ゴール・解決すべき課題を、達成できていないといけない。

定量的に評価できるので、ある意味では最も評価しやすいのがこのレイヤー。


【2. ものを完成形まで作り上げることに責任を持つ人】はアウトプットに対して評価する。
モノ自体を作る能力なので、QCD(※) のような一般的な SIer のノウハウで一定は観測可能。

(※ 「Quality (品質)」 「Cost (費用)」 「Delivery (納期)」 の頭文字を取った言葉で、主に製造業において設計・生産時に重視される3つの視点)

まず前提として、管理者が自分の裁量で、与えられたチーム・メンバーの実力で、アウトプットと開発スケジュールについてゴールを決めて関係者に共有・合意形成する。
(途中で大きな前提条件の変更があった場合は、計画をたてなおす)
その上で、できれば管理者として目標達成。
できなければ (自分がヘルプに入る、仕事を他の人に振り分ける、などで対応することが出来なかったということなので) 管理者のスキルが足りていないという評価になる。

管理者クラスにならないと成果物でのインセンティブは発生するべきではないという考えの人が多いようだ。
逆に、成果物でのインセンティブが欲しいのであれば、管理者になる (そのためのスキルを積む) ことが必要。
なおここでいう管理者とは、プログラマならプログラマの、グラフィックならグラフィックの責任者というイメージ。
他の職種の評価および業務の振り分けは難しい。


【1. 設計図とスケジュールが与えられていて、その通りに作るのが仕事の人】は "個の技術資産" に対する評価であり、「エンジニアの能力を評価する」と言ったときに恐らく多くの人が想起するであろうものがコレ。
ここは内容が厚いため、下記に別途章立てする。


"個の技術資産" に対する評価 - 誰が行うべきか


最も多く出た意見は「エンジニアの評価は、(優秀な) エンジニアが行うべき」というもの。
いくつかコメントを引用する。
  • エンジニアは特に、同僚からの評価が一番正しい
  • エンジニア未経験者がエンジニアを評価すると、だいたいエンジニアはどこかへ行く
  • ソースコードのよしあしは偉い人にはわからないし、売上にも進捗にも関係ない

なので、単に「上の人」が評価するだけでなく、例えばカヤックの行なっている「360度評価 (https://at-jinji.jp/blog/14848/ )」がいいのではないかという意見も。

エンジニア相互での評価のランクが【Aさん > Bさん > Cさん】で、給与も【Aさん > Bさん > Cさん】となってさえいれば納得感がある、という意見もあった。

どうして「エンジニアの評価はエンジニアが行うべき」なのか


エンジニアの「技術力」と呼ばれるものは、2 つの要素にブレイクダウンできるという意見が複数の人から出た。それは何かと言うと;
  • 他の人より仕事が早い 
  • 他の人が出来ないことができる
である。
この掛け合わせで、面積的に評価する必要がある。

前者の「く作れる能力」は、比較的、体感で計測可能。
なにしろ早いので笑。
後者は言い換えると「より難しい問題を解ける」能力で、これが特にエンジニア以外に計測が難しいポイント。

例えば;
  • 3 年後にきっとこういう改修が必要だから、エンドポイントを作っておいこう
  • 今はトラフィック少ないけど、1,000 倍になっても今書いているコードがボトルネックにならないように、ある程度高い処理性能が出ることを考えて実装しておこう
など、こういうことを考え予め実装できる能力が技術資産にあたる。

(もちろん、現在直面している難問を解ける、ということも含む)

こちらの方は「早さ」に比べて観測が極めて困難である。
なぜなら、初期に "未来を想定して" 実装されるものなので、アウトプット (完成物) やアウトカム (KPI/KGI) には現れないからである。

ゆえに、共に働くエンジニア以外には評価不能と言える。

具体的にどのように "個の技術資産" を評価するのか


①まずは、決められたスケジュールで、決められたものを作ることが出来たのかどうか。
その前提としては、上で出てきた「管理者」ロールの人が、誰に・何を・いつまでにやらないといけないのか、をきちんと定義できないといけない。

ちなみに欧米の会社だと、JD (Job Description = 職務記述書) や定期的 (半年とか四半期ごと) な目標設定で上記を明記し、 それを遂行できる人には決められた給料を払う、できなければクビ、という風になっている...っぽい。
たぶん。
たまたま自分が知ってる会社が "ちゃんと" 出来てるだけで、ほとんどの会社は実はグズグズなのかもしれないけど。笑

この評価は、ある意味では「進捗管理」とニアリーイコールになる。
「早さ」に対する評価はここに含まれる。


②次に、「スケジュール通りに決められたものを作った」とき、その中身を評価するプロセス。

中身とは具体例でいうと、 バグの少ない綺麗なコードを書けるとか、速く動くコードが書けるとか、ライブラリの使い方に精通しているとか、将来を見越して先に問題を潰しておけるかとか。

ちゃんと要求通りの味でチャーハンを作った 2 人のシェフがいたときに、こっちのシェフはニンジンの形を綺麗に揃えて切れてるねとか、完成した瞬間にすでにキッチンが片付いてるとか、翌日分の仕込みまで終わってるとか、そういったことかな。
客からは見えないし、「わかってる」シェフじゃないと良し悪しが判断できない。

「エンジニアの評価は、(優秀な) エンジニアが行うべき」というのは、エンジニアではない人、またはエンジニアとしてのレベルが高くない人には、この観点での評価ができないことが理由。

この観点での評価をどう行うかは、出ていた意見としては「数値化・制度化は困難」というもの。
まぁ確かに、決められたゴールを達成した上で、それプラスアルファの部分なので、定性的な評価にならざるを得ないという面はあるのかもしれない。

評価者となるのは、被評価者の管理者/上長など "上の人" が基本。
その人が日々の業務の中で、ソースコードをマージして読んでいれば、おのずとエンジニアのレベルは分かる、少なくとも複数いるエンジニアの相対的な評価は出来るはずだ、ということだ。

例えばお相撲さんが毎日稽古していて、誰が誰には勝てる・負けるというのは、稽古を毎日見ていれば自ずと解ってくるもの。
同じ組織で仕事していれば、相対的にだれが優秀かは解ってくるとのことだ。

この前提になっているのは、評価者がソースコードを見て、コードを書いた人のレベルを判断できる程度に十分優秀だ、ということ。
評価者は過去に、リードプログラマーとしてプロダクトをリリースまで持っていけた、など一定の実績がある必要がある。

なお、さらに 1 つ上のレイヤーの人になると、ソースコード読んでも分からない (あくまで管理職としてそのポジションにいる人であり、エンジニアとしての能力が高いからいるわけではないケース) こともあるので注意が必要。

インターネットサービス・プロダクトを開発するのは建築物を建てるのに似ていて、大工から電気工事から玉掛さんまで、いろんな能力を保有している人が必要になる。
なので、広く深く技術を理解して、評価できる人が 1 人でもいれば、評価としてrは安定する。それを CTO に求めているのが今の日本マーケットだと思うが、本質的には job description に分解して、情報工学上がりの人事部長がやることも可能。
今の日本では難しいかもしれないが - だそうな。 

評価者になれる人物が社内にいない場合は?


"個の技術資産" を評価出来ない組織、つまり、絶対的技術のトップがいない組織は、高電圧人材 (= 凄く難しいものをポンと解決できる人材) がいなくなる。
なので、常にアウトプットが出るわけではない (簡単な問題を解き続けることが不得意、飽きる) が、難問が発生した時に活躍する人材が欠乏する。

こういう組織は新規事業を作るのが遅かったり、トラフィックが突然増大した時にサーバーが落ちてどうしようもなかったり、といった事態が発生する。
また、そういう人材が評価されづらいので、その後も長きにわたってそういう人が集まりにくくなる。




以下は、上記の本論でどこに含めるべきか分からなかったが、トピックとして興味深かった点。

【オフトピその 1 - 日本と欧米の違い】


エンジニアの給料は欧米 (特に米国のテック系企業に顕著だと思う) のほうが日本よりも高い、特に優秀なエンジニアに対する払いは海の向こうのほうが随分高い、という議論がある。

この理由として、欧米では job description に書かれた業務が遂行出来なかったらクビ (契約解除) になることが前提だからこそ。
決められた仕事が出来ない人にまで給料を払う必要がないため、出来る人の給料が日本よりも相対的に高い (物価を考慮してもなお高い) のではないか、という議論があった。

そういう社会では、給料上げたければ、より給料の高い (仕事を出来るようになるか、スピード上げて仕事自体をたくさんやるかのどちらかしかない。

【オフトピその 2 - 正社員ではなく業務委託・契約社員】


より「出来る人に報いる」ため、日本でも欧米のような「出来なかったら去る」という状況を作り出すのは、雇用形態を正社員にすると難しい。
(解雇の条件が厳しいため)

むしろ、エンジニアを全員個人事業主の常駐委託契約にして、個別に条件交渉し、働き方も報酬も本人に決めさせる (合意の条件のもとで働いてもらう) という案も出た。
契約更新するかや、条件変更するかどうかは、都度判断というもの。

そのような世界線では、企業間での人材確保競争がより激しくなるので、企業としては優秀な人材を抱え込むこと難易度が高くなる。
が、他の企業が正社員中心で必ずしも優秀でない人材も雇用している状況のなかで、自社だけがこのような仕組みを導入したら、プロフェッショナルが残りやすくなる (優秀な人材はそうじゃない人材と一緒に働くのを嫌うという側面や、単に優秀な人材により高い報酬を払うことが出来るようになるので、相対的に採用力が増すという側面など) かもしれない。

【オフトピその 3 - アウトプットに対する報酬】


アウトプットに対して評価されるべきなのは、管理職・リーダークラス以上だけだ、というのがこれまでの論旨だが、高いアウトプットが出たときにそれより下のレイヤーのメンバーに報いてはいけないという決まりはない。

ある若いスタートアップの founder は、正社員の給与に関しては、基本給とインセンティブ給を分けるべきだという持論を語ってくれた。
(業務委託の場合は、決められた成果を達成したら決められた報酬が支払われるという契約関係なので、最初からインセンティブ給込み = わりと高給)

基本給はやってくれた仕事に対してあげるもので、インセンティブ給は成功を分かち合うというイメージ。
頑張ったことと、プロジェクト自体が成功するかどうかは別という考え方であり、頑張ったことに対しては基本給、成功したことに対してはインセンティブ給で報いましょう、と。

ぼく個人としては、これはいくつかの面で有効だなと思った。
  • 社内に「言われたことやってればいいんでしょ」というドライな雰囲気ではなく、「みんなで協力してプロジェクトを成功させようね」という一体感、協力し合おうという空気を醸成できる可能性がある
  • エンジニアが組織に属している目的が、「与えられたミッションを遂行して、決められた報酬をもらう」 + 「仕事を通じでスキルを高める (そしてより報酬の高い仕事を得る)」 だけでなく、「プロジェクトを成功させる」になる
  • それによって、エンジニアが自己と組織とをより同一視し、組織のゴールに対するコミットメントが深まったり、在籍期間が長くなったり (この組織が好きなんだ、この組織を成功させたいんだ、だからここにいるんだ) といった効果が期待できる (ような気がする)

また関連して、あるメガベンチャーの創業時からの CTO は、特に彼の新規事業チームに配属するエンジニアには全員「基本サービスがローンチして、利益出るまで据え置き」ベースで入ってもらっていると教えてくれた。
理由としては、"途中の評価は難しい" ことと、"評価プロセスが挟まることそのものがコストになってしまう" こと。
それよりは、2 年後成長してたらこのくらいの年収にはなってるよね、という年収をまず提示して頑張ってもらう方が良いかなと思っており、1 人 1 人とそういう話をして握っているとのこと。

(ただし、明らかに報酬が低いなと思ったメンバーは、途中で上げることもあるそうな)

この方法も、サービスを最低でも期待以上のクオリティでローンチさせ、成長させ、利益を出すことに対するメンバーのコミットメントを高めることができるという点がメリットになる。
また、スタートアップや新規事業など、全員がプロダクトの完成や成長にコミットすべきシーンでは、評価制度がどうとか報酬がどうとか議論するのに時間を使うのが勿体無いので、リソースを本来やるべきことにフォーカスさせるという利点もある。

一方で、想定通りにいかなかった場合 (サービスがリリースされなかった、リリースされたけどうまくいかず利益が出なかった、など) にどうするのかという問題がある。
また、口約束ベースだった場合、約束が果たされないとか、約束した相手が途中でいなくなってしまったりといったトラブルも考えられるので、よほど性善説にもとづいてやるか、よほど信頼のおける相手・組織でないと、安易に導入するのは難しいのではないか。

【オフトピその 4 - 評価その他】


某大企業歴戦のマネージャーからはこんな意見もあった。
"エンジニアに限らずだけど、1. 会社として定める「仕事に臨む姿勢」についてその人を周囲の人が評価する、2. その人が挙げた「成果・実績」をマネジメントが評価する、の2本柱でやってる。"

頑張ってやっていても、たまたま成果や実績につながらないときは確かにあるわけで、そのときにバサッとマイナス評価されてしまうと、確かに従業員としてはやる気なくしてしまう。
そんなときに「ちゃんと頑張ってたよね、見てたよ」と言われると救われるというのは納得できるし、そのときの評価者は (ともすると日々の仕事への取り組みまで細かく見てはいないかもしれない) 上長・管理者ではなく、周囲の人 (peer) だというのも納得感ある。

先日の自分の post 「自分が正当に評価されていないと嘆く君へ」でも、上の人が正しく自分を評価してくれることは期待するな!と断言したので、その主張にも合っていてちょっと自信がついたぜ。

最後に、エンジニア・マネジメントとしての大先輩 2 名からのメッセージを (若干編集して) お届けして、本 post を締めたいと思う。

- エースのエースたるゆえん - 


「ルーキーとエースを一緒くたにしたらあかん」
それなりの成績を長期間安定して続けてきたからこそのエースですから、かりにまぐれ当たりでルーキーが 20 勝してもエースと同じ年俸上げるわけにはいかないですよ。
ルーキーからエースになるまでには、それなりには年棒は上がっていることでしょう。
じぇどそこから先は、プロダクツによる成果が上がらないと評価されませんよ。
エースが 10 勝程度では評価されませんよと。

チームを勝たせてこそのエースです。

- エンジニアが正しく評価される組織作り、未だ道半ば -


若い業界ですし、現場上がりの管理職が増えるのはあと10年後くらいでしょうか。
先陣の皆様には頭が上がりませんが、後陣により良い道を残せるように頑張って参ります。


元スレ→ https://www.facebook.com/tatsuojapan/posts/10156073918866328  (ぼくのフレンド限定)

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Q

2018/05/08

日本のハイパーカジュアルゲームアプリが世界でヒットしない理由

まず大前提として、この記事は「だから日本のアプリ/アプリ開発者はダメなんだ!」と偉そうに批判したり、「俺のほうがよく知ってるぜ!」とマウントを取りにいったり、といったことを目的としていません。


むしろ逆に、(自分がものづくり出来ないぶん特に) クリエイターの方のことを心からリスペクトしているし、日本に生まれ育ち・日本のゲームを楽しみ・日本のアプリデベロッパさんに非常にお世話になってきている身として、自分の持っている知見を業界に対して還元したいと思っています。

願わくば、この記事が日本のゲームデベロッパさんのお役に少しでも立ち、日本初でグローバルに大ヒットするゲームがどんどん出てくるようになればいいなと。



いまぼくは仕事として、日本だけではなく世界中のインディゲームデベロッパさんと一緒に、大ヒットするハイパーカジュアルゲームを作り出そうと奮闘しています。

「ハイパーカジュアル」についての説明は端折りますね。
詳しく知りたい方は こちらの記事 をチェック。

当然ながら全てのゲームがヒットするわけではないのですが、特に日本の (ぼくが積極的に関わっている) ハイパーカジュアルは今のところ残念ながら全敗。。。
諦めずにいろいろ試行錯誤しているところです。

ですが色々チャレンジする中で、失敗する理由にはいくつか共通点があるらしいことが見えてきました。
それも、わりかし「日本の」ゲームアプリに特有の理由。
下記にそれを記載します。
(前置き長かったなw)



1. デザイン

「デザイン」と大きく 1 つにまとめましたが、これは全く意味の違う「見た目」と「ユーザー体験」の 2 つの意味を含んでいます。

1-A. 見た目がマス受けしない = スケールしない

よくありがちな「一見イケてるんだけどグロースさせるのが難しいゲーム」が、可愛い猫とか鳥とか豚とか、動物をモチーフにしたゲーム
欧米のトップチャートを見てもらえればわかると思いますが、こういったゲーム、特に "いかにも日本っぽい" イラスト調のグラフィックで大ヒットしているゲームは、基本的にありません。

(例外としては、すでに IP になっている Angry Birds、ボクセル調の Crossy Road、たまたま有名 YouTuber に取り上げられた Flappy Bird など)

動物モチーフでワンチャンうまくいく可能性があるのは、日本と、文化的に近い東アジア (中国、韓国、台湾) ぐらいではないでしょうか。
ちなみに「うまくいく」の定義は、誰にも注目されてないとこからのスタートでも、プロモーションで黒字を維持しながら売上を押し上げて、月間売上で 1,000 万円を達成する、ってかんじかな。

同じことが動物モチーフ以外に、メインキャラクタが人間なんだけど絵がマンガ調のものや、細かいドット絵のものなんかにも言えます。
ゲーム自体は面白いのに、うぁぁそのテーマを載っけちゃったか...と感じるゲームは正直少なくないです。

これらのグラフィックに共通することは何か?

「見た目がイケてない」というつもりは無いです。
むしろ単純なビジュアルのクオリティでいうと非常に高いものもあります。
ただ決定的に言えるのは、「好きなユーザーと全く響かないユーザーに分かれてしまう」ということです。

ドット絵も、可愛い猫ちゃんも、アニメっぽいイラストも、全体の (わかんないけど) 3-6 割ぐらいは「好き!」っていうユーザーがいるのかもしれないですね。
が、逆に「このゲームは自分向きじゃないな」と思うユーザーも無視できないぐらいの割合いるようです。

例えばドット絵でいうと、いわゆるゲーマー層は好んでプレイするけど、女性の多くは逆に敬遠してる、とかなのかもしれません。
いや、実態どうかは知らないんですけど、傾向としてはどうやらそうっぽいんですよ。

それが何にあらわれるかでいうと、低 CPI で大量のユーザーを獲得するのを極めて難しくします。
広告わかる人向けに書くと、CTR, CVR がいずれも「幅広いユーザー層を対象にしたハイパーカジュアル」に比べて数割低くなってしまうため、CPM を上げられず、リーチがとれなくなってしまうのです。

プロモーションしたところで、CPI $0.5 だと 1 日に 100 件ぐらいしか獲得できないね...でもこれ以上は CPI 上げられないしね...詰んだわ...
となっちゃうわけです。

じゃあどういうのが良いかっていうと、あんまりラクして知っても身につかないので、とりあえず US App Store ランキングの過去半年ぐらいで TOP 25 に入ったハイパーカジュアルゲーム全部やってからね!





...って突き放せないのが優しすぎるぼくの罪。
これが全てではないのだけど、「フラットデザイン」 「無機質」 「「ミニマル」 「サイバー感」 「現代アート風」 「ボクセル」このあたりがキーワードとして挙げられると思います。

でも真剣に、20-30 個ぐらいトップクラスのハイパーカジュアルゲームやれば、デザインのことだけじゃなく、マネタイズや継続率 UP のポイント/ベストプラクティスなんかもだんだん掴めると思います。
本気で世界目指してるならここはサボらずにしっかりやるべきかと!

1-B. ユーザー体験

1-B-a. そもそもデザインの基本ができていない

専門外なので適切に表現できるか自信がないんですが...見てる感じ、大まかに分けると
  • 本来の階層構造とビジュアルが合っていない
  • ユーザーにとらせたい行動をビジュアルが合っていない
のいずれか、または両方が起きているゲームが多いように思います。

例えば、タイトル画面に
「プレイする」 「対戦プレイ」 「練習する」 「設定」 「SNS ボタン」 「自分の別アプリのアイコン①」 「自分の別アプリのアイコン②」
のボタンが、同じような大きさで、並列で並んでいるようなイメージ。
この気持ち悪さ、伝わるかな
この例でいうと、例えば Single play, Multiplayer, Practice をそれぞれ出すかわりに、大きく "Play" ボタンを中央に表示し、クリックしたときに次の階層で Single play, Multiplayer, Practice のどれにするかを選ばせる。
(階層構造を整理しつつ、一番やらせたい "Play" を物理的に押しやすくする)

同様に Twitter, Facebook シェア? 連携? のボタンは Settings の中にでも入れて、自社の別アプリのアイコンも直接ここには出さず、自社アプリ紹介コーナーでも作ってそこにぶち込んでおく (階層が合ってない / 重要度が低い)。
かわりに、ユーザーニーズが高く、収益にもダイレクトに効いてくるアプリ内課金への導線でも入れておくと良いと思います (ストアがあればそこへの導線、なければ広告除去など)。

階層を作って、重要度に応じて大きさを変えるだけで、ほらこんなにスッキリ。
分かるかな

このあたりは、できればちゃんと勉強した人、そうでなくても直感的に出来ている人はそのへんにいると思うので、自信がない人は素直に意見を求めにいったほうが良いです。
ぼくでよければ全然見ます。

これ次どこタップしたらええんやろ?っていうゲーム、ほんとに多いですから...

1-B-b. レベルデザイン

一言でいうと、難しすぎるゲームが多すぎます。
すぎる、って 1 文で 2 回使っちゃったよ、文章力ないかよ。

まずはこの スーパーマリオのステージ1-1から学べるUX という名記事を 3 周ぐらい読んでください。
短いし図解多いので、すぐ読めます。

スマホゲームの場合、スーパーマリオのステージ 1-1 でさえ難しすぎますし、そもそもファミコンのマリオは操作が難しすぎます。
(スマホ版のマリオについては賛否あると思いますが、僕はあれ最高にスマホに最適化してきたなぁと感動しました)

まず、ほとんどのスマホのハイパーカジュアルゲームでは、プレイ時の操作方法は 1 種類のみです。
「タップする」 「連打する」 「スワイプする」 「長押しする」 などなど。

あの名作 Crossy Road でさえ、「基本はタップ + 時々スワイプ」という 2 種類の操作の組み合わせなので、ちょっと難しすぎるのです。
(2018 年版で出しなおすなら、スワイプの動きはなくして、タップだけのタイミングゲームにしたほうがいいんじゃないかと思います)

また難易度も、 スーパーマリオのステージ 1-1 って、ほっとくとクリボーに当たって死ぬじゃないですか。
これダメです。

なんじゃこりゃ!死んだわ!むっず!
避けたらええんか?やっつけたらええんか?
どうやったらええかちゃんと教えろや!

ってストレスを感じて、それが序盤で 3 回ぐらい続いたら死んで (= 離脱して) しまうのがハイパーカジュアルゲームのユーザーです。
理不尽だと思いますか?
そういうもんです、諦めてください。

例えばスーパーマリオのステージ 1-1 なら、クリボーが近づいてきて「今!飛んで!」っていうタイミングで、全ての時を止めて、画面上に「TAP!」って文字と動く指のイラストを出して、ユーザーが画面をタップしたら再度時を動かして、なんというか 3 歳児でも死なずに必ずクリアできちゃうような、そんなレベルにまで難易度を下げるべきです。

キノコも、万が一とらずに先に進んでしまったら「キノコは強化アイテム」ってことを知らずに進んでしまうので、初回プレイ時はハテナブロックを叩いてキノコを入手するところも上記同様の 99% オートプレイ。

1-2 でいきなり難しくなるとこれまたそこで脱落しちゃうユーザーが出るので、序盤のほうは簡単なステージを続ける。
イメージとしては、最初の 10 分は幼稚園児でもクリアできるレベル、次の 10 分は小学校低学年、その次の 10 分で小学校高学年、そこからしばらくずっと中学生レベル。
ってかんじ。

かつ、序盤のほうになるべく「そのゲームを面白くする要素」をたくさん体験させる

例えば、経験値をためてレベル上げをしていくドラクエのようなゲームであれば、レベルが上がるタイミングを【3, 5, 10, 20 バトル目】にするのではなく、レベル 10 ぐらいまでは毎バトル後にレベル上がる、ぐらいの勢いで。
(そのかわりレベル上がったときに増やすステータスは小さめでもよい。成長実感さえあれば)

スライムと戦う → 経験値もらう → レベル上がる (気持ちイイ!脳汁ブシャー) → スライム 3 体を楽勝で倒せるようになってる (脳汁ブシャー) →  レベル上がる (ブシャー) → ドラキーも 2 ターンぐらいで倒せる (ブシャー) → レベル上がる (ブシャー) →・・・

というかんじで、このゲームは「敵を倒して、経験値を上げて、レベルが上がると気持ちイイ!そして強くなって、敵を楽に倒せるようになって気持ちイイ!を繰り返しながらどんどん先に進んでいく」ものなんだよ、っていう脳汁出るサイクルを、なるべく序盤のほうに高速で体験させるのであります。

なぜかというと、スマホユーザーはコンソールのように、ゲームを入手する段階で何千円も払っていません。
カジュアルゲームのユーザーはソシャゲのように、ゲームを始める前に何百メガバイトもデータをダウンロードさせられていません。

要するに、入り口のハードルがめちゃ低い分、よそのゲームに乗り換える心理的ハードルもめちゃ低いのが、ハイパーカジュアルゲームのユーザーなんです。

なので、あなたのゲームの面白さがわかるまで我慢して遊んでくれるなんて、思っちゃいけません。
操作は最初ちょっと難しいけど、学ぶまで 10 回も 20 回も遊んでくれるなんて、期待しちゃいけません。

最初っからプレイできて、すぐに脳汁が出て、思考停止した状態でも數十分ぐらいは気持ちよく遊んでくれる、そのレベルにまで難易度を下げてください。

ステージ制のゲームを作ってる方は今すぐに、序盤に猿でもクリアできる簡単なステージを 10-20 個ぐらい追加しましょう、今すぐに。(二回言ったよ)

ある程度まとまった時間をプレイしてくれたユーザーは逆に、投下した時間がサンクコストになって、他のゲームに浮気しようって気持ちが、少しは薄れます。
でも、あることをちゃんとやらないと、早い段階でユーザーは離れていってしまいます。

それが、この次にくる「コンテンツのボリューム」です。

2. コンテンツ

2-A. ボリューム

一言でいうと、アプリのボリュームが少なくて、すぐ消費されてしまうため、継続率が低くなってしまっているゲームがとても多いです。

ゲーム自体は楽しいタイトルって、たくさんあるんですよ。
でも多いのは、「楽しいんだけど、すっとやってると、1 時間もしないうちに、飽きちゃう」っていう類のもの。

昨年大ヒットした Voodoo の Dune! (iOS | Android) っていうゲームを例にとってみましょう。
やったことない人はここから先読んでもわからないと思うので、まずはダウンロードして、30 分ぐらいプレイしてきてね。
そんな時間ないよって人はこの動画でも見ておくといいよ。


(どうでもいいんですが、dune って英語で "砂丘" って意味だったんですね。死ぬ時のエフェクトが「デューーーン!」って雰囲気だからかなぁ、って思ってました。恥ずかしいww)

日本のデベロッパーさんでありがちなのが、「画面を押したら進む、離したら飛ぶ、飛んでるときに画面を押したら急降下する、砂丘の波形をスムーズに進んでいきましょう」っていうゲームの基本部分を作って、それで完成としてしまうこと。

「うん!面白いゲームできた!」

確かにゲーム自体は面白いんですが、さすがにそれだけだと何回か遊んだだけで満足して、次のゲームに移行してしまいます。

実は Dune! には、ユーザーを飽きさせない工夫がたくさん入っています。
例えば
  • ガワ替え - ボール、背景、砂丘の 3 種類のスキンを、それぞれ 30, 9, 8 種類に変更可能。見た目が変わるだけだけどちょっと新鮮な気持ちになる。
  • スキンの解放の仕方 - スキンの中には、単にポイントを蓄積すれば交換できるものもあるが、中にはそうでないものもある。例えば「1 プレイ中に X 回 Y をする」とか、「通算 X 日ログインする」とか、「通算 X 回チャレンジをクリアする」とか。
  • チャレンジ - 通常のエンドレスモードのほかに、1 プレイが必ず 30 秒以内で終わるような「チャレンジ」が 35 個用意されている。それぞれ、途中からは達成するのがけっこう難しい (でも頑張ってればマグレで or 実力がついて、クリアできたりする)。
  • チャレンジの複製 - 上記「チャレンジ」まったく同じ 35 種類が、通常モードのほかに、左右逆、上下逆、上下左右逆、の合計 4 パターンある。なので、なんと 140 種類の「チャレンジ」ステージがあるということに。

要するに、普通にプレイしてたらシンプルすぎて 1 日で飽きちゃうゲームなんだけど、常にユーザーの目の前に「次はこれをクリアしようかなっ?」っていう、適度な高さのハードルを用意してあるんですよね。

なので、ゲームプレイ自体は非常にシンプルで、それ自体は仮に数時間で作れるものだったとしても、たくさんスキンを用意したり (デザインリソースェ...)、チャレンジの種類をたくさん用意したり (ネタが...)、ステージ制のパズルゲームだったら何百・何千というステージを用意したりと、「ハイパーカジュアル」って名前のわりには全然カジュアルに作れないというのが現実なんです。

(いや、シンプルなゲームを "気持ちよく" 作るのってそれ自体すごく大変なんですよ分かってるんですよ、あくまでものの例えですよ)

そしてこの問題の根っこは、ひとつ飛ばして 3. チーム というところにあると思うのです。

2-B. トレンド

ひとことで言うと、"類似のヒットしてるゲーム" に対する研究が不足しているという話です。

1-B-b. レベルデザイン のところで「ほとんどのスマホのハイパーカジュアルゲームでは、プレイ時の操作方法は 1 種類のみ」って書きました。
そして世の中のほとんどのゲームは、あなたが今作ろうとしているものも含めて、「パズルゲーム」 「アクションゲーム」 「RPG」などの既存のカテゴリのどれかに当てはまります。

(どちらも当てはまらないのは、まったく新しい革新的なゲームである可能性は否めませんが、高確率で「ほとんどのユーザーにとって激しく馴染みづらいもの」になると思います。そういうのは、趣味でやりたいなら止めませんが、ビジネス的には任天堂さんに任せておいたほうが身のためです)

なので、操作方法とカテゴリのそれぞれ、またはどちらかで、あなたのゲームにはほぼ必ず「以前にヒットしたことがある、どこかしらが似ているゲーム」が存在しているはずです。

なのに何故それを探さないのか、探してやり込んで、面白さの源泉を理解しようとしないのか。
参考にすべきゲームが複数あったら、ヒットしてるゲームに共通している要素は何なのか、もっと深掘りすると「ヒットしてるゲームに共通している、やってないこと」は何なのか、など考察しないのか。

例えば最近のゲームだと、いわゆる "Good" 以上の "Great" なプレーを 1 回または複数回連続で達成したときには、自機を光り輝かせて、得られるポイントを一時的に倍増させているものが多いです。
一時的にフィーバーモード突入みたいな。
脳汁出ますね〜。

また、ちょっと気持ちいい瞬間には微弱な、わりと気持ちいい瞬間にはちょい強めの、バイブレーションを入れているゲームが非常に多いです。
いやなユーザーもいるので、トップ画面から 1-2 階層下ぐらいで、バイブの ON/OFF を設定できるゲームが多いなってことも、注意深くやってればわかると思います。

ぼくはゲームを丸パクリすることは反対ですが、要素要素に関しては過去のヒット作を、それも時期的に近いヒット作を参考にすることは全然アリだと思っています。
なぜならユーザーにとって、それらの要素はすでに慣れ親しんだものなので、いちいち新しい学習をする必要なく、そのゲームの面白いところにすぐに入っていけるからです。

すぐやりましょう。

3. チーム

これは特に日本で顕著なんですが、インディデベロッパというよりは個人デベロッパさん、その名の通り、ひとりで全部やりすぎです。
個人的にはある意味リスペクトしている面もあるのですが、2018 年にそのスタイルは正直かなりキツイと言わざるを得ません。

iPhone 出たての頃と違って、巷にはますます多くのハイクオリティなゲームが溢れています。
ソシャゲほどではないにせよ、ヒットしている、チャートで上位にいる、広告をぶん回している、つまりユーザーの目に触れる機会がより多いゲームは、ほぼ全てがかなりのハイクオリティ (儲かっているからこそ実現できるクオリティ) です。

相手のプロジェクトには、最低でもエンジニアリングとデザインに専念する人が 1 人ずつアサインされています。
あなたが 1 人でゲームを作っていたとして、エンジニアリングとデザインの両方、彼らと同等レベルのクオリティで仕上げることは出来ますか?

また、仮にそれが出来たとしても、完成させるまでにめっちゃ時間かかりませんか?

全てのアプリをヒットさせることなんて到底できないので、ヒットするまで数回程度は失敗 (作ったゲームがヒットしない) することは最初から織り込んでおかないといけません。
同じ期間に、相手は倍以上の数のアプリをリリースして、何をやったら上手くいくのか、何がダメなのかというノウハウを溜めてきます。

数回の失敗を許容できるようなキャッシュが無いと、目先の売り上げを作るために未完成の状態でアプリをリリースせざるを得なくなります。
当然ながらクオリティが十分でないため、継続率や ARPDAU は本来よりも低い水準になり、LTV が相対的に低くなり、そうするとプロモーションも満足にかけられず、結果として売上もそこまで上がらないという悪循環になりかねません。

ひとりで作りたいという開発者さんがいることは理解しています。
作りたいものを作る、自分のペースで作る、コミュニケーションによるストレスを感じずに作る。
そのプロセスが何よりも優先すべきことなら、それは尊重されるべきです。

ただ、ビジネス的に成功させようと思うのであれば、 1 人で全てをカバーすることは早く諦めてください。

自分は自分の最も得意な領域にフォーカスできるよう、最低でも一部の業務は外部に委託 - でもそれだとコミュニケーションや品質コントロールの面も含めて高コストになってしまうので、理想はやっぱり 2 人以上でチームを組んで開発すべきです。

最低でもエンジニアとデザイナー (グラフィックとレベル・ゲームデザインの両方が出来ると望ましい)、できればそこに企画・ディレクション・キャッシュフロー・広報宣伝など担当できるビジネスサイドの人が 1 人いて、3 人チームぐらいでキックオフしたいところですね。
(エンジニアとデザイナーはもうちょっと多くても良いかも。作りたいゲームと進めたいスピード感によっては。キャッシュが許すのであれば)

インディでもイケてるアプリデベロッパーさんの多くは、洋の内外を問わず、そういう体制でスタートしているところが圧倒的に多いです。

パートナーを探すのは簡単ではないですが、少なくともコード書いたことがないビジネスマンが起業時にエンジニアを見つけるよりは簡単なので、頑張りましょう。
基本的には色んなところに (オンライン・オフライン問わず) 顔を出して、パンチを打ち続けるしかないと思っています。

逆に 1 人でもうまくやれてるところは 2 つのパターンしかなくて、1 つは必要なリソースを遠慮なく外注しているタイプ、もう 1 つは個人のアート性が競争力の源泉になっているタイプです。



ちなみに最後にちょっとだけ自分の話もしておくと、僕は最近世界中の「いいゲームは作る力はあるんだけど、プロモーションやマネタイズがよく分からない、またはキャッシュフローに課題がある」インディデベロッパを、なんとか大人の力でw手助けするっていうのを生業にしています。

決してボランティアとか趣味とか副業ではなく、これが僕のメインの仕事なので、何かしら困ってるデベロッパーさんはほんと気軽に @tatsuosakamoto まで連絡してきてください。

逆にそこ変に遠慮されて、本当は世界を獲れるポテンシャルあるゲームが結果的に埋もれてしまうっていうほうが悲しいのでね。


というわけでめちゃ長くなったけど、この記事が世界を目指すハイパーカジュアルゲームデベロッパーさんの助けに、少しでもなっていれば幸いです!
一緒に世界とりに行きましょう!!

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Q

2018/04/03

たつおの部屋 : Webメディアをアプリ化するときに知っておいたほうが良いこと

とある Web メディアがアプリ化する (した) ということで、色々偉そうにアドバイスする機会がありました。
先方がメモをとって共有してくれたので、一部加筆編集を行ったうえで公開します!

## special thanks to 田辺さん & ciatr (シアター) チームの皆さん for taking and sharing notes! ##

映画・ドラマ・アニメをもっと楽しく。 ciatr [シアター] https://ciatr.jp/
{アプリはこちら→ iOS | Android}



【アプリと Web の違い】


アプリは DL する必要があるため、WEB より一見ユーザーを獲得するハードルが高い (WEB は検索や SNS シェア経由などで比較的簡単に入り口はくぐってくれる)。

WEB だと CPC 10〜20 円とかで 1 ユーザー (PV) 獲得できるが、アプリだとカジュアルゲームでも DL させるには 50-100 円かかったりするのが普通。

その分 DL というハードルを超えればでエンゲージメント/継続率を高めやすい。
理由の例↓
  • "ホーム画面" という特等席が得られる
  • プッシュ通知などネイティブ機能を活用できる
  • WEB よりユーザビリティ上げやすい (スマートモードなど)

故にメディアサービスは WEB で集客 → アプリという順番の事業展開は綺麗。
エンゲージメントの高い、ファネル下部のユーザーをアプリに送客していく。

→ 沢山記事を消費してくれるユーザーには、より良い体験ができるアプリに誘導する。
 ライトな一見ユーザーを無理にアプリ誘導する必要はない (WEB とアプリの住み分け)

→うまく住み分けできれば (= WEB のアクティブユーザーがアプリ移行してアクティブ度合いがさらに大きくなれば)、WEB/アプリ合計ユーザー数は変わらなくても合計 PV 数は上がっていく

いらすとや

【アプリのプロモーションの考え方】


アプリユーザーの LTV が XXX 円超えられる、など数値見えないと、ROI をポジティブにしながら継続的にプロモーションを行うのは難しい。

TVCM など露出が多く、すでに知名度が高いアプリですら CPI 100 円を超えている (メディア系アプリの場合)。

1 記事 CPM 200 円とすると (WEB の CPM 単価で計算。アプリで同じ CPM が出る保証は全くない)、5 記事読まれて 1 円の売上。1 ユーザーに平均 500 記事読ませてようやく獲得に 100 円かけられる。

なので、ビジネスモデルがネットワーク広告収入のメディアアプリは、アドネットワーク利用してグロースさせるのは基本的には難しい。
ゆえに自社 WEB などからの送客が正攻法。

必ずしもその限りではない例:
  • グロースカーブをなんとしても実現したい (次の調達に向けて、など)
  • 先に面を押さえることが競合優位につながる、ネットワーク外部性が強烈に効くビジネス (CtoC など)

ただし、純広告・サブスクリプション・コンテンツ課金など、アドネットワーク以外のビジネスモデルが成立すれば当然 LTV 上がるので、獲得単価も上げられる。

→ 優先度:ビジネスモデル仮説検証 >> 拙速なプロモーション

基本的に、メディアビジネスで、アドネットワーク収益のみで上場までいくのは困難
例外は、ゲーム攻略など "圧倒的検索ボリューム" がある一部市場

→ 故に、アプリでエンゲージメント高いユーザーを集められる & アドネットワーク以外の収益モデルの組み合わせ (純広告 and/or 課金 and/or 自社アドネットワーク構築) が成り立つことが、メディアビジネスで EXIT する条件

(いくつか女性向けメディアアプリの具体的な数値例を話したが、非公開情報 (いわゆるインサイダー) が含まれるため割愛)

参考:料理特化のクックパッドも 広告:課金 の比率は 1:2。
Cookpad 2017 年 12 月期決算説明会資料 http://pdf.irpocket.com/C2193/hHid/qWj2/TpEO.pdf

【アプリ広告の業界トレンド】


一般的にはアプリのアドネットワークは WEB と比較して単価 (CPM, CPC など) が低い。

1PV 当りの単価は下がるが、アプリになってユーザーのアクティブ率が上がっていればトータル収益は WEB より高くなる、というモデルは実現するのではないか

→故にアプリの完成度は重要。
 アプリの UX が WEB に劣るため、ユーザーをアプリに送客した結果売上が下がった、みたいな事例は最悪。どことは言えない

アプリ広告はブランド広告予算がほとんど来てない (純広告がとれている一部メディア除く)。

ゲームなどの予算がほとんど。非ゲームは TVCM を打っているようなところ。(どのアドネットワークでどんな案件が流れているかを毎日見てれば明らか)
故にゲーム利用者層がターゲットのアプリだと広告単価高くなる。

単価は、バナー or 動画 or インタースティシャルなどフォーマットによって大きく異なる。
動画がやはり高い。

アプリの広告単価が WEB より低い理由
①技術的背景:アプリは WEB と共通の Cookie でターゲティングしたり CV を追ったりすることが困難なので、WEB の案件が入ってきづらく、単価が上がらない (アプリ面においては IDFA でターゲティング、トラッキングするしかない)
②業界的背景:ブランド広告主がアプリのアドネットワークに出稿する流れがない (そもそものブランド広告主のアドネットワークへの不信感、フォーマットや metrics の業界統一が進まない、など)

現状、有力なアプリメディアは自前でブランド広告主を獲得している状況

【アプリへの広告導入のタイミング】


グロースしてから広告入れるべきか? (初期は UX 重視で広告を入れないほうがよい?)

坂本の意見としては、広告を前提とするビジネスモデルであれば最初から入れたほうが良い。

理由:
広告前提なのに、広告が入ってない状態での継続率の数値だと、検証の意味が薄れる
グロースしてから広告入れると、既存の定着ユーザーからのネガティブな反応が多くなる。最初から入れたほうがユーザーの抵抗もない (そういうものだと最初から受け入れざるをえない)
ただし日本では広告を嫌う人の声 (アプリストアのレビューなど) が大きいが、同じアプリでも継続率は日本・海外で変わらない事例があったので、単により多くのユーザーが "文句を口に出している" というだけかも。必要以上に個々の意見を気にしすぎる必要もないのでは。

アプリの特定 ver で広告を入れて、継続率への影響を見るのは良いかも。一番良いのは徐々に広告増やすのが無難で良いのでは?
けっこう早よから広告出してたけどな

【グロース分析と AppLovin】


AppLovin は広告プラットフォームなので、どこから (オーガニックなのか、Facebook 経由なのか、AppLovin 経由なのか) 獲得したユーザーがリテンション高いか、などを横断的に分析するツールではない。あくまで出稿して獲得する目的がメイン。
(AppLovin で獲得したユーザーについては、流入元アプリ別などで数字を見ることはできる)

どこ経由でのユーザーが獲得単価が安いのか、どのユーザーが継続率高いのか、など見られる 3rd party ツールがあるのでそれらで最適化していく。
詳細はすげー細かくなるので割愛。



ちなみにこの話題をもっと深堀りたい方には、昔 SearchMan 柴田さん ("決算が読めるようになるノート"、書籍 "MBA より簡単で英語より大切な決算を読む習慣" でも有名なあの方!) と対談した内容も面白いんじゃないかなと思います!
非ゲームアプリのマーケティングについて語ったよ
https://note.mu/shibataism/n/n5c6737002133


Q

2018/03/01

”ハイパーカジュアル”はアプリランキング上位を席巻するか

2017年は、スマホゲームのターニングポイントでした。多くのユーザー達は、電車の中などで簡単にできる、とても単純な「ハイパーカジュアル」と呼ばれるゲームに夢中になりました。


ヨーロッパに本社を置く Ketchapp や Voodoo、miniclip のような企業のアプリが、App Store および Google Play store の両方で、無料アプリランキングの上位を占めています。彼らの快進撃は今年も続いていくものとみられます。

しかしなぜ、ハイパーカジュアルゲームがアプリ市場で優位を占めているのでしょうか。

続きはこちらから (外部リンク)

2018/01/21

2018年注目の『アプリストア検索広告』とASOについて抑えておきたい5つのポイント

※『アプリストア検索広告』とASOについて、めっちゃ詳しいリバティーンズ社のお 2 人にお話を聞いてきたので、インタビュー形式でお届けします!記事タイトルは適当です。ポイントは多分 5 つどころじゃなくもっと沢山ありますw



ぼく:よろしくお願いいたします。リバティーンズさんについて、ぼくは「ASO (App Store Optimization = アプリストア最適化)」の事業をやっているという理解しかないのですが(笑)、何やってる会社なのか簡単に教えてもらえますか?

リバティーンズってどんな会社?


山口 雄大 (以下「山口」):リバティーンズの事業内容は大きく 2 つで、「ASO を用いた Search マーケティング事業」ならびに「海外マーケットに主軸を置いた自社アプリ開発」です。

山口 雄大
大学卒業後、モバイル広告ベンチャー企業に入社。2007 年リバティーンズ株式会社創業。モバイルに特化した広告代理事業、自社アプリ開発事業、アプリ開発受託事業の立ち上げを行う。2008 年よりアプリのマーケティング手法の一つである ASO に従事。2014 年よりアプリに特化した Search マーケティング事業(ASO 事業/広告代理機能)を立ち上げ、事業を大きく拡大させる。慶應義塾大学総合政策学部卒。

ぼく:はじめからその事業をやっていたんですか?

山口:いえ、弊社は 2007 年に創業したのですが、創業当初はモバイルといってもガラケーの広告代理事業などをメインで行っておりました。

ぼく:2007 年というとなんならスマホもまだ...

山口:そうですね、iPhone が発売されたのが 2007 年で、大きくアプリの流通が広がったのは 2008 年に iPhone3G が発売されてからです。弊社もそれをきっかけに、事業のほとんどの機能をスマホへシフトしております。

ぼく:その当時ってまだ「ASO」みたいな概念もほとんど無かったですよね。

山口:はい。当時はアプリ開発の受託や自社アプリ開発などを行っていたのですが、「アプリ広告」というもの自体が存在しておらず、アプリマーケットの中の特に Search やアイコン・スクショなどの見直しによる CVR (Conversion Rate = 転換率) の改善を行っていたんですね。

ぼく:なるほど、支援側というよりは自分たちがアプリを配信する側にいて、実際に手を動かして試行錯誤していたと。

山口:その後も、インストールを自然流入で増加させるためには何が必要か、どの様な調整を行うべきか、何をすべきないか/何をしてはいけないか、などをずっと分析し続けています。スマホアプリ市場の拡大と共に、そういったノウハウを一元化させ、新しいサービスとして現在の事業を立ち上げ、ASO と既存の広告の仕組みをかけ合わせて新しい価値を世の中にご提供しております。

ぼく:アプリ Search マーケティング事業、でしたっけ。ASO のコンサルとか、検索広告の代理店みたいなイメージですか?

アプリ Search マーケティング事業って何?


堂道 健太 (以下「堂道」):単なるアプリストア最適化や広告代理運用にとどまらず、オーガニックと広告を全て含めた集客最大化を目的として事業を営んでおります。

堂道 健太
大学卒業後 2006 年証券会社入社。2008 年リバティーンズに参画。ASO(アプリストア最適化)及び北米向けアプリ開発に従事。コンテンツ制作とマーケティングを担当。ASO のみで月間 100 万ダウンロード達成。その後アプリ Search マーケティング事業を統括。慶應義塾大学総合政策学部卒。

ぼく:そこって別々にやるのではなく、両方一緒にやったほうが明確にいいことってあるんですか?

堂道:数多くの相関関係やメリットが存在するのですが、一つ分かりやすい事例をあげると、「AdWords や Apple SearchAds で取得出来た情報を ASO に活かす」ということが出来るようになります。

ぼく:分かりやすい例を挙げていただいたのにスミマセン、よくわかりません(笑)。

堂道:例えば、ストアで何のキーワードを設定すべきか、どのキーワードの検索上位をとるべきかなど、詳細に把握するためには、どうしても推測的な側面が拭い去れないじゃないですか。

ぼく:確かにそうですね。

堂道:そのため、広告運用から得られたデータを ASO 側に還元することで初めて効果が最大化されると考えているのです。

ぼく:ほうほう。

堂道:例えば、どのキーワードが自社アプリにとって最も CVR が良くて ASO 的に重要か、件数を確保するならこのキーワードを押さえておくことが大事だといった分類が、広告のデータを使うことで初めて可能になります。

ぼく:なるほど〜!「どのキーワードが大事か」をそもそも特定するときに、アプリのタイトルや説明文の中でテストするのは物理的に難しいけど、広告ならたくさんキーワードがあってもデータとれますもんね。

山口:また、そこで得たデータをスクリーンショットなどに応用することで、そのアプリページそのものも効率的なものになります。ユーザーが「こういうアプリないかな」って探しているキーワードを、一番目立つスクリーンショットに入れることで、アプリページからの CVR も改善しようということですね。

ぼく:ぼく自身も以前アプリ出したとき、スクショに入れるキーワードとかはかなり感覚で選んでました。データが大事大事ってお客さんにはいつも言ってるのに、恥ずかしい、、、

何度見ても可愛い。漫画ウォッチャー (iOS | Android)

山口:そのため、ASO のコンサル部分に関しては無料でご提供し、通常の代理店と変わらない代理店手数料のみのビジネス形態にしております。どちらか一方だけの実施だと集客の最大化は不可能だというのが我々の考えなので、「どちらか一方だけ」という形でのご依頼はお受けしないことにしています。

ぼく:合理的ですが確かに顧客目線ですね。アプリでこの領域に特化してやろうと決めた理由は何ですか?

山口:やるなら No.1 を目指したかったので、敢えてアプリ Search の分野にセグメントを絞りました。需要は存在するにも関わらず、事業として成立させている事業者が居なかったというのが大きな理由です。

ぼく:ストア内検索ってかなり重要なファクターですよね?

アプリとストア内検索について知っておきたいことは?


堂道:はい、ユーザーの 63% が検索経由でアプリをダウンロードしており (※Nielsen/Google, 2013)、ストア内だけでなくブラウザ検索でアプリを見つけているユーザーも多いため、間違いなく非常に重要なファクターです。



堂道:また弊社が ASO の分野に注目した時期がで世界的にも早く、事業的にもかなりアドバンテージがあったということも大きいと思っています。当時は ASO の概念自体も曖昧でキッチリ定義した存在が無かったので、自分たちでその領域を定義していこうというのをずっとチャレンジしています。

ぼく:検索というと SEO がすぐに思い出されるのですが、アプリに注力されてるのにも理由があるんでしょうか?

堂道:スマートフォンやアプリの最大の魅力は、世界中にコンテンツマーケットの流通が成立していることだと思っているんですよね。国内だけにとどまらないビジネス展開の土壌が初めから備わっていることが、アプリに特化するに値する理由かと思っています。

ぼく:アプリストアという流通チャネルの存在が大きいと。

堂道:流通チャネルが世界共通だからこそ、世界のどこでもある程度同じ戦い方が出来るので、ノウハウが活きます。最終的にアプリの勝負は、有料プロモーションを駆使しながらもオーガニックも含めた総数であるため、お客様へ非常に有用な価値の提供が出来るというのも、アプリに特化している理由です。

ぼく:とてもよくわかりました。


どういうアプリパブリッシャが ASO と検索広告を活用すべきか?


ぼく:現在のクライアントの業種はどういうところが多いんですか?

山口:今は中~大手企業が中心ですね。理由はいくつかありますが、まずはコンテンツがある程度しっかりしたものでなくては、ASO 効果が発揮しづらいという側面があります。

ぼく:それはどういう理由ですか?

堂道:例えば GooglePlay は “有効インストール数” などを重要な指標に置いており、すぐに離脱するユーザーが多い (継続率が低い) アプリはそもそも上位表示が困難になる場合があります。そのため、ある程度ユーザーファーストでアプリの内容を考えられていないとそもそも自然流入増が困難な場合があります。

ぼく:なるほど〜。そもそも最低限のクオリティのアプリを作れていないと、小手先の ASO だけでは通用しないってことですね。

堂道:はい。また ASO 自体がそれ単体で機能するというより、あくまで複合的なものであるということが 2 点目の理由になります。キーワードだけ弄ればどうにかなるといった表面上の話ではなく、アイコン・スクショ・コンテンツ・キーワード・プロモーションチャンネル・プロモーション規模、その他多くの要素が絡み合って初めて大きな効果を発揮します。

ぼく:様々な施策をやってはじめてワークするから、そういった施策を行えない規模のところでは効果も見えづらいということですかね。

堂道:はい。そのため、必然的に中規模以上のデベロッパーさんでまだ ASO などを本格的に着手されていないお客様などが多くなっていき、顧客満足度も高くなっていく傾向にあります。

ぼく:アプリのカテゴリでいうと、どのカテゴリのお客さんが多いんですか?

山口:アプリのマネタイズが上手くいっているところの主流がゲームであるため、ゲーム会社様からの引き合いは多いことは事実です。が、クライアント構成自体は非ゲームもかなりの割合を占めています。

ぼく:どういうフェーズに御社のサービスが向いていますか?逆に、向いてない会社もありますか?

山口:アプリのフェーズとしては、本来はアプリのリリース期にある程度のプロモーションと共に行うことが最も重要だと考えています。理由は、Google Play・Apple 共にリリース直後のアプリが自然流入の面で優遇されていると私共は考えているためです。

ぼく:新着ランキングに入るからですか?

山口:それもありますが、他にもアルゴリズムの面で優遇されていると我々は分析しています。

ぼく:そうなんですね〜。ってことはそれだけ、比較的少ない費用でデータを集められるから有利ってことですね。

堂道:そうなります。また、ゲーム・非ゲーム問わずどうしてもユーザーの質が初期段階の方が良いので、そういったユーザーを囲うといった LTV 的な視点からも重要になってきます。

ぼく:リリースから時間がたったタイトルだと難しいんですか?

堂道:あくまで初期段階から導入した方がメリットが大きいということであって、リリース後でも対応や改善は十分可能です。実際そちらの需要の方が大きいので。

ぼく:アプリの寿命も伸びてますもんねぇ。

山口:また、広告費がゼロで ASO のみに頼ろうとする企業さんもいますが、そういう形よりむしろ、ASO を下地にしてプロモーションを行っていくことで、結果的にオーガニックユーザーを潤沢に獲得できるという良さがあります。

さすがにアプリ名は出せないけど過去事例...


ぼく:差し支えない範囲で、この施策がうまくいった事例と、その要因を教えてください。

堂道:例えば検索最適化の結果、CVR (転換率) が 20%→50% 以上、最終的にダウンロード件数も週次で 1 万ダウンロード増したアプリがあります。
 
ぼく:まじですか...!リバティーンズさんが入る前はどういう状態だったんですか?

堂道:関わらせていただく当初は、特定の 1 つのキーワードで 2~4 位前後にいただけの状態でした。そのため自然流入が増えずご相談いただいた経緯がありました。

ぼく:なるほど、やりごたえがありそうですね(笑)。どういうとこから手をつけたんですか?

堂道:例えばキーワード 1 つ 1 つも、「恐らくこれじゃないか?」という担当者の推定というか思い込みで選定されていただけで、決して根拠に基づいたものではありませんでした。

ぼく:そういうところ少なくなさそうですね。。

堂道:そこで、広告を運用しながら、キーワードの設計からアイコン・スクショその他の見直しのアドバイスなどを含め、徐々にチューニングを行っていきました。その結果、最もコンバージョン率が良いキーワード、有効な・有効でないキーワードの組み合わせ、など明確に定義しました。

山口:その結果、目的としたキーワード群ほぼ全てで上位に表示されるようになりました。特に、CVR が良いキーワードを抽出することで、ストア内で情報として何を推すかをデータドリブンで決められるようになるというのがポイントです。

ぼく:その施策が、先におっしゃっていた、週次でプラス 1 万ダウンロードという結果に繋がったわけですね。

堂道:また他の事例では、ASOを行うことにより、ユーザーの質の最大化が可能となり、インストール後の KPI が大きく改善した事例も多数あります。とても上手くいった例だと、課金率が 2 倍以上に改善して LTV が向上した、といったこともありました。

ぼく:え、なんでそんなことが。。。

堂道:検索型集客の特徴として、ご存知の方も多いかと思いますが、ユーザーの質があらゆる集客チャネルの中でも最上位クラスに位置するんですね。

ぼく:あぁ、もともとそのアプリを「探して」ダウンロードしにきてるユーザーだから...

堂道:はい、これは考えてみれば当然ですね。純粋に、本来アプローチすべきユーザーにリーチを行うという視点だけでも、課金率や継続率にプラスの変化を及ぼすことは容易に想像いただけるかと思います。

Apple と Google の検索広告それぞれについて


ぼく:それだけ重要なストア内検索なのですが、広告に絞っていうと Apple の search ad って米国はじめいくつかの国でしかまだ使えないですよね?

 
山口:現時点 (2017 年 12 月) では、アメリカなどの英語圏、メキシコ、スイスなど順次拡大されている様です。いつ日本で開始されるかはまだ不明の様です。恐らく日本語という独特な言語に対応するのに多少の時間を要するのだと考えていますが、そう遠くない将来導入されると考えております。

ぼく:御社でも運用実績あるんですよね?効果はやっぱり高いんですか?

山口:自社のアプリを含め、国内の事業者様の海外向けアプリも既に取り扱いさせていただております。広告効果は「やり方次第」といったところです。

ぼく:「すげーいいぜ」じゃないんですか?

山口:やはり単純に何気なく設定して運用を行うのではなく、根拠に基づいた運用手法とキーワード設定が必要です。更にこちらも ASO と組み合わせて行うことによりオーガニックの増加にも繋がります。今、国外向けに広告運用をお手伝いさせていただいているお客様にとっては、申し分ない結果が出ていると思っております。そのため日本でリリースされた際もお客様のお役に立てると思っております。

 
ぼく:逆に Google って、アプリプロモーションだと UAC (Universal App Campaign) しかできなくなったじゃないですか。御社に運用を任せると、ディスプレイ等も含めて全部お願いしないといけなくなるんですか?

堂道:基本的にはそうしていただいております。全て一本化にされたため、UAC を運用させていただく中で、検索広告部分についても最適化を行います。当然、他の代理店さんと同様、動画などのクリエイティブもお客様には無料で作成し、PDCA を回して、UAC 全体として見た場合も相対的に質の高いサービスを提供できていると考えております。

ぼく:検索広告とディスプレイ・動画広告等が別だったころと比べて、UAC になって出来なくなったこととかは無いんですか?

堂道:UAC に一本化されたことで、以前は把握できたキーワードごとの CVR などが把握しづらくなっています。しかし、我々は過去数年に遡ってこの事業を行っており、国内外問わず「この業態のこのアプリはこのキーワード」というのをかなりの精度で特定できています。こういった価値をお客様にご提供できるのも我々の強みになります。

ぼく:最低でもこれぐらい予算ないとやっても効果が見えにくい、みたいなラインってありますか?

堂道:アプリによりますが、約 50~100 万円/月、というところかと思います。あまりに予算規模が小さすぎると、何の情報も分からず終わるケースもあります。

ぼく:ありますねえ。AppLovin でもあります...。リバティーンズさんにお願いしようかどうかって迷ったとき、そもそも自分とこのアプリが ASO うまくやれてるかどうかを診断できる方法やツールってありますか?

山口:まず、ツールとしては存在していません。ASO の定義として、”広義の” ASO と “狭義の” ASO が存在しています。

ぼく:違いを教えてください。

山口:狭義的には、単純なキーワードのリーチと上昇など。広義としては、スクリーンショットやアプリページそのものも含めた CVR などを指します。もっと広義になると、アプリの内部にすら改善点が及ぶ場合もあります。

ぼく:なるほどなるほど。

山口:ここまで全て診断するとなるともはやツールでは対応できないため、我々の価値があると思っています。ツールはあくまで補助として活用され、その他を我々の様なサービスで補っていただければと思っています。

ぼく:キーワードごとの順位とか教えてくれるサービス、たとえば SearchMan とか MobileAction とかあるじゃないですか、あれの良し悪しとかってご存知ですか?

山口:個人的に SearchMan の方が使い勝手が良いかと思います。他のツールに比べて日本語にカスタマイズされているのと、API サービスなど、かなり遡って色々な情報が取得できる作りになっているので。サジェスト結果、トレンド検索の履歴など他ではない機能も提供しているようです。


ぼく:色んな情報を使って細かく運用しようというときに役立ちそうですね。

堂道:また、キーワードごとの順位を教えてくれるサービスの中には、日本のストアと異なっている順位を表示しちゃうサービスも多いです。そういった意味でもサービスインしてから長い間支持されているものを採用すべきだと思います。

ぼく:サービス・プロダクトが使われ続けてきているという実績が、クオリティを証明しているだろうと。

山口:創業者の柴田さんの知名度は今や鰻登りでもはや何も言う必要がないかと思いますが(笑)、国内事業者であれば SearchMan をオススメ致します。


決算が読めるようになるノート

ぼく:なるほど、ありがとうございます。

最後に


ぼく:いろいろ話していただきましたが、こんなに喋っちゃって大丈夫ですか?

山口:まだまだお話していないメソッドはたくさんあるので、大丈夫ですよ。

ぼく:お客さんの中には、リバティーンズさんからノウハウを学んだあと、「これなら自分たちでも出来そうだ」って自立というか、離れていっちゃうこととかないんですか?

堂道:そういう方も中にはいらっしゃいますよ。でも、多くの方が戻ってこられます。

ぼく:なんで戻ってくるんですか?オペレーションが大変だからですか?

堂道:オペレーションの面もありますが、ノウハウのアップデートが必要という側面が大きいです。SEO と同様に、アプリ内検索においてもアルゴリズムやトレンドが変わり続けています。弊社はこの領域だけをやっているので当然キャッチアップも早く出来ますが、よほどリソースに余裕のあるところでないと、アプリ事業者自身が全ての変化についていくことは難しいと思います。

ぼく:確かにおっしゃる通りですね。いやぁ楽しかった、今日はどうもありがとうございました。またちょくちょくお話聞かせてください!

山口:はい、またアップデートお届けします!



こんなかんじです!
もしリバティーンズ社に ASO と検索広告運用をお願いしたい・相談したい方がいたら、ご紹介可能なので気軽にお声がけください (о´∀`о)

Q