2018/12/20

株式投資型クラウドファンディング”で資金調達した直後の社長を掘り下げてみた!

ぼく:今日は時間とってくれてありがとうね!まずは簡単に自己紹介をお願いします。

鎌形 諭 (以下「鎌形」):プラネティアという会社の代表をしている鎌形 諭 (かまがた さとし) といいます。2016 年に今の会社を共同創業したのですが、その前は楽天、Google で坂本さんの後輩でした。


ぼく:今は鎌形くんのほうが起業家の先輩やな!

鎌形:いやいや!

ぼく:楽天・Google 出身者らしく、マーケティング系の事業をやってるんやんね?

鎌形:はい、ASEAN 市場で、多言語の化粧品口コミプラットフォーム「COSMERIA (コスメリア)」というサービスを運営しています。そちらを通じて、日本国内の化粧品メーカーに対してマーケティング支援を行なっています。

ぼく:明らかに市場ポテンシャル大きそう...!で、そのサービスでこないだ「株式投資型クラウドファンディング」で資金調達したんやんね。

“株式投資型クラウドファンディング” についての詳しい説明は当 blog では割愛。このへんの記事 が詳しそうです

鎌形:はい。10 月に無事に 2,500 万円を調達しました

ぼく:改めておめでとう!

 
プロジェクトページ

ぼく:いちおう Facebook では post したけど...正直そこから投資につながったかっていうと、なんも貢献できなかったんじゃないかって思ってるんよね。(苦笑)


鎌形:いえ、応援してくださっただけでありがたかったです!どのみち、あのタイミングで告知しても、新しい投資家は増えないと思っていましたし。

ぼく:どういうこと?

鎌形:ぼくが調達したのはファンディーノというサイトだったんですが、投資家として登録する手続きのなかに郵便受取りによる本人確認というプロセスがあるんです。サイトで告知開始したのが金曜日で、投資の申込みが可能だったのが日曜日の夜から 24 時間だったので、金曜日に告知を見てから初めて投資したいと思っても、現実として登録が絶対に終わらなかったんですよね。

ぼく:ものすごい短期集中。。ファンディーノって 24 時間しか投資の受付け出来ないの?

鎌形:そういうわけじゃないんですが、今までファンディーノでは 50 案件ぐらいやっていて、どの案件も集まった資金はだいたい最初の 1 日で集まっていたそうなんです。そこから 1~2 週間開けといてもあんまり集まる金額は変わらないっていう傾向があるらしくて。

ぼく:そうなんや。でも投資する側からすると、案件の中身を吟味したり、鎌形くんとか経営陣のバックグラウンドチェックしたり、要するに「サイトに載ってない情報」を集めて精査しようとすると、24 時間じゃ足りなくない?

鎌形:足りないですね。告知の段階で初めてサービスに興味を持っても、今回ぐらい時間がないと、遅いですよね。あとは web サービスのマーケティングをやってた立場からしても、せめて投資可能になる 1 週間ぐらい前には告知したかったところです。

ぼく:そういう事前告知ってのはしちゃダメだったの?

鎌形:ダメじゃないんですけど、ファンディーノ側の審査を Cosmeria が通ったのが、ほんとに直前だったんですよ。3 段階ぐらい「案件化していいかどうか」って審査があったんですが、最終審査で OK が出た翌日とか翌々日にあのページがオープンして、っていうぐらいのスピード感でした。

ぼく:なんでそんな急いだの?w ファンディーノ側?

鎌形:どちらかというとそうですね。実は、僕らの前の 2~3 案件ぐらいが、連続で「不成立」だったんですよ。


ぼく:不成立ってこともあるのね。

鎌形:あるんですよ。今まで 50 案件中 10 個ぐらい、主に金額が目標に達しないという理由で不成立になっていて。

ぼく:だいたいみんなどれぐらいの金額目指してるの?3,000 万円ぐらい?

鎌形:最低金額と上限金額を自分で決められるようになっています。だいたい 3,000 万円から、多くて 6,000~7,000 万円を目標にしている案件が多いですね。

ぼく:なるほど。Valuation も自分で決められるの?

鎌形:ファンディーノの場合は審査の過程で会計士も入って、彼ら (ファンディーノ) の側が Valuation を決めるんですよ。うちの場合は 2 億円でした。

ぼく:いくら調達したんだっけ?

鎌形:上限 2,500 万円にして、満額で達成しました。post value が 2.25 億円になるので、約 11% ぐらい放出したことになりますね。

ぼく:なるほどね。売上・利益とか KPI を知らない上でだけど、そんなに違和感ある数字じゃないね。Valuation はこっちから希望を出すことは出来るの?

鎌形:希望は出せます。うちも最初は 3~5 億円って言ってました。先方から Valuation を提示された時点で、「じゃあやめます」と言うことも可能ではありました。

ぼく:面白いね。向こうからしてみたら、あまり Valuation を上げすぎると投資が集まりづらくなるし、かといって下げすぎると「他のプラットフォームで調達します」って逃げられてしまうし、っていう難しい力学が働いてる。

鎌形:そうですね。彼らは VC と違って、成約したときの手数料収入なので、案件を成立させよう、つまり資金調達を成功させようという努力はしてくれるんです。


ぼく:手数料いくらなんだっけ?

鎌形:集めた金額の 20% ですね。2 回目以降からは 15% になります。過去に 2~3 社ほどは「おかわり」調達をしているみたいです。

ぼく:今回だと 2,500 万円調達したうちの手数料が 500 万円か。けっこうな金額だね。

鎌形:でもその前まで不成立が続いていて、不成立だとファンディーノは売上ゼロなので、けっこう頑張ってくれたのかなって思ってます。

ぼく:プラットフォームとして頑張るって言うと、要するに集客の部分?

鎌形:集客ももちろんですがそれに加えて、うちの事業に対して、どう事業計画作ったらより魅力的に投資家に対して映るか、公認会計士が外部から入って一緒に考えてくれて。この先 5 年の事業計画を、PL・BS・キャッシュフローベースで作ってくれたんですよ。

ぼく:それはすごいな...めっちゃリソースかかってる。

鎌形:僕らのほうで作ってたのって、売上と、だいたいのコストぐらいの計画。それを決算書に落とす項目まで一緒に作ってくれるのが、審査プロセスの一部だったんですよ。

ぼく:そのプロセスを経た上で、「いやこれ現実的に無理あるね」ってなったら落とされることもあるし、「この数字だと Valuation これぐらいが妥当だよね」っていうふうに決まると。

鎌形:そうですそうです。非現実的な成長ラインとか引いてるとちゃんとハネてくれるし。そういう意味でも良かったですね。


ぼく:経緯としては鎌形くんがファンディーノに持ち込んだわけだよね?

鎌形:そうです。最初はセミナーですね。そのときちょうど VC とかとも話してて。3,000 万円ぐらい調達したいなと思ってたときで。

ぼく:それまでって調達はしてなかったの?

鎌形:共同創業者がいるんですが、全員で最初に出した合計 1,000 万だけでやってました。創業から 2 年半ぐらい経って、ある程度マネタイズの道が見えたので、じゃあちゃんとここに投資しようというのを決めたんですね。そうなったときにある程度資金があったほうがいいなっていうのが、今年 (2018 年) の夏ぐらいだったんです。

ぼく:なるほど、それで VC 回ったりしてたんだ。

鎌形:ですです。で、ちょっと毛色違うけども、ファンディーノのセミナーがあって行ったら仕組みが面白そうだなと。そこで会った案件の営業担当の方が、元証券会社の人だったんですが、強めに勧めてくださって。

ぼく:なにがそんなに彼女に気に入られたんだろう。

鎌形:それまではファンディーノって、ロボットとか IoT とかヘルスケアとかそういう領域が多かったみたいなんですよ。僕たちみたいなマーケティング系はあんまりなくて。なので面白がってくれて、「1 回、審査のプロセス入ってみましょうか」みたいな感じで始まり、僕たちも「どういう評価受けんのかな?」っていうレベルで、スタートしました。そうしたらトントン拍子に進んでいって。

ぼく:なるほどね〜。ファンディーノ以外の他のプラットフォームも話は聞いた?

鎌形:話してないです。調べはしましたけど。例えばエメラダ (エメラダ・エクイティ) は、VC か特定のエンジェルが入ってる、っていうことが条件だったんですよね。


ぼく:あー。どこかで一回お墨付きをもらった案件をやるみたいなイメージだ。

鎌形:なんですかね。あと Go Angel は案件をいくつか見たら、金額が小さかったんですよね。300 万円とか。どっちかと言うと一般のクラウドファンディングの、「お金集まったらTシャツあげます」ぐらいな感じにぼくらからは見えたので、ちょっと違うかなと。

ぼく:株式型クラウドファンディングでもそれぐらいの規模のところもあるのね。エメラダも確か数千万円規模って聞いてるから、ちょっと意外だ。あと何かファンディーノでやって良かったこととかあった?

鎌形:募集ページとかすごい気合い入れて作ってくれました。

ぼく:え、あれファンディーノが作ったんだ。ヒアリングみたいなのを事前に受けて?

鎌形:そうですね。2 時間ぐらいインタビューして。

ぼく:2 時間はけっこうなボリュームだね。

鎌形:はい。そしてそのページが後々まで残るってことも、サービスとして良いなと思いました。


ぼく:確かにね。ファンディーノとの話が進んでる過程では、VC からの調達とかっていうのも可能性としてはまだ残ってたの?

鎌形:話してたんですけど、まだうちのフェーズがちょっと早かったのかなと。やっとサービスの方向性っていうのが見えてきたぐらいなので、VC としてはあんまり魅力的に見ていただけなかったのかな、というのが実際あって。

ぼく:まだ「ここに突っ込めば絶対伸びる」っていういわゆる PMF (Product Market Fit) まで見つかってるわけではないけど、Valuation は数億円、調達金額も何千万とかだと、ちょっと高いかなみたいな。

鎌形:そんなかんじですね。逆によりレイターの VC からすると小さすぎるみたいな。

ぼく:まさに pre-Series A で投資してくれるプレーヤーが少ないよねっていう話を、仲いい友だちのユニバーサルバンクの鳥居さんと最近したんだよね。彼らも最近、株式型クラウドファンディングのサービス「Angelbank」を新しく発表したところで。

鎌形:僕たちが探してた頃にはまだ立ち上がってなかったんですね。

ぼく:そうそう。ユニバーサルバンクが株式型クラウドファンディングをやりたい理由がまさにそこで、シードとかはわりとシード VC とかエンジェルとかがいます、Series A で数千万から 1 億円単位で出す VC もあるけど、その “間” がプレーヤーが少ないって問題意識があるらしいんよ。エンジェルやシード VC からすると「ちょっと Valuation 高いな」ってなるし、A 以降の VC からすると「ちょっと小っちゃいな」ってなるし。でもそのタイミングでの資金調達もけっこう必要やったりするやん。

鎌形:うちはまさにそこだったかもしれないです。大きく 1 段上る前に、間でもう 1 段小さいステップが欲しいよね、みたいな。

ぼく:話題の XTech も参入するらしいし、この領域狙うプレイヤーはこれからもう少し増えるかも。


鎌形:あともう 1 個あったのが、VC との付き合い方があんまりわかんなかったんですよね。いろんなところと話したんですけど。

ぼく:ほう...どんな風に?

鎌形:僕としては、せっかくならいろいろ相談しながらやりたいなと思ったんです。「お金だけ出してください」ではなく、特に今の段階だったら、もうちょっと事業の内容に関しても一緒に考えて欲しいというか。

ぼく:壁打ちできるような?

鎌形:そうです。なのでマーケティング系とか e コマース系といった領域の出身の方がいると、もうちょっと VC からの調達に傾いてたかもしれないです。彼らの見てる領域が僕らの事業とちょっと違ったってのもあるかもしれないですが、なんかあんまり向こうもピンと来なかったし、僕もピンと来なくて。

ぼく:なるほどね。まぁ基本的には業種としては金融屋さんだし、マーケだったりだとかテクニカルなところに行けば行くほど、経験者が VC の中にもたくさんいるわけじゃないし。そういうの全部含めて「ここと一緒にやりたいな」っていう VC が見つからなかったかんじか。

鎌形:もちろん出会わなかっただけかもしれないですけどね。回った数も少ないので。


ぼく:それではここで、たつおフレンズからの質問コーナーいってみましょう〜

鎌形:Facebook で質問募集していただいてましたね。ありがとうございます。笑

ぼく:まず一番多かったのが「クラウドファンディングで資金調達すると、そのあと Series A 以降のエクイティファイナンスにネガティブな影響があるんじゃないのか?」というもの。クラウドファンディングに限らずだけど、エンジェルの投資家があまりにもたくさん株主にいると、次のラウンドの VC から嫌な顔されたり、っていうのは聞く話ではあるよね。

鎌形:そうですね。エメラダ・エクイティは新株予約権ですが、私がやったファンディーノは普通株なので、今回だと 168 名の株主が増えたことになります。

ぼく:うはww

鎌形:これでも少ないほうなんですよ。調達した 2,500 万円というのが小規模なほうなので。

ぼく:ふえええ。


鎌形:クラウドファンディングの場合、法律で、1 人が同じ会社に 1 年間に投資できる金額が 50 万円までって決まってるんですね。ぼくらの場合、168 人で 2,500 万円なので、1 人平均だと 15 万円なんですよ。10 万円、20 万円、50 万円のコースを用意したんですが、ほとんどの人が 10 万円を選択していました

ぼく:そうなんや〜。そのコースの金額ってのはどの案件も同じなん?

鎌形:3 つコースを用意するっていうのは決まってます。あとは調達金額と株数がちゃんと割り切れるようになっていれば。でも、だいたい似たかんじの設定が多いですね。

ぼく:それだけ株主の数が多くなると、手続きだけでも相当大変そうだけど。

鎌形:そこは幸いにもファンディーノがいろいろやってくれてます。いわゆる電子で公募するっていうのをちゃんと資格取っているので、ハンコが省略されたりとか結構プロセスは簡略化されています。株主総会も、IR ジャパンっていう IR の業務を外注できる会社を月 1 万円とかで使えて、そこが株主への招待の通知とか委任決議の回収とか全部やってくれるんです。

ぼく:そんな会社があるのね...!月 1 万円で 168 人分やってくれるなら、相当楽だね。

鎌形:もちろん実費は発生します、切手代とか。でも実費以外のオペレーション代のところはやってくれれます。ファンディーノと IR ジャパンが提携してるらしく、もしかするとファンディーノが一部費用を僕たちの代わりに払ってたり、とかいうのはあるかもしれないですね。

ぼく:20% の手数料の中に含まれてる可能性もあるかもしれないってことね。

鎌形:まだ株主総会、我々も来年の 2 月とか 3 月が最初なので。どういうことになるかはわからないです、正直。

ぼく:そのへん不安はなかったの?

鎌形:実は僕たちより前に、同じく元楽天の方で、金田さんっていう方がファンディーノを使って資金調達をしていたんですよ。

ぼく:へぇ!その方はどういう事業を?

鎌形:外国人が日本に来たときのレストラン予約アプリです。ファンディーノを見てたときにその方を発見して、すぐ連絡して「どうでしたか?」といろいろ聞いて。

ぼく:なるほど。

鎌形:話を伺ったら、株主との個別の連絡はほぼないと。というのも、うちもそうなんですけど、エンジェル税制というのを適用できてるので、投資家も投資した金額を所得から控除できてるんですね。

ぼく:おおおおなるほど。なんなら 50 万円出してても、所得から 50 万円引かれて、実質ゼロ円で株主になれるみたいなもんなのか。

(※ちゃんと調べてないので、自己責任でお願いします)

鎌形:創業から 3 年以内とか、キャッシュフローが赤字とか、外部の大企業株主がいないとか、いくつか条件あって。エンジェル税制が適用できるというのは 1 つの大きな PR ポイントですね。

ぼく:全部の案件が適用されるわけじゃないのね。そりゃ適用される案件は人気になるわ。

鎌形:ファンディーノみたいなクラウドファンディングに限らずですが、シードから Series A ぐらいの会社って、確率的には将来 10 社に 1 社でも IPO して、10 社に 1 社 M&A で exit、とか出ればいいじゃない?ぐらいの感じだと思うんですよね。

ぼく:全部が全部は当然ながら当たらないね。

鎌形:それが節税にもなるってことであれば、あえて直接的な表現をすると、小金持ちな方からすると、ちょっと面白そうな企業があって、10 万円でいいから出してみて 10 万円所得控除されて、万が一うまくいったらリターンが出るならいいかな、っていう温度感の人が多いイメージです。

ぼく:すごい納得した。さっき言ったユニバーサルバンクの鳥居くんと話してて、彼もなんか温度感的には、今はお金を出したい人からの需要がすごい高いから、イケてる案件だったら数千万円ぐらいなら集められないことはないじゃないかみたいなことを言っていて。

鎌形:ふむふむ。

ぼく:肌感、スタートアップへの投資に興味あるとかいう人がいるのはわかるけど、そんな安くもない何十万円とかって金額出してくる人がそんないんの?っていう感じだったけど、節税文脈ならすげえ理解できる。ふるさと納税するのと一緒のノリだよね。

鎌形:返礼品のかわりがスタートアップの株式ですね。

ぼく:一応株主総会に参加する権利もあるし。なんかライブに関わってるっていうところで、そういうのをおもしろいって感じる人からすれば、ふるさと納税よりももしかしたら良いのかもしれない。

鎌形:面白がってる人はいるかもしれないですね。で、デメリットに戻ると、次のラウンド以降で VC とかが嫌がる可能性はもちろんあります。ここばっかりは本当に経験してないので、僕は何とも言えない...からやっちゃってるんですけど。

ぼく:そういう説明とかっていうのはファンディーノ側からはあったの?

鎌形:あんまりないですね。

ぼく:あんまりないんだ。

鎌形:そこは自分たちで調べたり...。ファンディーノ自体もまだ 3 年ぐらいの会社で、案件やり始めてからはまだ 1 年とかなので。

ぼく:そこで調達したところが次のラウンドでうまくいったとか失敗したとか、そういう事例がまだ十分でてきてない。

鎌形:ですね。可能性としては、もう 1 回またクラウドファンディングで個人から集めるか...。それか VC に対して「ゆうても 1 人当たり最大でも 50 万円分しか持ってないから決議権はないです、巨大エンジェルではなくてイチ個人がたくさんいるだけなので経営判断に影響はないです」っていうのを、僕は説明できるかなと思ってるんですね。


ぼく:あとは質問にもあったけど、反社とかが入ってないの?みたいなところのチェックだよね。さっきの話だと、ファンディーノの本人確認とかそのプロセスである程度は弾いてるはずっていうことなのかな。

鎌形:はい。そこはファンディーノが強調してて、事前の段階でしっかりとそこは見てますと。そもそもそういう人は入れない。だから唯一あり得るのが、あとから反社になっちゃったパターン。定期的にチェックしてるって言ってますけど、どういうプロセスかは知らないです。わかんないじゃないですか。そこのリスクはやっぱり多少ありますね。

ぼく:仮にそれが理由で上場できないというふうになったらそのときにもう個別対応するしかないのかな?

鎌形:そうですね。もうそこは起こり得る可能性と、今得られる金額っていうので天秤にかけて

ぼく:なるほどね。ちゃんとそのリスクは理解した上でやってるんだね。

鎌形:そうですね。やっぱり会社なんで。

ぼく:まあそりゃそうだよね。逆にクラウドファンディングで調達したことによるメリットとかは何かある?

鎌形:僕らの場合は、個人株主がワーッと集まったっていうことを営業に使えるんですよ。こんなにも支援を得られてますよって、我々のお客さんである化粧品メーカーに対する営業のときに。なんならクラウドファンディング見たっていう化粧品メーカーの方から、使いたいっていう問い合わせも来ました。

ぼく:へえええ。プロダクト作る系のクラウドファンディングとかでも、案件を立てること自体が PR・マーケティングに役立つとかって言うけど、それがあったんだ。

鎌形:まさにそこですね。あとは化粧品メーカーを顧客に持ってる広告代理店とか。web 系の方は見てたりしてるらしいので。


ぼく:ちなみに、例えば出資してくれてる人に対して、こっちから何かコミュニケーション取ることはできるの?例えば「今こういう事業を考えてて、こういう知り合いがいたら紹介してください」みたいなメッセージをそこに投げかけるとか。

鎌形:ファンディーナの管理画面が、こちらから発信できるプラットフォームになってます。ファンディーノのルールの 1 つとして、案件が成立したら毎月何か株主に対してレポートを出さないといけないんですよ。メルマガみたいな感じで。

ぼく:月次報告みたいなかんじか。

鎌形:はい、ただ数字じゃなくていいんです。今月こういうお客さん取れました、セミナーやります、人によっては「娘が順調に成長してます」とかっていう。なのでこちらから株主に発信できる場所はあるんですが、そこにまだ返信機能だったり、個別にコミュニケーションをとれるような機能はないですね。株主リストとして住所もメールアドレスも全部持ってるので、個別連絡はできますが。

ぼく:いわゆるエンジェル投資家みたいに「使う」のは難しいってことかな。投資してくれた人から何かしらのサポートを得ようみたいなのっていうのは、期待値としては元々そんなにないっていうことだよね。

鎌形:そうですね。顔も知らないし、本当に無機質な名簿でしかないので。投資してくださった方も、どういう熱量で投資されたのか、それこそただ単に節税になるからやったってだけなのか、積極的にサポートしたいって思ってるのかわかんないので。そこが違いますよね、エンジェルとは。

ぼく:逆に言うと、クラウドファンディングで資金調達するときのスタートアップ側の期待値としては、もうピュアにキャッシュ得られますと。あとは VC みたいに、償還期限があるから絶対いつまでにイグジットさせなきゃ、みたいな制約が生まれるわけでもないし。

鎌形:普通株式ですしね。

ぼく:優先株はないんだ。

鎌形:そこはまあこれからなのかな。わかんないです。結構いろいろ免許があるらしくて。ああいう公募形式でお金を集めますっていうのは、ファンディーノは普通株式ですね。年間 1 億円以下。

ぼく:1 人の投資家が出せるのは 1 案件あたり 1 年に 50 万円未満だっけ。

鎌形:そうです。

ぼく:実際やってみて、クラウドファンディングでの調達って、例えば後輩の起業家とかにはお勧めできる?条件によるって感じ?

鎌形:お勧めはできますけど、やっぱり 1-2 年事業をやって、実績がある程度出てきてからのほうが投資家を裏切らない形にはなるんじゃないかなと思います。アイディア段階でも、お金は集まるかもしれないですけど。

ぼく:KickStarter とかであるような、金集まったけどモノができませんでした、みたいになるリスクっていうのはあるもんね。

鎌形:深い関係のエンジェル投資家からの調達であれば、「すいませんでした、次頑張ります」と言えば理解してもらえるかもしれないですけど...100-200 人関係者がいたら、レピュテーションも良くないし、そういうリスクは多少あるかな。だから多少なりとも事業が動き始めて、売上の作り方・コストの掛け方がわかってきてからのほうがいいかなと思いますね。

ぼく:実際に 100 人以上から調達した側の視点だね。やっぱり168 人の名簿を前にして、責任みたいなものはちょっと感じた?

鎌形:そうですね。銀行口座に、今までとはケタ違いの金額がボンと入ってくるわけですからね。やっぱそれを見ると「やべぇ、ちゃんとやんなきゃ」って、すごい思いました。

ぼく:それにしても、株式型のクラウドファンディングって、メリット・デメリットで言えば、全てが明らかになったわけではないじゃん。可能性としては、すげえ高い打率で上場審査のときに反社・反市で弾かれちゃいましたとか、VC からの調達の打率が明らかに (そうじゃない場合と比べて) 低いですよみたいなのって、ここから出てくる可能性はあるじゃん。

鎌形:そうですね。

ぼく:にもかかわらずクラウドファンディングでやろうって踏み切ったのって結構すごいよね。

鎌形:そうですね。お金も多少あると良いなと思ったっていうのはあるんですけど、それが第一というよりは、やっぱり外部に支援者がいるっていうのが会社としてプラスになるだろうなっていう感覚はあって。そういう方達を集められたらおもしろいな、というのがありましたね。

ぼく:なるほど。ちょっとだけ「社会の公器」に近くなった、みたいな。

鎌形:ただ、デメリットももちろんあるので、そこは僕も共同創業者もそうですけど、ちょっと読み切れないリスクは、メリットと天秤にかけて、感覚的にではありますけど、メリットが上回るなら GO するっていう。可能性としては事業にブレーキがかかる展開もあり得るので。「投資家のなかに反社が 3 人ぐらいいますよ」みたいなこと言われたら終わりですからね。「誰や!?」みたいな。笑

ぼく:そういう意味で言うと、これまでのラウンドで VC がまだ入ってないから、最悪ダメで「あいたた」となるのは、今回出資した投資家と自分たちだけ、っていう感じだもんね。もちろん従業員なんかも含めたステークホルダーっていうのはいるけど、エクイティ的な意味でのリスクでいうと。

鎌形:そうですね。

ぼく:いざクラウドファンディングでお金を集めてるときのことをもっと聞きたいんだけど。案件が通って、翌日からページが公開だっけ。その翌日か翌々日ぐらいから申込受付を開始して、24 時間募集って感じだよね。その間って鎌形くんは何してるの?

鎌形:僕ですか?

ぼく:そう。だって、最初のほうに言っていた投資家としての審査とか登録があるから、案件が公開されても、既にファンディーノに登録してる人以外は投資できないわけやん。あんまりマーケティング的な努力、たとえば SNS での拡散とか頑張っても仕方がないわけよね。

鎌形:そうですね。自分たちの Facebook で告知する以外には、達夫さんにお願いしたぐらいです。笑

ぼく:どれぐらい効果あるのかよくわからんな、みたいな状態で。笑

鎌形:ですね。告知を見てからだと遅いわけなので。1 件、実は会社に連絡があって、「投資したいんですが、ファンディーノで投資家登記してないです」って。「こういうプロセスをすれば、書類を受け取って投資家登録できますけど、間に合うかはわかりません」ってご説明しました。

ぼく:そこはファンディーノ側のマターだから。

鎌形:ですね。あと郵便局の壁を越えれないので。書類、在宅で受け取らないといけないんで。

ぼく:あぁ、本人確認でね。ある意味、しっかり投資家側の審査をしてるっていうことだから、ポジティブではあるけどね。

鎌形:なので集客のところは、一応やれることはやったけど、実質的にはファンディーノの集客力に任せてた形です。準備期間が 1 週間もあったら、さすがに自分たちもウェブマーケティングの会社なので、広告出したりとかアクションとれたんですが。

ぼく:その期間のところはコントロールできなかったの?

鎌形:言えばできたのかもしれないですね。次やる機会があったら、します。

ぼく:集まったから良かったものの。

鎌形:うち結構ファンディーノの中では小さい案件だったので、比較的集まりやすいだろう、多分集まるだろうなって思ってたんです。ただ、もし次 2 倍の規模でやるってなったら、「ちゃんと告知したいので 1 週間前に案件オープンしてください」っていうのは言うかもしれないですね。

ぼく:なるほど、さっき 3,000-6,000 万円ぐらいがボリュームゾーンって言ってたもんね。

鎌形:ちょっと話題変わりますが、僕と同僚とで、ファンディーノはじめ株式型クラウドファンディングのサービスのことを話したことがあるんですよ。ビジネスモデルとか。その中で、「このファンディーノって会社は、継続するのかね?」って議論になったことがあって。

ぼく:ほう。その理由は?

鎌形:収益源が「成立した案件の 20%」だけなんですよね、基本。

ぼく:あぁ。ってことは 1 回取ったら、同じ案件からはそのあと売上たたないよね。

鎌形:1 年後から月 5 万円の管理費用、っていうのは一応あります。それで管理画面を使えたり。

ぼく:流行りの B2B SaaS じゃないですか。

鎌形:でも 1 社から 5 万円とったところで、ファンディーノは証券業の免許を取ってるので、会計士はじめ士業の方中心に 20 人ぐらい社員?がいるんですよ。

ぼく:そうなのね。始まったばかりなのに結構大所帯。

鎌形:なのでそれなりのコストをかけて運営してる会社で、決算発表もされてますけど、まだまだこれからの事業なんですよね。それで、これからいろんな企業が同様の株式型クラウドファンディングのサービスを始めてくると、絶対どこかで差別化が必要になってくるじゃないですか。

ぼく:そだねー。

鎌形:ってなってきたときに、ファンディーノがもしかしたら 5 年後なくなってるかもしれない、って可能性の議論をしたことがあります。

ぼく:ファンディーノはこの株式型クラウドファンディングだけをやってる会社?

鎌形:です。日本クラウドキャピタルって会社です。ただ仮にそうなったとしても、会社と個人株主の間での投資契約でしかないので、我々の事業運営上特に問題があるわけではないんですけどね。

ぼく:株主への連絡や管理とかを自分たちでやる方法を考えなきゃいけないんだけで。

鎌形:っていうのを考えると、今キャッシュが入る可能性があって、デメリット・メリット比べてもやったほうがいいと思うなら、もしかしたら今やっちゃったほうがいいかもしれない、って話を経営陣でしたんですよ。

ぼく:あー。2-3 年後同じことをやろうと思っても、状況変わっててできないかもしれない、って考えたわけだ。

鎌形:新しい規制が出来たりとかもするかもしれないですし。

ぼく:変わるもんね、金融の世界は。あとは、鎌形くんの会社もエンジェル税制の対象じゃなくなるし。

鎌形:ですです。あと投資家からすると、別にどのプラットフォームで登録して投資してもいいわけじゃないですか。

ぼく:そうだよね。積極的な人はたぶん複数しているんじゃないかね。

鎌形:ってなると、どこのプラットフォームにおもしろい案件があるか、っていうところがプラットフォーム間での競争優位になってくるんじゃないかと仮説を立てて。そうすると案件の取り合いになって、じゃあ手数料も下げて、ってなってくのかなあ。

ぼく:プラットフォーム側が、イケてる案件だけを集めて、グロースさせるところまでサポートする、とかできればカッコいいけどね。

鎌形:それができれば全然違いますね。

ぼく:投資家は質がいい案件が集まるところで投資したい、起業家の側はとりあえず第一にお金が集まるところに出したい。なので、イケてないと判断されたプラットフォームは、投資家が集まらず、結果として案件が集まらなくなっていく、と。

鎌形:Twitter とかブログとかを見てると、投資家の方の中には、ファンディーノ側に求めることとして、新規の案件はともかく、成立済の案件をもっと育てる動きを見せてほしいっていう方も、チョコチョコいるんですよね。

ぼく:「俺が投資したところどうなってんねん」と。でもそれやり出すと、ビジネスモデル的には 1 回終わってる案件なわけで。資金を集めるところをサポートして、そこから 20% もらうっていうのが既に終わっていて、そこから先のグロースのところで、自分たちには売上としては何も入ってこないんだけど、投資家へのサービスとか差別化として求められてはいると。確かにモデルきついね。

鎌形:インセンティブが合わないですよね。株式の一部でもファンディーノが持ってれば別ですけど。

ぼく:だね。もしくは、最初に集めた 20% が、その後 5 年なのか 10 年なのかのグロースをサポートするコストも含んだものなのであれば。今日の鎌形くんの話聞いてると、そもそも資料を作ったりとかデューデリしたりみたいなところのコストがすでに。

鎌形:すごいコストだと思います。僕たちとしては有難い。

ぼく:2,500 万円調達したとき、20% で 500 万円がファンディーノの取り分でしょう。手間かけてるわりに、そんなに高利益じゃないような気がしてきた。

鎌形: だって 2018 年の 10 月に成立した案件うちだけですからね。で 20 人ぐらいの士業の方を抱えてるんですよ。ちょっと厳しいですよね。


ぼく:鎌形くんのところには、500 万円引かれた 2,000 万円が入ってくる感じ?

鎌形:入金されてから払うんですよ。2,500 万円が 1 回入ってきて。

ぼく:2,500 万円は 1 回資本として増えて、費用としてそこから 500 万円が計上される、みたいな。

鎌形:費用も「資本金を獲得するための費用」って 3 年で減価償却できるんですよ。

ぼく:じゃあ P/L 上は、500 ÷ 36 で毎月 10 万ちょいぐらいずつ費用計上される感じなんだ。

鎌形:そうです。それもファンディーノの会計士に教えてもらいました。2,500 万円入ってきて 500 万円払うって不思議な感覚でしたね。500 万円一括で払うことってあんまりないから。

ぼく:おもしろいね。今後どうなっていくのやら。

鎌形:あの業界がどうなるかっていうことは考えちゃいます。でも個人投資家の人たちには、ファンディーノの方も言ってましたけど、お金は多少余ってるような感覚はあります。だからタイミング良かったのかなと。

ぼく:いい案件があれば出したいと。わかる気がする。

鎌形:でもさすがにドキドキはしましたね。日曜の 19 時スタートだったんですよ、投資の受付。

ぼく:サザエさんとちびまる子ちゃんが終わったぐらいの時間。

鎌形:はい。パソコン見てました、ずっと。リアルタイムでカウントアップされていくんで。幸いにも集まったから良かったですけどね。翌日に持ち越したりなんかしたら、心が持たなかったと思います。

ぼく:確かにね。日曜日の夜じゅうに集まったの?

鎌形:最低成立価格の 1,000 万円は 3 分、満額の 2,500 万円は 30 分で。

ぼく:マジ!?じゃあもう、告知から応募開始のときまで、投資家さんたちは待ち構えてたんだ。

鎌形:待ってたみたいです、パソコンの前で。19 時半に集まったんで、安心して、19 時 45 分に地元の中華食べに行きました。

ぼく:そんな勢いで集まるんだね。

鎌形:ですね。キャンセル待ちも結構入って。

ぼく:キャンセルっていうのもあるんだ。

鎌形:1 週間ぐらいキャンセル期間で。

ぼく:入金するまでのタイムラグでもあるのかな。

鎌形:キャンセルも多少出てたと思いますけど、幸いキャンセル待ちが多くいたおかげで。

ぼく:また埋まって。

鎌形:はい、無事に満額決まりました。入金がない人も中にはいるんですって。その場合って、ファンディーナはそういう人をプラットフォームから弾いちゃうらしいんですよ。

ぼく:まぁ実際期限内に入金しないのは無しだよね。

鎌形:我々の場合は 100% ちゃんと入金があったので、よかったですね。普通にウェブサービス作ること考えると、160 人から入金を受けることになって、1 人もミスんないってまず考えられないじゃないですか。

ぼく:そんだけ投資意欲が高いんだね。

鎌形:高いんじゃないですかね。あと、ファンディーノ出禁になりたくないというのもあるんでしょうし。

ぼく:逆に言うと、それなりにイケてる案件で、さらにエンジェル税制も対象ですってなったら、案件として投げればわりと望みの金額は集められちゃうのかもしれないね。

鎌形:かもしれないですね。これはファンディーノも公開してますけど、投資家は 9 割 5 分男性らしいです。だから、うちの「化粧品事業」っていうものに OK サインを出すかは、ファンディーノも最後まで迷ってました。「ピンと来るかな、男性には」って。

ぼく:ほぼ男性なんだね。

鎌形:だから我々も、化粧品でどうこうっていうよりは、募集内容を「アジアの女性をデータベース化して、マーケティングに使っていく、マーケティングカンパニーになります」っていうメッセージに変えたりしました。多少、男性向けにわかるような内容にしなきゃと思って。

ぼく: 確かに、女性向けのマーケティングとかだったら、わかるかもしれない。化粧品とかって言われると、やっぱピンと来ない。

鎌形:ですね。化粧品マッチングさせますよ、みたいのだと全然興味ないでしょうし、わかんないです。それはもうその場に応じて。

ぼく:なるほど。よくわかりました、長い時間お話聞かせてもらってありがとうございました!


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株式会社プラネティア 代表取締役 鎌形より

「今回の資金調達、弊社の事業に共感いただいた 168 名の株主と、FUNDINNO 側で調達実現に向け全力でサポートいただいた関係者の皆様、本当にありがとうございました。

 これを機に、来年はより飛躍の年として、アジアの女性、そして日本のお客様に喜んでいただけるサービスを作って参ります。

 これからも引き続きよろしくお願い致します。

 P.S. 達夫さん、本記事の為にお時間頂戴しましてありがとうございます!

 次回うちが募集する際は達夫さんもエンジェルとして是非!!」
 

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Q

2018/10/24

デブとデニムに関する調査結果

最近だんだん涼しくなってきて、長ズボンをはく日が多くなってきましたが、ぼくはまだ時々短パンをはいています。

というのも、ジーパンを 1 本しか持ってないんですよ。
元々 3 本持っていたんですが、夏前に 2 本破れてしまって。
なのでその 1 本が洗濯中のときは、仕方なく短パンです。

...っていう話を職場でしたら、雀鬼・谷やん (最近はポーカーばっかりやってる) に「いや、ジーパンは破れないですよww」って煽られまして。

ぼくの中では、4-6 ヶ月ぐらいで破れて、そのたびに新しいのを買う "消耗品" という認識だったのですよ、ジーパン。
みんなそうだと信じてて。

そのまま言い争っていても仕方がない、示すべきは意見ではなくて事実だ、データだ!ということで、恥を忍んで Twitter でアンケートをとってみました。

 男性の方に質問です。ジーパンって定期的に破れますよね?(僕は股のところが弱いのですが、場所は問いません)

回答項目はこの 4 つ。
  1. 私はデブで、破れます。
  2. 私はデブで、破れません。
  3. 私はデブではなく、破れます。
  4. 私はデブではなく、破れません。
これによって、(自称) デブと非デブの比率、ジーパンが定期的に破れる人と破れない人の比率、デブかどうかとジーパンが破れるかどうかの相関が分かるわけです。

天才や。MIT から招聘されるんじゃないかしら。

で、なんと 201 もの回答が集まりました!!すごい!!
ぼくがすごいのか Twitter がすごいのかは分からないけど、すごい!!

では、まずは生データを公開しちゃいます!
データ示して終わるのは二流、インサイトを導きだしてこそ一流 (さらにアクションプランにまで落としこめれば超一流) ということで、このデータから得られる学びを紐解いてみましょう。

1. デブ:非デブ=30:70

1・2 の合計がデブ、3・4 の合計が非デブです。
どうでしょう、ぼくの感覚では日本人の 6 割ぐらいはデブだと思うので、Twitter やってる人はちょっと自己評価を甘くしがち、と言えるんじゃないですかね。

次いってみます。

2. ジーパン破れる派:破れない派=31:69

比率的にはほぼ上のデブ・非デブ比率と同じです。
破れる派はこんなにマイノリティなんですね...この時点で既に谷やんに惨敗です。

3. 【非デブ】ジーパン破れる派:破れない派=23:77

驚くべきことに、非デブは 2 割強ぐらいしかジーパン破れないんですって!

いや、それは逆です。
ここはむしろ「非デブでも 2 割強はジーパン破れる人がいる」というのが正しい解釈です。

デブの貴兄におかれましては、ジーパン破れる・破れない論争になって「お前デブやから破れるんやってww」と煽られた際、しゃんと立ち上がって「意義あり!」と宣言した上で、

非デブでも 2 割強の人はジーパンが破れるというデータがあります。キリッ

と整然と述べましょう。

4. 【デブ】ジーパン破れる派:破れない派=50:50

デブの半分は定期的にジーパンを破いている。
非デブは 2 割強しか破く人いないのに。

これはさすがに...デブはジーパン敗きやすい、と結論づけざるを得ないかしら...
無念...

いやむしろ、デブなのにジーパンを破かない人が残り半分いるって凄いな!


【番外編】

Twitter およびリアルで寄せられた意見として、
  • ユニクロのジーパンは破れる
  • ある程度高いジーパン買えば、生地がしっかりしてるので、破れない (破れにくい)
  • サイズがぴったりのジーパンを選べば破れにくい。小さくても大きくても破れやすい
というものがありました。

ユニクロ以外の服屋に行くのが怖い、かつ、価格が 5 桁円以上の服を買うのが怖いぼくにとっては、なかなかハードルが高いアドバイスです。
どうもありがとうございました。

Q

2018/09/22

中田英寿と就職活動

AbemaTV で『中田英寿20年目の旅 セリエA在籍5クラブを訪ねて』というドキュメンタリーが無料で公開されていたので、約 2 時間弱、食い入るように観た。


人に聞かれたらしばしば答えているのだが (多分この blog では書いてないと思う)、ぼくが新卒ファーストキャリアで楽天を選んだのは、「中田英寿が高校卒業後にベルマーレ平塚を最初のクラブにした」という選択に大きな影響を受けている。

高校時代から年代別の日本代表に選ばれていた中田英寿は、高校卒業時には J リーグの 14 チーム中 13 チームからオファーがあったそうな。
いわゆる名門チームに入るという選択肢もあった中、ベルマーレ平塚を選んだ理由は大きく以下の 2 つだったとのこと。

①チームが若い
②イタリア留学を認めてくれた

①をもっと細かく分解すると、上下関係があまり無く自由な雰囲気である (自分に合っている) というのと、(実力さえ示せば) 主力として試合に出やすいということ。

②は、当時から世界を意識していた中田英寿の考えにベルマーレは理解を示し、短期とは言えユベントス留学を確約してくれたとのこと。

いずれも、短期的に「今どのチームがベストなのか」ではなく、中長期的なキャリア (日本代表で活躍することや、海外リーグへの移籍など) を見据えて、そのために必要なものが何か (試合に出ることを通じた自らの成長、日本代表や海外のチームへのアピールの場、ストレスなく練習・試合に集中できる環境、など) を逆算して考えてのことだ。

最終的に入社した楽天のほかにぼくは、ミキハウスと Google から内定をもらっていた。

 
就活で色々な会社を見て、年齢に関係なく大きな仕事を任せてもらえるのは、「オーナー企業でビジネス規模が大きい会社」か「ネットベンチャー」だと考え、最終的にご縁があったのがその 3 社だったのだ。

子供服はその中でいうと、比較的自分が新しいバリューを生み出すのが難しそうだなと思った (インターネットサービスと比べると、新しいサービスやビジネスを創り出せる自身がなかった) ので、Google と楽天に絞った。

どうするかかなり迷っていたある日のこと。
2 世代上で新卒で楽天に入っていた、今でも尊敬する東大出身の先輩とお話する時間を、人事にセットしてもらった。

そのときに言われたことの 1 つを今でも不鮮明に覚えている。(つまりうろ覚え)

「Google とか、日本中の頭いい人から選抜されたやつらが同期になるのに、きみ (ぼくのこと) その中で目立てるぐらい頭よかったりするの?

「楽天は正直、頭より体力と気合で勝負するタイプが多く入ってくるから、東大出身でそれなりに頭よかったら、目立つチャンスは多いよ

確かに!
そっちのほうが若いうちから「試合に出れる」チャンスが多そうだ!

そう思ったぼくは、スーパースターが集まる (と思っていた) 銀河系軍団 Google の内定を丁重にお断りして、(2008 年当時、しかも東大からの新卒という文脈においては) ベルマーレ平塚の楽天に入団することにしたのである。

 
(ちなみについ最近聞いた話、Google が日本で文系の新卒採用を始めたのはぼくの代 (2008 年卒) が初めてだったのだけど、内定辞退はぼくが第 1 号だったらしい!)

えらく失礼なこと書いてる自覚はあります。
気を悪くされた方いたらごめんなさい。
あくまで世間知らずなぼくが、学生だった当時に思っていたことです。笑

まぁ実際フタを開けてみると、2008 年の楽天新卒同期 170 人弱で東大卒は片手で数えるほどしかいなかったし (その後年を追うごとに増えていった)、新卒採用始まって以来初めて、経営企画系の部署にいきなり配属されたり (アオアシでいうと、いきなり A チームの練習に参加させられるようなかんじ) と、確かに年齢・実力が至らない割には高いレベルでプレーさせてもらうことができた。

めでたし、めでたし?

ただ、この認識もかなり自己正当化バイアスがかかっている可能性はある。

結局 3 年半楽天にいたあと、Google に転職することになり、内定を辞退していなければ同期になっていたはずの人と一緒に仕事をする機会もたくさんあった。

そっちを選んでいたらスーパーすぎる人たちの中で埋もれていたか...というとそうでもない気がする。
成長する機会により恵まれていなかったのか...というとそれも判断が難しい。

将来どうなるかなんて考えても分からないし、判断が良かったか悪かったかを厳密に評価することも出来ないからねぇ、競馬の予想なんかと違って。

ただ少なくとも良かったのは、最後まで自分でじっくり考えて、自分なりの納得いく基準でもって選択したことかな。
結果がどうなっていても、その選択プロセスについては後悔することは恐らくなかったんじゃないかと思う。

というわけで、中田英寿の映像を見たことをきっかけに、時々学生さんとかからよく聞かれる「新卒でこの会社を選んだ理由」について書いてみました!

Q

2018/08/20

その出費は消費か投資か?

何年か前から、ぼくが妻に何度となく繰り返してきているフレーズがある。

「これは消費じゃなくて投資やから。」
「その出費は、消費?それとも投資?」

(書いてみると凄いミサワ臭ある)

たぶん最初は、ぼくのエンジェル投資を「やりすぎちゃう?」と妻に注意されたときに、自分を正当化するために

「いや、これは消費じゃなくて投資やから。資産としてうちの家計の BS (バランスシート) には残ってるし、確率は高くないけど大きくプラスになって返ってくる可能性もあるやん。だからそんな無駄使いみたいに言わんといてや☆」

みたいな言い訳をしたことがキッカケだったんじゃなかろうか。

投資といえばインベスターZ

言い出してから、逆に自分でもこのことを意識するようになってきた。

昨日、妻と子どもが 2 週間の語学留学@スリランカから帰ってきた。
航空券と宿泊費、食事代、毎日マンツーマンで英語レッスン、ホテルはプールつき、動物園とかウォーターパークにも行けて (孤児院に訪問したりもしたらしい)、3 人でウン十万円。

これを高いと見るか安いと見るか。
絶対的な金額としてはもちろん安くはないけど (キャッシュフロー若干やばめw)、自分としてはこれは消費ではなく投資だと思ってるので、リターンに対してむしろ割安だと思っている。

もちろん 2 週間じゃ全然英語喋れるようにならないし、下の娘に至っては途中から英語レッスンをサボっていたらしいwけど、日本みたいなイージーモードじゃない環境にある程度長い期間滞在することや、外国の人、歳の離れた子どもたちと交流するっていう体験は、長い目で見てきっとプラスになるはず。

(願わくば。)

少なくとも妻は、食事の用意とか掃除とか 2 週間しなくて済んで、子どもの面倒もけっこう見てもらえて、かなり楽できたらしい。
(子どもの夏休みは鬼門。。。)
それだけでも多少は価値あったかな!これは完全に消費やけど。

ちなみに、消費を否定する意図は全くないし、むしろ消費は消費で全力で楽しむべきだと思ってる派。
むしろ、人生を彩り、豊かにするものは、当人以外にとってはもしかすると無駄に見えるかもしれない、消費活動による部分が非常に大きいと思っている。

Q

2018/07/30

いよいよ日本でも開始!『Apple Search Ads』について必ず知っておきたいポイント

 
ぼく:以前から出る出ると言われていた Apple Search Ads (アップルの検索広告) ですが、いよいよ本当にこの夏に日本でもリリースされる (※) ということで、既に US で Apple Search Ads の運用をされていて色々詳しいというリバティーンズさんにお話を伺いにきました!

堂道さん (以下「堂道」)・山口さん (以下「山口」):よろしくお願いします!

後で出て来ますが、Search Ads Advanced は 2018/8/2 8AM、Basic は 2018/8/23 2AM から利用可能になります。(Apple 公式ページ参照)

ぼく:以前にもリバティーンズさんにはこの blog でインタビューさせていただきましたが、ASO と検索広告にむちゃんこ詳しいですよね。

参考→ 2018年注目の『アプリストア検索広告』とASOについて抑えておきたい5つのポイント

堂道:そうですね、ASO と、Google, Apple のアプリの検索広告に特化して事業を行っているので、日本では一番最新情報に触れているんじゃないかと思います。

堂道さん。元ケミストリー、ではない

山口:自分たちでもアプリを出していて、昔から試行錯誤を繰り返しながらノウハウを溜めてきているというのも、他の ASO 事業者さんにない特徴かなと思います。

ぼく:いつも色々教えてくださってて、すごい勉強になってます。早速なんですが、Apple Search Ads についてざっくり教えてください。

Apple Search Ads (App Store 上の検索広告) とは


堂道:Apple Search Ads とは、一言でいうと「App Store 専用キーワード検索連動型広告サービス」です。

ぼく:App Store 内でユーザーがキーワード検索を行った際に、検索結果一覧の一番上に広告枠が出てくるよ、っていうやつですね。Google Play では既にありますよね。

堂道:はい、その通りです。iOS11 の App Store から導入され、アメリカでは 2017 年 2 月 5 日からサービス開始していました。日本では 2018 年 8 月に開始されます。


ぼく:1 年半も間が空いてるんですね。US にアカウントがないと使えなかったんですか?

山口:アメリカ以外の企業でもアメリカに公開しているアプリであれば出稿可能でした。例えば日本の事業者のアプリでも、アメリカの App Store に公開されているアプリであれば Search Adsは実施できたんですよ。

ぼく:へー!じゃあ日本でも実は使ってた人はけっこういたんですかね。

堂道:どうですかね。英語にローカライズしていないとそもそもダウンロードされませんし、アメリカでプロモーションを行えるような日本のアプリ自体それほど多くないですからね。

山口:ただその中でも我々は自社・他社アプリ含めて Apple Search Ads をかなり運用してきて、ノウハウもけっこう掴んでいます。

山口さん、心なしか前回より痩せた気がして嫉妬

ぼく:相変わらず早いですねw ストアの検索上位に出したいというアプリパブリッシャのニーズを考えると、Search Ads 自体はかなり使われているであろうことが想像に難くないです。

山口:おっしゃる通りで、Apple の Search Ads の北米での売上は 2018 年 6 月末現在で約 1,000 億円あります。

ぼく:ぬおーまじっすか!プラットフォーマー強ぇ...

Apple Search Ads でできること


堂道:もう少し詳細に、Apple Search Ads で出来ることを説明しますね。

1. キーワード入札


iPhone・iPad ユーザー (選択可能) が検索したキーワードに合わせ、広告を出稿可能です。
例えば、「RPG」というキーワードを入札している場合、「RPG」と検索されたときに広告が表示されます。
Google と同じように「完全一致」と「部分一致」の概念が存在します。

2. 検索上位表示


広告はかならず検索結果の最上位に配置されるため、実質的に検索順位の最上位への掲載を実現可能です。
検索結果につき広告は 1 枠しか表示されません。

3. 掲載データの取得


Apple Search Ads では、特定のキーワードで広告が表示されたときの表示回数・インストール率等のパフォーマンスが詳細に閲覧できます。
ここから、効果のいいキーワードの特定などが可能です。

Apple Search Ads 実施のメリット


1. 市場規模の大きさ 


Apple Search Ads の北米での総売上は、2018 年 6 月時点で約 1,000 億円となっており、日本でも相当に大きなボリュームになることが予想されています。
巨大な市場内で、狙いたいユーザー層を選定可能です。

2. コントロールがしやすい


Apple Search Ads は入札キーワードの入札金額や、出稿したいユーザーの性別・地域など、詳細な設定が可能です。
これにより、パフォーマンスの可視化や調整・最適化が容易な広告媒体であると言えます。

3. 他方面へのデータ活用


Apple Search Ads ではキーワードの詳細な掲載データが閲覧できます。
これにより効果のよいキーワードを特定し、クリエイティブ作成や SEO (ASO) 施策へ活用できます。
また Search Ads は広告グループ毎に最敵なスクリーンショットの “出し分け” が可能で、効果的なスクリーンショットの提案にも繋げられます。

Search Ads と ASO の相互活用


ぼく:ありがとうございます。検索広告といえば最初にぶつかる壁が、キーワードの選び方だと思います。おすすめのキーワードの選定方法ってありますか?Google のようなツールがあったりするんですか?

堂道:Google のキーワードプランナーの様に具体的な月間ボリューム件数は把握できないですが、Apple Search Ads の管理画面で登録してみたいキーワードの候補を入力すると「人気度」みたいな形でおおよその検索ボリュームが表示されます。
画像をクリックして拡大

ぼく:なるほど。でもそれもキーワードの候補があっての話ですよね。

山口:そうですね。なので我々が運用させていただく場合には、過去の ASO や Google の検索広告の運用データから、それぞれのアプリに対し最も効果が高いであろうキーワードを推定し一度運用します。その後、結果の実数値と照らし合わせて再度キーワードを調整します。

ぼく:ほ〜、それは過去からやってきてる知見が活きそうですね。レポートではどのような情報が得られるのかも気になります。

堂道:Search Ads の管理画面ではキーワードごとのトラフィック、CVR、CPI、CTR、TTR (tap through rate) などが見れます。

ぼく:なるほど、とりあえず獲得のところまでは十分なデータが管理画面だけでもとれそうですね。出稿時の課金形態は、CPI/CPC/CPM でいうとどれになります?

堂道:Apple Search Ads の課金形態は CPC です。我々がクライアントに提案する KPI は CPI または ROAS が一般的ですね。

山口:あと、実は Apple Search Ads には 2 種類の出稿形態が存在するんですね。

ぼく:2 種類?

「2種類あるんだよねー♪」「ねー♪」

Apple Search Ads の 2 種類の出稿形態


堂道:はい。1 つ目 Apple Search Ads Basic は、大きく広告予算を使う余裕はないけれど固定の CPI でユーザーを獲得したいデベロッパーが実施可能なメニューです。月の予算上限はアプリごとに 50 万円で、現在はアメリカのみ実施可能です。

山口:今のところの予定だと 2018 年中には全世界で実施可能になるとは言われています。

ぼく:AppLovin でいう self serve みたいなもんですね。

堂道:もう 1 つは Apple Search Ads Advanced というやつで、こちらが CPC メインで大きくユーザーを獲得したいユーザー向けです。こちらは予算上限はありません。

ぼく:なるほど。CPI は保証されないかわりに、そのリスクの分だけ強くアクセルを踏めると。

堂道:はい、Advanced のほうは当然ながらきちんと運用しないと CPI が高騰してしまうリスクがあり、実際に他の代理店さんが CPI を合わせられずに撤退しているのを見てきています。

山口:特にアメリカで 2017 年に開始された時は色んな代理店やデベロッパーがこぞって参入した結果、全体的に CPI が高騰しました。でも 3 ヶ月後には効果が合わないといって皆さんやめていきましたw

堂道「パンうめえ」

ぼく:その速さはアメリカっぽいw

堂道:その中でも我々は顧客の要望を満たすことによってクライアントを拡大し、知見を得てきています。そのノウハウを最初からフル活用しながら、日本で最初に実施することで、良質なユーザーの囲い込むことが可能だと考えています。

リバティーンズの Search Ads 運用サービスの特徴


ぼく:これ聞いちゃうとノウハウ流出しちゃうかもしれないんですが...差し支えない範囲で、もうちょっと具体的に運用ノウハウについて教えてほしいです。例えば、ノウハウがないとどうなるんですか?

堂道:例えば、漠然としたキーワード入札により、キーワードランキング上昇がほんの僅か、最悪の場合一切上昇しない、なんてことにもなりかねません。

画像をクリックして拡大

堂道:まず施策の目的についてですが、他社は集客チャネルの一部としてのみ Search Ads を提供致しますが、ウチではオーガニック及び広告価値最大化による集客力の最大化を提供します。オーガニック・広告双方の集客効果を最大化し、アプリの集客を最大限高める施策をご提案可能です。

ぼく:すごい最大感ありますね!前回の記事でもおっしゃってましたが、広告単体でのパフォーマンスを高めて終わりではなく、広告で得た情報を ASO にフィードバックしてオーガニック流入を増やして、その逆もやって、っていうことですよね。

堂道:おっしゃる通り、リバティーンズの運用ではオーガニック・広告双方の効果を最大化します。それぞれどのような施策を行うかを紹介しますね。

①オーガニックに関して


オーガニックの最大化は、ASO (アプリストア最適化) によるキーワード順位上昇とオーガニック CVR 上昇で実現致します。それぞれ下記のように対応致します。

【キーワード順位上昇】

過去 8 年間に渡りASOを実施し続けていた経験から、キーワード順位上昇のためのノウハウを膨大に蓄積しています。
これにより、キーワード順位上昇のポイントを抑えたASOを提案可能です。

順位変動時や、App Store の検索アルゴリズム変更時などは、再度 ASO を提案し対応します。
(ちなみに多くのデベロッパーさんは気付いているかと思いますが、2018 年 7 月 15 日から App Store の検索アルゴリズムが変わっております。当然弊社では何が変わったかはすべて把握しております。)

ASO は基本的に無償で提供します。

また独自のノウハウにより、Search Ads の品質スコアや "類似アプリ" の最適化・パフォーマンスの調整が可能です。

【オーガニック CVR 上昇】

オーガニック CVR、つまりストアページに来たユーザーが実際にインストールしてくれる割合ですが、アイコンやスクリーンショット、レビュー等によって大きく変わります。
例えば、過去にスクリーンショット変更で CVR が 1.5 倍向上した事例もあります。

他の ASO 事業社さんの場合、ASO 施策ではキーワード上昇施策のみしか行われないことが多いです。
オーガニック CVR 上昇の施策を交えたご提案が、リバティーンズ運用の特徴であり強みです。

②広告に関して


リバティーンズの広告運用には下記2つの強みがございます。

【運用最適化】

過去 8 年間に渡り ASO を、アプリの検索広告はリリース時からずっと提供していた経験から、多数の知見を蓄積しています。
この施策は独自の運用により、ASO のキーワードランキング最大化にも寄与します。

【キーワードナレッジ】

過去の ASO の経験から、アプリのジャンル・カテゴリごとに、どのキーワードの効果が良いか、悪いかのようなキーワードナレッジを大量に保持しております。

このナレッジは広告運用の最適化を速め、ASO にも流用可能です。

両方やらんと意味ないねん、と力説

山口:他社では ASO・広告のどちらか一方を提供するケースが多いですが、リバティーンズでは上記 2 つの施策を組み合わせ、ASO・広告の効果を互いに最大化します。

ぼく:実際 ASO と広告って同時にやったほうがいいっていう客観的なデータとか根拠ってあるんですか?

堂道:実はあるんですよ。iOS において ASO と Search Ads に相関関係があることは、Search Ads 公式ページにも記載されております。
画像をクリックして拡大 / ソースはこちら

堂道:この画像はアップルのヘルプページのスクショです。

ぼく:ほんとだ...ASO きちんとやってれば、広告を出したときにもいい影響があるってことですね。逆にいうと、このへん知らずに適当にアプリ出してるだけだと、かなり機会損失生まれてしまいそうですね。

堂道:そうですね。実際我々が過去に運用したアプリでも、ASO と Search Ads を両方やった複合効果によってキーワード順位が上昇し、以降も安定した、みたいな事例がいくつもあります。ゲームでも非ゲームでも出来るというのもポイントですね。
画像をクリックして拡大

ぼく:ありがとうございます、今日もすごい勉強になりました。ぼくも AppLovin の新規事業で Lion Studios っていうパブリッシャーの立場になったので、あらためて色んな広告や ASO とかについても勉強しなきゃいけないなと思ってるんですよね。

山口:またアップデートがあったら話しに来ますよ。坂本さんの blog 読んで連絡くださる方、けっこういるのでw



今回の記事は以上です!
もしリバティーンズ社に ASO と Apple Search Ads 運用をお願いしたい・相談したい方がいたら、ご紹介可能なので気軽にお声がけください (*^ω^*)

この blog の内容が役に立った!っていう方はコチラから投げ銭をすることもできます。1 口 300 円、今後有益な記事を書いていくための原資にします!



Q

2018/05/22

TwitterでDMくれた地方出身の子と当日即アポして応援した話(エロ要素なし)

本人からも了承とれたので、本名で書きます!
記念写真も撮っておけばよかった。

長文になるんで、中身に興味ない、でも若者の挑戦は応援したいぜ!って方は、この記事の一番下までスクロールして、300 円投げ銭してから離脱してくださいw
この記事で集まったお金は、月末ぐらいで締めて彼らに送金します。



事の始まりは昨日 (2018年5月22日) のお昼過ぎに突然届いた Twitter の DM。

"初めまして、大西洋と申します。
明日からイスラエルへ行き、起業しようと考えているものです。
現在Qpicksという質疑応答サービスを出しています。https://q-picks.com
エンジェル投資家の方からの出資を希望しており、本日一日東京にいるのですが、是非お会いして頂けないでしょうか。
突然で大変恐縮ですが、よろしくお願い申し上げます!!!"
from タイセイヨウ @r0_he

ちょっと突っ込みどころが多すぎて戸惑う。

ざっと tweet を拝見したところ、悪意あるかんじでも、いわゆる意識高い系でもなく、なんというかピュアに無知な夢みる若者なんだな、ということがわかり。(悪口言ってごめん)

しかも拠点が岡山ということで (ぼくは小学校の 4 年間を岡山県津山市という地方都市 (地方都市って東京から見ると残念ながら大概イナカですよね) で過ごしています)、多少シンパシーを感じて。

ぼく週の半分以上はわりと早い時間に帰宅しているのですが、その日はたまたま会食の予定が入っていたので、こう返信。
18時に渋谷とかであればいけます! もしくはテレカンでも!

後から聞いたのですが、彼らいろんな人に DM 送りまくったもののことごとく無視され、唯一会ってくれたのは某空島の住人のみ (彼とぼくとは同い年です。これ豆な) で、すごい暇してたらしい笑。
かくして、この急な meetup が、渋谷の TATSUYA 2階のスタバで実現する運びとなりました。


あらわれたのは大西 洋 (タイセイヨウではなくオオニシ ヨウ - 多分読み方はヨウのはず 訂正 : ヒロでしたw) 氏と鈴木 雅之氏の 2 人。
大西氏は広島大学出身でメーカーの営業を 1 年経験した 23 歳。
鈴木氏は岡山大学休学中、BitStar でインターンをしていたというエンジニア、21 歳。

ガチで翌日 (この blog を書いている日付の、まさに今日) のフライトで 2 人でイスラエルに飛ぶそうな。
スーツケース持ってきてたw ガチだww

現地での滞在先は初日だけ、1 泊 $10 以下で泊まれる、なんか屋根裏部屋みたいなところで決まっていて、以降はノープラン。
とりあえず Qpicks https://q-picks.com という、 プレゼン時とかに質疑応答をできるサービスを作ったのでそれをひっさげて、頑張って向こうで起業して、一山当てたいです!という。

もうこの時点で、ぼくはかなりポジティブで幸せな気分で満たされたわけですよ。

左脳は「こいつはやべぇ」って冷静につぶやき続けてましたよ、そりゃあ。

サービスも (実際使ってないから細かいとこは分からないけど) 海外発で似たようなのいくつかあるし (なんなら Google 時代の中国人の同僚が、似たようなすごいクオリティ高いやつを数年前からやってる)。
そういった競合調査みたいなのも、作り終えるまでほぼやらなかったって言うし。

その状態でエンジェルから資金調達しようとしている。

ぼくが悪い投資家だったら、ひどい条項つきの契約書で、100 万円ぐらい渡して、真綿で首を絞めるように搾取したるで。
っていうぐらい、なんというか、いちばん基礎的な念による防御さえできてなくて、危ないからコッチ来んな、っていうレベル。

なんだけど、それ以上にすごいポテンシャルを感じたんですよね。

最近読んだ Ramen Hero の founder, Hiro Hasegawa さんの記事「僕がサンフランシスコで起業した理由」で、一番心に残ったフレーズが、
「いつか米国に戻ってきて何かやりたいと思っています。」
そう話すのを何度と無く色々な人達から聞きました。あれから数年経って、こちらに戻ってきた人はいません。
という部分で。

起業家として成功するのに何が必要かって話で、いろんな要素はあるけど、とりあえず、起業してない人・最初の一歩を踏み出してない人で、成功してる人っていないわけですよ。
(異論は認めます)
つまり彼らには圧倒的な行動力がある。
(ちょっと有り余ってる感もある)

また、非エンジニアの起業で最初に立ちはだかるハードル「最初のエンジニアがいない問題」をすでにクリアしていて、しかも一緒にイスラエル行っちゃうってぐらい意気投合している。
これは相当すごい。

知識的な意味では、スタートアップのこととか起業・経営のこととかは全然詳しくないんだけど、その分変に頭でっかちになってなくて、「こうしなきゃダメだ」「これはやっちゃいけない」「こういう理由で出来ない」みたいに、自分たちにキャップをかけていない。
かといって、話してみると、変に意固地な・頑固なところもなく、むしろ素直すぎるぐらいこちらの言うことを真摯に聞いてくれて。

こんなこと言うとすごいオッサンっぽいんだけど、なんというか伸び代の塊みたいな印象を受けたんですよね。


で、結論から言うと、現時点では彼らに対してはエンジェル投資はしないことにしました。
っていうか会う前から決めてたんですけど。

そもそもこのプロダクトを彼らがどうしてもやらなきゃいけない・死んでもやり遂げたい理由や原体験 (プレゼンが上手くいかなくてウンコ漏らしちゃったとか、プレゼンが上手な先輩に彼女を寝取られたとか) があるわけでもないそうなので、今後ピボットする可能性は十分にありえますと。

そんなフワッとした状態で、ぼくに限らずどこかから投資を受けてしまうと、場合によっては今後とりうる選択肢を狭めてしまうかもしれない。
今後まったく未知の世界に飛び込んで、今からは予想もつかない展開があるであろう、にも関わらず、それはとても勿体無い。

事業的に見ても、正直いまやってるプロダクトで大きく成功するかどうかは正直怪しい (その上でも、こういうポテンシャルはあるんじゃないかって話はしました。可能性がないわけではないと思うので) し、むしろ日本のユーザーを対象にしてるのに PMF 見つけなきゃいけないタイミングでユーザーから遠く離れてしまうって、それ半端ない悪手だよね、みたいな。

ただぼくが期待したいのは、彼らがこれから冒険の中で、いろんな人やサービス・プロダクトに触れて、自分たちが本気で勝負したいと思うフィールドを見つけて、その時までに戦士として今よりもめっちゃ強くなっていること。
その時にまだぼくのサポートを必要としていたら、微力ながら助けになってあげたいなと、思ったわけです。

ええ話やろ。

んでついでに現実的な話として、ゆーてもキャッシュが尽きたら帰国せざるを得なくなっちゃうので、いわゆるバーンレートを極力抑えて、何かしら収入を得る手段を考えたほうがいいよという話もしました。
多くの学びを得られるであろう (知らんけど多分) イスラエルという異国になるべく長くいたほうがいいと思って。

たとえばエンジニアの鈴木さんは、(インターンでエンジニアとしての業務経験、チームで働いた経験もあるとのことなので) クラウドワークスやランサーズで受託案件をとってラーメン代を稼ぐとか。

大西さんも鈴木さんも、現地のテック系企業やスタートアップでなんとか、日に 5-6 時間働かせてもらうチャンスをゲットして、お金を稼ぎながらスキル・経験も学んじゃえよとか。(若いから睡眠時間削れば十分自分たちのプロダクト開発はできると踏んで)

あとはぜひ note で、イスラエルの生の様子を定期的に中継して欲しいと。
ぼく個人としてもすごい興味あるし、なかなか世の中にないレアリティ高い情報なのでワンチャン儲かる可能性あるし、「イスラエルと言えば榊原さんと大西・鈴木さん」みたいな立ち位置・ブランディング築ければ何かやるときのパワーにもなるし。

今すでに「イスラエルの屋根に住む起業家」っていう note をやってるようなので (今日のご飯、っつってサバの写真載ってるのとかどないやねんw)、そのうちこれがイスラエルのスタートアップのリアルを伝える月額マガジンになるはず、だと思う。
生々しい記事を期待したい!
要チェックやで。



というわけで、昨日面白い若者に会ったよっていう日記でした!

何かしらイスラエルに関係あるとか、彼らを何らかの形で直接応援したいよって方は、Twitter;
大西さん @r0_he
鈴木さん @masayuuuki0
か、必要あれば直接メッセで紹介します。

note が出たら、みんなで課金して応援してあげましょう!
(※ちなみにぼくにバックが入ってくるみたいなのは当然何もないし、前述の通り彼らの会社に投資してもない・今後しばらくする予定もありません)

この blog への投げ銭を通じて彼らを応援したい!っていう方はコチラからどうぞ。1 口 300 円、今月の投げ銭の売り上げは全額彼らに送金します。




以上!おやすみなさい!

Q

2018/05/15

”捨てる"ことで幸せになったものを紹介するよ

先日「自分が正当に評価されていないと嘆く君へ」という、組織における人事評価に関するエントリ (上から正しく評価されることを諦めると幸せになるよ、という趣旨) を書いたところ好評でした。

なので、他にもこんなものを「捨てる」と決めたら幸せになったよ、という個人的体験を軽く書いてみようと思います!

社内からの評価


先の blog エントリの通りですね。
ただよく考えてみたら、僕はその後ほどなくしてその会社を辞めているし、その過程で「別に今いる会社で評価されなくても、どっか別のとこで雇ってもらえればいいし、そうなれるように実績とスキルを積んでおこう」って思うようになったなぁと。

なので、本当に捨てたのは「1 つの会社にしがみつく生き方」とかそういうやつなのかもしれん。

未来は予想できる、という思い込み


昔々ぼくは、将来はこういう風になりたいから、そのためにはこういう能力を身につけて...と、将来から逆算して今の行動を決めていた。

でも、これまでのキャリアで、事前に予測できていたことってマジでなかったなぁと。

Google と楽天の内定を持ってて、楽天を選んだときには、3 年ちょっとで Google に転職するとは思ってなかったし。
(でもそのとき楽天を選んで良かったと思ってる)

楽天には (コード書いたことないのに) 開発側で採用されてたので、ほんとだったらエンジニアやるはずだったのに、経営企画的な部署に配属されて係数管理や M&A をやることになるなんて思ってなかった。
(でも凄い恵まれてた。人にも経験にも)

Google に転職したときには、まだ今所属してる AppLovin はこの世になかった。
AppLovin に転職を決める 3 ヵ月前までは、実はこの会社の名前さえ知らなかった。
(マジです)

事前に「何年後にこれをする」と決めていたら、(そもそもその通りにいかなかったと思うが) この人生はおそらく得られなかったわけだよ。
あぁおそろしい。

たぶん大前提として、世の中そのものが自分の予想のつかない変化を、予想のつかないスピードで起こすっていうことと、自分自身の興味関心が予想外に変わる、自分自身が変化するとそれまで見えてないものが見えてくる、という【外部】と【内部】の要因が、自分の人生の将来予測を困難にしてるんじゃないかなぁ...

これからも、その時その時の直感を信じて、【面白そう】で【誰かの役に立ちそう】で、できれば【中長期で投資対効果が高そう】なことに巡り合ったら、ちょっと考えて基本やる、という風にアクションをとっていこうと思っています。

もっと良い人生の伴侶に出会える可能性


ぼくけっこう早く (お互い 23 歳のとき) に結婚してるんですが、時々聞かれるのが、なぜその早いタイミングで結婚を決めたのかということ。

確かに、その人よりも良い (ここは議論のポイントじゃないので、あえてシンプルに) 人と将来ワンチャンある可能性は、その時点では十分あった。

秘書問題とかお見合い問題とか言われる数学の問題によると、生涯で結婚するチャンスがある人 n 人と出会うとすると、n/e 人目で結婚するのが最も「ベストな人と結婚できる確率」が高いらしい。笑
詳しくはこちら

妻自身、時々ぼくに「多分あなたには私よりも良い人と結婚できた可能性がけっこうあったよね」という趣旨のことを言ってくる。
ぼくも妻に同じことを言う。

序盤の序盤に意思決定するのがベストな選択肢じゃないってことに、おそらく彼女は直感的に、ぼくは論理的に、気づいているのである。

でも、あえて早く結婚して、「他のもっと良い人と結婚できてたかもしれない可能性」を捨てた (ちゃんと捨てたw) ことで、無視できないぐらい良いことがあった。

ひとつは、一定確率で【伴侶探しに大きなリソースを使っていた】かもしれない世界線を回避できたこと。
多分彼女つくるため合コン行ったり、マッチングサービス使ったり、メシやらモノやらでお金を使ったり、していたんだろう、少なからず今よりは。

貰い物の企業ノベルティ T シャツに短パン・クロックス、みたいな気楽な格好も出来なかったかもしれない。
(良い年こいた社会人としてそれどーなの、ってツッコミはあーあー聞こえなーい)

もうひとつは、早く結婚して早く子どもを (運良く) 作れたことで得られた、比較的体力のある若いうちに子育てが出来たり、今後子どもが親元を離れる時にまだ割と若い、という "同じライフステージを迎える人の中での相対的な若さ"。

結婚生活がわりと上手くいってるから結果論として言えるのかもしれないが、早くにサクッと結婚決めちゃうの、悪くないと思ってます。

仮にダメになっても早くにリセットできるし...とかは言わないほうがいいのかな

肩書き


これは今の会社に強く影響されてる自覚があるんだけど、自分や他人の肩書きに対してまったくこだわりがなくなりました。

うちの会社って、そもそもまだそこまで組織が大きくないからレイヤーが少ないってのもあるんだけど、肩書きが全然 "盛って" なくて超シンプルなんですよね。

外資 (特に海外支社) でけっこうよくあるのが、入社するときに条件として肩書きを出す (例えば、ほげほげマネージャー、ほげほげディレクター、みたいな肩書きじゃないと入社しないよ、みたいな) 人。
あるあるですね〜。

たぶん、その会社を辞めたあと次の転職をするときに、良い条件でオファーをもらいやすい、とかそういう理由がメインだと思うんだけど。
(そのほうが仕事が進めやすい、とくに BtoB の営業文脈で、というケースもたまにあるのかもしれない)

AppLovin はわりと明確にそういうタイプが嫌いで(笑)、むしろ、肩書きなんてどーでもいいぜ、良い仕事みんなでやって美味い酒飲もうぜ、みたいな人のほうが好き。
そして見てる感じ、そういうタイプのほうが実際いい仕事する傾向にある気がする。

1 つ目の項目とも共通するんだけど、肩書きなんかよりも仕事の実績とキャラクタで評価される時代だと思うので、別にタイトルが多少ショボかろうが関係ないし、むしろそのほうが良い仕事したときギャップで高い評価もらえるんじゃないかって気さえする。笑

あこがれ・関心がある仕事


昔は例えば (楽天でのニアミスがあったのもあって) エンジニアに対する漠然とした憧れみたいなものがあった。
ので、初心者のためのプログラミング講座みたいなのに参加したり、オンラインのプログラミング学習サービスを触ったりして、ちょっとかじって、モノを作り上げるところまで到達せず終わる、学んだこともほとんど忘れる、みたいなのを繰り返してきた。

けどあるとき気づいた。
これまで幾度となく始めて、一度も続かなかったってことは、多分ぼくはプログラミングそのものを楽しいと思っていないんだろう (きっと) と。

なので、自分がわりと苦労せず続けられて、他の人より比較的うまく出来て、お金を稼げることだけをやろうと。
自分に出来ないことや、得意じゃないこと、やりたくないことは、他の能力のある / 得意な / 好きな人にやってもらおうと。

みんなが自分の得意なこと・やりたいことだけをやって、そうじゃないことは (相互に) 発注し合うような社会になれば、社会全体がより効率的になるし、お金も回るし、いい事づくしじゃないかと。
(そこまで大きな話でもないんだけど)

なので多分ぼくは今後も、エンジニアリングをはじめとする (個人的には憧れがあるんだけど) 色んな仕事について、自分では手を出さず、お金で解決 or やれる人一緒にチームを組んでやると思います。
逆に自分も、得意な領域の仕事では「お金を払ってでもやってもらいたい」と思われるようになりたいな。


あと最後に、「捨ててよかったもの」ではなく「捨てたいもの」

脂肪


お後がよろしいようで。

Q

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2018/05/11

【保存版】プログラマ・エンジニアを評価する方法

掲題に関する問いを Facebook に投げたところ、素晴らしい回答がたくさん集まったので、この知をより広く知ってもらうため、そして後世に残すために、内容をまとめておく。 

【問い】 プログラマ・エンジニアを評価する方法


先日「自分が正当に評価されていないと嘆く君へ」という、組織における人事評価に関するエントリを書いたせいで、読者の方からこんな相談が寄せられました。
皆さまの忌憚なきご意見・知見をお寄せいただきたく!

<相談内容>

例えばゲームやアプリの開発って、結果(アウトプット)が現れるまで数年ぐらいかかったりします。
その数年間の間に、真剣に作業に取り組む人もいれば、適当にサボる人など、色々差が出ると思うのですが、どうすればその差を、数年ではなくより(なるべく)短いサイクルで可視化できるものでしょうか?

評価の制度や指標をどのように設計すればいいか、あるいは、どのような設計方法があるのか、アドバイスいただけると幸いです。

(補足:相談者は、名古屋を拠点とする株式会社フリースタイル (http://freestyles.jp/) に勤めており、経営レイヤーから「エンジニアの評価制度を作る」というミッションを与えられた、エンジニア未経験者 - ご本人および経営陣から OK 出たので会社名追記しましたw)

集まった回答のまとめ


エンジニア組織にいる 3 つのジョブレイヤー

まず気をつけるべきことは、被評価者を「エンジニア」という 1 つのバケツにいっしょくたにせず、いくつかのレイヤーに分けること。つまり;
  1. 設計図とスケジュールが与えられていて、その通りに作るのが仕事の人
  2. ものを完成形まで作り上げることに責任を持つ人
  3. ビジネス課題を解決する、事業ゴールを達成するのがミッションの人
の 3 つのパターンがあることを理解する。

これらの 3 つは、必ずしも 3 > 2 > 1 の順番に偉い / 給与が高い必要はない。
「3」が達成出来ていなくも「1」がズバ抜けていれば「1」で評価すべきだし、掛け算でさらに高い給与にすることも必要かもしれない。
人材マーケットとの需給バランスでもあるため、高度人材になればなるほど評価は市場に依存させれば良い、という考え方もある。

評価する順番としては、
  • ビジネス課題から考えて解決できるレベルの人材に対しては「3」ベースで評価
    • もし3が達成出来なかった場合、プロセスおよび職能としての「2」で評価
    • そこでも評価しづらいエンジニアに対して「1」で評価する
という流れになる。

それぞれのレイヤーに対する評価方法


【3. ビジネス課題を解決する、事業ゴールを達成するのがミッションの人】はいわゆる KPI や KGI にコミットして貰って、そこで目標に対する達成度合いを計測する方法をとる。
あまりエンジニアかどうかは関係ない。

逆にこのレベルの人は、単に綺麗なコードをスケジュール通りに書ける、プロダクトを期限までに完成させられる、というだけでは評価されない。
それによって、会社や組織の定める事業ゴール・解決すべき課題を、達成できていないといけない。

定量的に評価できるので、ある意味では最も評価しやすいのがこのレイヤー。


【2. ものを完成形まで作り上げることに責任を持つ人】はアウトプットに対して評価する。
モノ自体を作る能力なので、QCD(※) のような一般的な SIer のノウハウで一定は観測可能。

(※ 「Quality (品質)」 「Cost (費用)」 「Delivery (納期)」 の頭文字を取った言葉で、主に製造業において設計・生産時に重視される3つの視点)

まず前提として、管理者が自分の裁量で、与えられたチーム・メンバーの実力で、アウトプットと開発スケジュールについてゴールを決めて関係者に共有・合意形成する。
(途中で大きな前提条件の変更があった場合は、計画をたてなおす)
その上で、できれば管理者として目標達成。
できなければ (自分がヘルプに入る、仕事を他の人に振り分ける、などで対応することが出来なかったということなので) 管理者のスキルが足りていないという評価になる。

管理者クラスにならないと成果物でのインセンティブは発生するべきではないという考えの人が多いようだ。
逆に、成果物でのインセンティブが欲しいのであれば、管理者になる (そのためのスキルを積む) ことが必要。
なおここでいう管理者とは、プログラマならプログラマの、グラフィックならグラフィックの責任者というイメージ。
他の職種の評価および業務の振り分けは難しい。


【1. 設計図とスケジュールが与えられていて、その通りに作るのが仕事の人】は "個の技術資産" に対する評価であり、「エンジニアの能力を評価する」と言ったときに恐らく多くの人が想起するであろうものがコレ。
ここは内容が厚いため、下記に別途章立てする。


"個の技術資産" に対する評価 - 誰が行うべきか


最も多く出た意見は「エンジニアの評価は、(優秀な) エンジニアが行うべき」というもの。
いくつかコメントを引用する。
  • エンジニアは特に、同僚からの評価が一番正しい
  • エンジニア未経験者がエンジニアを評価すると、だいたいエンジニアはどこかへ行く
  • ソースコードのよしあしは偉い人にはわからないし、売上にも進捗にも関係ない

なので、単に「上の人」が評価するだけでなく、例えばカヤックの行なっている「360度評価 (https://at-jinji.jp/blog/14848/ )」がいいのではないかという意見も。

エンジニア相互での評価のランクが【Aさん > Bさん > Cさん】で、給与も【Aさん > Bさん > Cさん】となってさえいれば納得感がある、という意見もあった。

どうして「エンジニアの評価はエンジニアが行うべき」なのか


エンジニアの「技術力」と呼ばれるものは、2 つの要素にブレイクダウンできるという意見が複数の人から出た。それは何かと言うと;
  • 他の人より仕事が早い 
  • 他の人が出来ないことができる
である。
この掛け合わせで、面積的に評価する必要がある。

前者の「く作れる能力」は、比較的、体感で計測可能。
なにしろ早いので笑。
後者は言い換えると「より難しい問題を解ける」能力で、これが特にエンジニア以外に計測が難しいポイント。

例えば;
  • 3 年後にきっとこういう改修が必要だから、エンドポイントを作っておいこう
  • 今はトラフィック少ないけど、1,000 倍になっても今書いているコードがボトルネックにならないように、ある程度高い処理性能が出ることを考えて実装しておこう
など、こういうことを考え予め実装できる能力が技術資産にあたる。

(もちろん、現在直面している難問を解ける、ということも含む)

こちらの方は「早さ」に比べて観測が極めて困難である。
なぜなら、初期に "未来を想定して" 実装されるものなので、アウトプット (完成物) やアウトカム (KPI/KGI) には現れないからである。

ゆえに、共に働くエンジニア以外には評価不能と言える。

具体的にどのように "個の技術資産" を評価するのか


①まずは、決められたスケジュールで、決められたものを作ることが出来たのかどうか。
その前提としては、上で出てきた「管理者」ロールの人が、誰に・何を・いつまでにやらないといけないのか、をきちんと定義できないといけない。

ちなみに欧米の会社だと、JD (Job Description = 職務記述書) や定期的 (半年とか四半期ごと) な目標設定で上記を明記し、 それを遂行できる人には決められた給料を払う、できなければクビ、という風になっている...っぽい。
たぶん。
たまたま自分が知ってる会社が "ちゃんと" 出来てるだけで、ほとんどの会社は実はグズグズなのかもしれないけど。笑

この評価は、ある意味では「進捗管理」とニアリーイコールになる。
「早さ」に対する評価はここに含まれる。


②次に、「スケジュール通りに決められたものを作った」とき、その中身を評価するプロセス。

中身とは具体例でいうと、 バグの少ない綺麗なコードを書けるとか、速く動くコードが書けるとか、ライブラリの使い方に精通しているとか、将来を見越して先に問題を潰しておけるかとか。

ちゃんと要求通りの味でチャーハンを作った 2 人のシェフがいたときに、こっちのシェフはニンジンの形を綺麗に揃えて切れてるねとか、完成した瞬間にすでにキッチンが片付いてるとか、翌日分の仕込みまで終わってるとか、そういったことかな。
客からは見えないし、「わかってる」シェフじゃないと良し悪しが判断できない。

「エンジニアの評価は、(優秀な) エンジニアが行うべき」というのは、エンジニアではない人、またはエンジニアとしてのレベルが高くない人には、この観点での評価ができないことが理由。

この観点での評価をどう行うかは、出ていた意見としては「数値化・制度化は困難」というもの。
まぁ確かに、決められたゴールを達成した上で、それプラスアルファの部分なので、定性的な評価にならざるを得ないという面はあるのかもしれない。

評価者となるのは、被評価者の管理者/上長など "上の人" が基本。
その人が日々の業務の中で、ソースコードをマージして読んでいれば、おのずとエンジニアのレベルは分かる、少なくとも複数いるエンジニアの相対的な評価は出来るはずだ、ということだ。

例えばお相撲さんが毎日稽古していて、誰が誰には勝てる・負けるというのは、稽古を毎日見ていれば自ずと解ってくるもの。
同じ組織で仕事していれば、相対的にだれが優秀かは解ってくるとのことだ。

この前提になっているのは、評価者がソースコードを見て、コードを書いた人のレベルを判断できる程度に十分優秀だ、ということ。
評価者は過去に、リードプログラマーとしてプロダクトをリリースまで持っていけた、など一定の実績がある必要がある。

なお、さらに 1 つ上のレイヤーの人になると、ソースコード読んでも分からない (あくまで管理職としてそのポジションにいる人であり、エンジニアとしての能力が高いからいるわけではないケース) こともあるので注意が必要。

インターネットサービス・プロダクトを開発するのは建築物を建てるのに似ていて、大工から電気工事から玉掛さんまで、いろんな能力を保有している人が必要になる。
なので、広く深く技術を理解して、評価できる人が 1 人でもいれば、評価としてrは安定する。それを CTO に求めているのが今の日本マーケットだと思うが、本質的には job description に分解して、情報工学上がりの人事部長がやることも可能。
今の日本では難しいかもしれないが - だそうな。 

評価者になれる人物が社内にいない場合は?


"個の技術資産" を評価出来ない組織、つまり、絶対的技術のトップがいない組織は、高電圧人材 (= 凄く難しいものをポンと解決できる人材) がいなくなる。
なので、常にアウトプットが出るわけではない (簡単な問題を解き続けることが不得意、飽きる) が、難問が発生した時に活躍する人材が欠乏する。

こういう組織は新規事業を作るのが遅かったり、トラフィックが突然増大した時にサーバーが落ちてどうしようもなかったり、といった事態が発生する。
また、そういう人材が評価されづらいので、その後も長きにわたってそういう人が集まりにくくなる。




以下は、上記の本論でどこに含めるべきか分からなかったが、トピックとして興味深かった点。

【オフトピその 1 - 日本と欧米の違い】


エンジニアの給料は欧米 (特に米国のテック系企業に顕著だと思う) のほうが日本よりも高い、特に優秀なエンジニアに対する払いは海の向こうのほうが随分高い、という議論がある。

この理由として、欧米では job description に書かれた業務が遂行出来なかったらクビ (契約解除) になることが前提だからこそ。
決められた仕事が出来ない人にまで給料を払う必要がないため、出来る人の給料が日本よりも相対的に高い (物価を考慮してもなお高い) のではないか、という議論があった。

そういう社会では、給料上げたければ、より給料の高い (仕事を出来るようになるか、スピード上げて仕事自体をたくさんやるかのどちらかしかない。

【オフトピその 2 - 正社員ではなく業務委託・契約社員】


より「出来る人に報いる」ため、日本でも欧米のような「出来なかったら去る」という状況を作り出すのは、雇用形態を正社員にすると難しい。
(解雇の条件が厳しいため)

むしろ、エンジニアを全員個人事業主の常駐委託契約にして、個別に条件交渉し、働き方も報酬も本人に決めさせる (合意の条件のもとで働いてもらう) という案も出た。
契約更新するかや、条件変更するかどうかは、都度判断というもの。

そのような世界線では、企業間での人材確保競争がより激しくなるので、企業としては優秀な人材を抱え込むこと難易度が高くなる。
が、他の企業が正社員中心で必ずしも優秀でない人材も雇用している状況のなかで、自社だけがこのような仕組みを導入したら、プロフェッショナルが残りやすくなる (優秀な人材はそうじゃない人材と一緒に働くのを嫌うという側面や、単に優秀な人材により高い報酬を払うことが出来るようになるので、相対的に採用力が増すという側面など) かもしれない。

【オフトピその 3 - アウトプットに対する報酬】


アウトプットに対して評価されるべきなのは、管理職・リーダークラス以上だけだ、というのがこれまでの論旨だが、高いアウトプットが出たときにそれより下のレイヤーのメンバーに報いてはいけないという決まりはない。

ある若いスタートアップの founder は、正社員の給与に関しては、基本給とインセンティブ給を分けるべきだという持論を語ってくれた。
(業務委託の場合は、決められた成果を達成したら決められた報酬が支払われるという契約関係なので、最初からインセンティブ給込み = わりと高給)

基本給はやってくれた仕事に対してあげるもので、インセンティブ給は成功を分かち合うというイメージ。
頑張ったことと、プロジェクト自体が成功するかどうかは別という考え方であり、頑張ったことに対しては基本給、成功したことに対してはインセンティブ給で報いましょう、と。

ぼく個人としては、これはいくつかの面で有効だなと思った。
  • 社内に「言われたことやってればいいんでしょ」というドライな雰囲気ではなく、「みんなで協力してプロジェクトを成功させようね」という一体感、協力し合おうという空気を醸成できる可能性がある
  • エンジニアが組織に属している目的が、「与えられたミッションを遂行して、決められた報酬をもらう」 + 「仕事を通じでスキルを高める (そしてより報酬の高い仕事を得る)」 だけでなく、「プロジェクトを成功させる」になる
  • それによって、エンジニアが自己と組織とをより同一視し、組織のゴールに対するコミットメントが深まったり、在籍期間が長くなったり (この組織が好きなんだ、この組織を成功させたいんだ、だからここにいるんだ) といった効果が期待できる (ような気がする)

また関連して、あるメガベンチャーの創業時からの CTO は、特に彼の新規事業チームに配属するエンジニアには全員「基本サービスがローンチして、利益出るまで据え置き」ベースで入ってもらっていると教えてくれた。
理由としては、"途中の評価は難しい" ことと、"評価プロセスが挟まることそのものがコストになってしまう" こと。
それよりは、2 年後成長してたらこのくらいの年収にはなってるよね、という年収をまず提示して頑張ってもらう方が良いかなと思っており、1 人 1 人とそういう話をして握っているとのこと。

(ただし、明らかに報酬が低いなと思ったメンバーは、途中で上げることもあるそうな)

この方法も、サービスを最低でも期待以上のクオリティでローンチさせ、成長させ、利益を出すことに対するメンバーのコミットメントを高めることができるという点がメリットになる。
また、スタートアップや新規事業など、全員がプロダクトの完成や成長にコミットすべきシーンでは、評価制度がどうとか報酬がどうとか議論するのに時間を使うのが勿体無いので、リソースを本来やるべきことにフォーカスさせるという利点もある。

一方で、想定通りにいかなかった場合 (サービスがリリースされなかった、リリースされたけどうまくいかず利益が出なかった、など) にどうするのかという問題がある。
また、口約束ベースだった場合、約束が果たされないとか、約束した相手が途中でいなくなってしまったりといったトラブルも考えられるので、よほど性善説にもとづいてやるか、よほど信頼のおける相手・組織でないと、安易に導入するのは難しいのではないか。

【オフトピその 4 - 評価その他】


某大企業歴戦のマネージャーからはこんな意見もあった。
"エンジニアに限らずだけど、1. 会社として定める「仕事に臨む姿勢」についてその人を周囲の人が評価する、2. その人が挙げた「成果・実績」をマネジメントが評価する、の2本柱でやってる。"

頑張ってやっていても、たまたま成果や実績につながらないときは確かにあるわけで、そのときにバサッとマイナス評価されてしまうと、確かに従業員としてはやる気なくしてしまう。
そんなときに「ちゃんと頑張ってたよね、見てたよ」と言われると救われるというのは納得できるし、そのときの評価者は (ともすると日々の仕事への取り組みまで細かく見てはいないかもしれない) 上長・管理者ではなく、周囲の人 (peer) だというのも納得感ある。

先日の自分の post 「自分が正当に評価されていないと嘆く君へ」でも、上の人が正しく自分を評価してくれることは期待するな!と断言したので、その主張にも合っていてちょっと自信がついたぜ。

最後に、エンジニア・マネジメントとしての大先輩 2 名からのメッセージを (若干編集して) お届けして、本 post を締めたいと思う。

- エースのエースたるゆえん - 


「ルーキーとエースを一緒くたにしたらあかん」
それなりの成績を長期間安定して続けてきたからこそのエースですから、かりにまぐれ当たりでルーキーが 20 勝してもエースと同じ年俸上げるわけにはいかないですよ。
ルーキーからエースになるまでには、それなりには年棒は上がっていることでしょう。
じぇどそこから先は、プロダクツによる成果が上がらないと評価されませんよ。
エースが 10 勝程度では評価されませんよと。

チームを勝たせてこそのエースです。

- エンジニアが正しく評価される組織作り、未だ道半ば -


若い業界ですし、現場上がりの管理職が増えるのはあと10年後くらいでしょうか。
先陣の皆様には頭が上がりませんが、後陣により良い道を残せるように頑張って参ります。


元スレ→ https://www.facebook.com/tatsuojapan/posts/10156073918866328  (ぼくのフレンド限定)

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Q

2018/05/08

日本のハイパーカジュアルゲームアプリが世界でヒットしない理由

まず大前提として、この記事は「だから日本のアプリ/アプリ開発者はダメなんだ!」と偉そうに批判したり、「俺のほうがよく知ってるぜ!」とマウントを取りにいったり、といったことを目的としていません。


むしろ逆に、(自分がものづくり出来ないぶん特に) クリエイターの方のことを心からリスペクトしているし、日本に生まれ育ち・日本のゲームを楽しみ・日本のアプリデベロッパさんに非常にお世話になってきている身として、自分の持っている知見を業界に対して還元したいと思っています。

願わくば、この記事が日本のゲームデベロッパさんのお役に少しでも立ち、日本初でグローバルに大ヒットするゲームがどんどん出てくるようになればいいなと。



いまぼくは仕事として、日本だけではなく世界中のインディゲームデベロッパさんと一緒に、大ヒットするハイパーカジュアルゲームを作り出そうと奮闘しています。

「ハイパーカジュアル」についての説明は端折りますね。
詳しく知りたい方は こちらの記事 をチェック。

当然ながら全てのゲームがヒットするわけではないのですが、特に日本の (ぼくが積極的に関わっている) ハイパーカジュアルは今のところ残念ながら全敗。。。
諦めずにいろいろ試行錯誤しているところです。

ですが色々チャレンジする中で、失敗する理由にはいくつか共通点があるらしいことが見えてきました。
それも、わりかし「日本の」ゲームアプリに特有の理由。
下記にそれを記載します。
(前置き長かったなw)



1. デザイン

「デザイン」と大きく 1 つにまとめましたが、これは全く意味の違う「見た目」と「ユーザー体験」の 2 つの意味を含んでいます。

1-A. 見た目がマス受けしない = スケールしない

よくありがちな「一見イケてるんだけどグロースさせるのが難しいゲーム」が、可愛い猫とか鳥とか豚とか、動物をモチーフにしたゲーム
欧米のトップチャートを見てもらえればわかると思いますが、こういったゲーム、特に "いかにも日本っぽい" イラスト調のグラフィックで大ヒットしているゲームは、基本的にありません。

(例外としては、すでに IP になっている Angry Birds、ボクセル調の Crossy Road、たまたま有名 YouTuber に取り上げられた Flappy Bird など)

動物モチーフでワンチャンうまくいく可能性があるのは、日本と、文化的に近い東アジア (中国、韓国、台湾) ぐらいではないでしょうか。
ちなみに「うまくいく」の定義は、誰にも注目されてないとこからのスタートでも、プロモーションで黒字を維持しながら売上を押し上げて、月間売上で 1,000 万円を達成する、ってかんじかな。

同じことが動物モチーフ以外に、メインキャラクタが人間なんだけど絵がマンガ調のものや、細かいドット絵のものなんかにも言えます。
ゲーム自体は面白いのに、うぁぁそのテーマを載っけちゃったか...と感じるゲームは正直少なくないです。

これらのグラフィックに共通することは何か?

「見た目がイケてない」というつもりは無いです。
むしろ単純なビジュアルのクオリティでいうと非常に高いものもあります。
ただ決定的に言えるのは、「好きなユーザーと全く響かないユーザーに分かれてしまう」ということです。

ドット絵も、可愛い猫ちゃんも、アニメっぽいイラストも、全体の (わかんないけど) 3-6 割ぐらいは「好き!」っていうユーザーがいるのかもしれないですね。
が、逆に「このゲームは自分向きじゃないな」と思うユーザーも無視できないぐらいの割合いるようです。

例えばドット絵でいうと、いわゆるゲーマー層は好んでプレイするけど、女性の多くは逆に敬遠してる、とかなのかもしれません。
いや、実態どうかは知らないんですけど、傾向としてはどうやらそうっぽいんですよ。

それが何にあらわれるかでいうと、低 CPI で大量のユーザーを獲得するのを極めて難しくします。
広告わかる人向けに書くと、CTR, CVR がいずれも「幅広いユーザー層を対象にしたハイパーカジュアル」に比べて数割低くなってしまうため、CPM を上げられず、リーチがとれなくなってしまうのです。

プロモーションしたところで、CPI $0.5 だと 1 日に 100 件ぐらいしか獲得できないね...でもこれ以上は CPI 上げられないしね...詰んだわ...
となっちゃうわけです。

じゃあどういうのが良いかっていうと、あんまりラクして知っても身につかないので、とりあえず US App Store ランキングの過去半年ぐらいで TOP 25 に入ったハイパーカジュアルゲーム全部やってからね!





...って突き放せないのが優しすぎるぼくの罪。
これが全てではないのだけど、「フラットデザイン」 「無機質」 「「ミニマル」 「サイバー感」 「現代アート風」 「ボクセル」このあたりがキーワードとして挙げられると思います。

でも真剣に、20-30 個ぐらいトップクラスのハイパーカジュアルゲームやれば、デザインのことだけじゃなく、マネタイズや継続率 UP のポイント/ベストプラクティスなんかもだんだん掴めると思います。
本気で世界目指してるならここはサボらずにしっかりやるべきかと!

1-B. ユーザー体験

1-B-a. そもそもデザインの基本ができていない

専門外なので適切に表現できるか自信がないんですが...見てる感じ、大まかに分けると
  • 本来の階層構造とビジュアルが合っていない
  • ユーザーにとらせたい行動をビジュアルが合っていない
のいずれか、または両方が起きているゲームが多いように思います。

例えば、タイトル画面に
「プレイする」 「対戦プレイ」 「練習する」 「設定」 「SNS ボタン」 「自分の別アプリのアイコン①」 「自分の別アプリのアイコン②」
のボタンが、同じような大きさで、並列で並んでいるようなイメージ。
この気持ち悪さ、伝わるかな
この例でいうと、例えば Single play, Multiplayer, Practice をそれぞれ出すかわりに、大きく "Play" ボタンを中央に表示し、クリックしたときに次の階層で Single play, Multiplayer, Practice のどれにするかを選ばせる。
(階層構造を整理しつつ、一番やらせたい "Play" を物理的に押しやすくする)

同様に Twitter, Facebook シェア? 連携? のボタンは Settings の中にでも入れて、自社の別アプリのアイコンも直接ここには出さず、自社アプリ紹介コーナーでも作ってそこにぶち込んでおく (階層が合ってない / 重要度が低い)。
かわりに、ユーザーニーズが高く、収益にもダイレクトに効いてくるアプリ内課金への導線でも入れておくと良いと思います (ストアがあればそこへの導線、なければ広告除去など)。

階層を作って、重要度に応じて大きさを変えるだけで、ほらこんなにスッキリ。
分かるかな

このあたりは、できればちゃんと勉強した人、そうでなくても直感的に出来ている人はそのへんにいると思うので、自信がない人は素直に意見を求めにいったほうが良いです。
ぼくでよければ全然見ます。

これ次どこタップしたらええんやろ?っていうゲーム、ほんとに多いですから...

1-B-b. レベルデザイン

一言でいうと、難しすぎるゲームが多すぎます。
すぎる、って 1 文で 2 回使っちゃったよ、文章力ないかよ。

まずはこの スーパーマリオのステージ1-1から学べるUX という名記事を 3 周ぐらい読んでください。
短いし図解多いので、すぐ読めます。

スマホゲームの場合、スーパーマリオのステージ 1-1 でさえ難しすぎますし、そもそもファミコンのマリオは操作が難しすぎます。
(スマホ版のマリオについては賛否あると思いますが、僕はあれ最高にスマホに最適化してきたなぁと感動しました)

まず、ほとんどのスマホのハイパーカジュアルゲームでは、プレイ時の操作方法は 1 種類のみです。
「タップする」 「連打する」 「スワイプする」 「長押しする」 などなど。

あの名作 Crossy Road でさえ、「基本はタップ + 時々スワイプ」という 2 種類の操作の組み合わせなので、ちょっと難しすぎるのです。
(2018 年版で出しなおすなら、スワイプの動きはなくして、タップだけのタイミングゲームにしたほうがいいんじゃないかと思います)

また難易度も、 スーパーマリオのステージ 1-1 って、ほっとくとクリボーに当たって死ぬじゃないですか。
これダメです。

なんじゃこりゃ!死んだわ!むっず!
避けたらええんか?やっつけたらええんか?
どうやったらええかちゃんと教えろや!

ってストレスを感じて、それが序盤で 3 回ぐらい続いたら死んで (= 離脱して) しまうのがハイパーカジュアルゲームのユーザーです。
理不尽だと思いますか?
そういうもんです、諦めてください。

例えばスーパーマリオのステージ 1-1 なら、クリボーが近づいてきて「今!飛んで!」っていうタイミングで、全ての時を止めて、画面上に「TAP!」って文字と動く指のイラストを出して、ユーザーが画面をタップしたら再度時を動かして、なんというか 3 歳児でも死なずに必ずクリアできちゃうような、そんなレベルにまで難易度を下げるべきです。

キノコも、万が一とらずに先に進んでしまったら「キノコは強化アイテム」ってことを知らずに進んでしまうので、初回プレイ時はハテナブロックを叩いてキノコを入手するところも上記同様の 99% オートプレイ。

1-2 でいきなり難しくなるとこれまたそこで脱落しちゃうユーザーが出るので、序盤のほうは簡単なステージを続ける。
イメージとしては、最初の 10 分は幼稚園児でもクリアできるレベル、次の 10 分は小学校低学年、その次の 10 分で小学校高学年、そこからしばらくずっと中学生レベル。
ってかんじ。

かつ、序盤のほうになるべく「そのゲームを面白くする要素」をたくさん体験させる

例えば、経験値をためてレベル上げをしていくドラクエのようなゲームであれば、レベルが上がるタイミングを【3, 5, 10, 20 バトル目】にするのではなく、レベル 10 ぐらいまでは毎バトル後にレベル上がる、ぐらいの勢いで。
(そのかわりレベル上がったときに増やすステータスは小さめでもよい。成長実感さえあれば)

スライムと戦う → 経験値もらう → レベル上がる (気持ちイイ!脳汁ブシャー) → スライム 3 体を楽勝で倒せるようになってる (脳汁ブシャー) →  レベル上がる (ブシャー) → ドラキーも 2 ターンぐらいで倒せる (ブシャー) → レベル上がる (ブシャー) →・・・

というかんじで、このゲームは「敵を倒して、経験値を上げて、レベルが上がると気持ちイイ!そして強くなって、敵を楽に倒せるようになって気持ちイイ!を繰り返しながらどんどん先に進んでいく」ものなんだよ、っていう脳汁出るサイクルを、なるべく序盤のほうに高速で体験させるのであります。

なぜかというと、スマホユーザーはコンソールのように、ゲームを入手する段階で何千円も払っていません。
カジュアルゲームのユーザーはソシャゲのように、ゲームを始める前に何百メガバイトもデータをダウンロードさせられていません。

要するに、入り口のハードルがめちゃ低い分、よそのゲームに乗り換える心理的ハードルもめちゃ低いのが、ハイパーカジュアルゲームのユーザーなんです。

なので、あなたのゲームの面白さがわかるまで我慢して遊んでくれるなんて、思っちゃいけません。
操作は最初ちょっと難しいけど、学ぶまで 10 回も 20 回も遊んでくれるなんて、期待しちゃいけません。

最初っからプレイできて、すぐに脳汁が出て、思考停止した状態でも數十分ぐらいは気持ちよく遊んでくれる、そのレベルにまで難易度を下げてください。

ステージ制のゲームを作ってる方は今すぐに、序盤に猿でもクリアできる簡単なステージを 10-20 個ぐらい追加しましょう、今すぐに。(二回言ったよ)

ある程度まとまった時間をプレイしてくれたユーザーは逆に、投下した時間がサンクコストになって、他のゲームに浮気しようって気持ちが、少しは薄れます。
でも、あることをちゃんとやらないと、早い段階でユーザーは離れていってしまいます。

それが、この次にくる「コンテンツのボリューム」です。

2. コンテンツ

2-A. ボリューム

一言でいうと、アプリのボリュームが少なくて、すぐ消費されてしまうため、継続率が低くなってしまっているゲームがとても多いです。

ゲーム自体は楽しいタイトルって、たくさんあるんですよ。
でも多いのは、「楽しいんだけど、すっとやってると、1 時間もしないうちに、飽きちゃう」っていう類のもの。

昨年大ヒットした Voodoo の Dune! (iOS | Android) っていうゲームを例にとってみましょう。
やったことない人はここから先読んでもわからないと思うので、まずはダウンロードして、30 分ぐらいプレイしてきてね。
そんな時間ないよって人はこの動画でも見ておくといいよ。


(どうでもいいんですが、dune って英語で "砂丘" って意味だったんですね。死ぬ時のエフェクトが「デューーーン!」って雰囲気だからかなぁ、って思ってました。恥ずかしいww)

日本のデベロッパーさんでありがちなのが、「画面を押したら進む、離したら飛ぶ、飛んでるときに画面を押したら急降下する、砂丘の波形をスムーズに進んでいきましょう」っていうゲームの基本部分を作って、それで完成としてしまうこと。

「うん!面白いゲームできた!」

確かにゲーム自体は面白いんですが、さすがにそれだけだと何回か遊んだだけで満足して、次のゲームに移行してしまいます。

実は Dune! には、ユーザーを飽きさせない工夫がたくさん入っています。
例えば
  • ガワ替え - ボール、背景、砂丘の 3 種類のスキンを、それぞれ 30, 9, 8 種類に変更可能。見た目が変わるだけだけどちょっと新鮮な気持ちになる。
  • スキンの解放の仕方 - スキンの中には、単にポイントを蓄積すれば交換できるものもあるが、中にはそうでないものもある。例えば「1 プレイ中に X 回 Y をする」とか、「通算 X 日ログインする」とか、「通算 X 回チャレンジをクリアする」とか。
  • チャレンジ - 通常のエンドレスモードのほかに、1 プレイが必ず 30 秒以内で終わるような「チャレンジ」が 35 個用意されている。それぞれ、途中からは達成するのがけっこう難しい (でも頑張ってればマグレで or 実力がついて、クリアできたりする)。
  • チャレンジの複製 - 上記「チャレンジ」まったく同じ 35 種類が、通常モードのほかに、左右逆、上下逆、上下左右逆、の合計 4 パターンある。なので、なんと 140 種類の「チャレンジ」ステージがあるということに。

要するに、普通にプレイしてたらシンプルすぎて 1 日で飽きちゃうゲームなんだけど、常にユーザーの目の前に「次はこれをクリアしようかなっ?」っていう、適度な高さのハードルを用意してあるんですよね。

なので、ゲームプレイ自体は非常にシンプルで、それ自体は仮に数時間で作れるものだったとしても、たくさんスキンを用意したり (デザインリソースェ...)、チャレンジの種類をたくさん用意したり (ネタが...)、ステージ制のパズルゲームだったら何百・何千というステージを用意したりと、「ハイパーカジュアル」って名前のわりには全然カジュアルに作れないというのが現実なんです。

(いや、シンプルなゲームを "気持ちよく" 作るのってそれ自体すごく大変なんですよ分かってるんですよ、あくまでものの例えですよ)

そしてこの問題の根っこは、ひとつ飛ばして 3. チーム というところにあると思うのです。

2-B. トレンド

ひとことで言うと、"類似のヒットしてるゲーム" に対する研究が不足しているという話です。

1-B-b. レベルデザイン のところで「ほとんどのスマホのハイパーカジュアルゲームでは、プレイ時の操作方法は 1 種類のみ」って書きました。
そして世の中のほとんどのゲームは、あなたが今作ろうとしているものも含めて、「パズルゲーム」 「アクションゲーム」 「RPG」などの既存のカテゴリのどれかに当てはまります。

(どちらも当てはまらないのは、まったく新しい革新的なゲームである可能性は否めませんが、高確率で「ほとんどのユーザーにとって激しく馴染みづらいもの」になると思います。そういうのは、趣味でやりたいなら止めませんが、ビジネス的には任天堂さんに任せておいたほうが身のためです)

なので、操作方法とカテゴリのそれぞれ、またはどちらかで、あなたのゲームにはほぼ必ず「以前にヒットしたことがある、どこかしらが似ているゲーム」が存在しているはずです。

なのに何故それを探さないのか、探してやり込んで、面白さの源泉を理解しようとしないのか。
参考にすべきゲームが複数あったら、ヒットしてるゲームに共通している要素は何なのか、もっと深掘りすると「ヒットしてるゲームに共通している、やってないこと」は何なのか、など考察しないのか。

例えば最近のゲームだと、いわゆる "Good" 以上の "Great" なプレーを 1 回または複数回連続で達成したときには、自機を光り輝かせて、得られるポイントを一時的に倍増させているものが多いです。
一時的にフィーバーモード突入みたいな。
脳汁出ますね〜。

また、ちょっと気持ちいい瞬間には微弱な、わりと気持ちいい瞬間にはちょい強めの、バイブレーションを入れているゲームが非常に多いです。
いやなユーザーもいるので、トップ画面から 1-2 階層下ぐらいで、バイブの ON/OFF を設定できるゲームが多いなってことも、注意深くやってればわかると思います。

ぼくはゲームを丸パクリすることは反対ですが、要素要素に関しては過去のヒット作を、それも時期的に近いヒット作を参考にすることは全然アリだと思っています。
なぜならユーザーにとって、それらの要素はすでに慣れ親しんだものなので、いちいち新しい学習をする必要なく、そのゲームの面白いところにすぐに入っていけるからです。

すぐやりましょう。

3. チーム

これは特に日本で顕著なんですが、インディデベロッパというよりは個人デベロッパさん、その名の通り、ひとりで全部やりすぎです。
個人的にはある意味リスペクトしている面もあるのですが、2018 年にそのスタイルは正直かなりキツイと言わざるを得ません。

iPhone 出たての頃と違って、巷にはますます多くのハイクオリティなゲームが溢れています。
ソシャゲほどではないにせよ、ヒットしている、チャートで上位にいる、広告をぶん回している、つまりユーザーの目に触れる機会がより多いゲームは、ほぼ全てがかなりのハイクオリティ (儲かっているからこそ実現できるクオリティ) です。

相手のプロジェクトには、最低でもエンジニアリングとデザインに専念する人が 1 人ずつアサインされています。
あなたが 1 人でゲームを作っていたとして、エンジニアリングとデザインの両方、彼らと同等レベルのクオリティで仕上げることは出来ますか?

また、仮にそれが出来たとしても、完成させるまでにめっちゃ時間かかりませんか?

全てのアプリをヒットさせることなんて到底できないので、ヒットするまで数回程度は失敗 (作ったゲームがヒットしない) することは最初から織り込んでおかないといけません。
同じ期間に、相手は倍以上の数のアプリをリリースして、何をやったら上手くいくのか、何がダメなのかというノウハウを溜めてきます。

数回の失敗を許容できるようなキャッシュが無いと、目先の売り上げを作るために未完成の状態でアプリをリリースせざるを得なくなります。
当然ながらクオリティが十分でないため、継続率や ARPDAU は本来よりも低い水準になり、LTV が相対的に低くなり、そうするとプロモーションも満足にかけられず、結果として売上もそこまで上がらないという悪循環になりかねません。

ひとりで作りたいという開発者さんがいることは理解しています。
作りたいものを作る、自分のペースで作る、コミュニケーションによるストレスを感じずに作る。
そのプロセスが何よりも優先すべきことなら、それは尊重されるべきです。

ただ、ビジネス的に成功させようと思うのであれば、 1 人で全てをカバーすることは早く諦めてください。

自分は自分の最も得意な領域にフォーカスできるよう、最低でも一部の業務は外部に委託 - でもそれだとコミュニケーションや品質コントロールの面も含めて高コストになってしまうので、理想はやっぱり 2 人以上でチームを組んで開発すべきです。

最低でもエンジニアとデザイナー (グラフィックとレベル・ゲームデザインの両方が出来ると望ましい)、できればそこに企画・ディレクション・キャッシュフロー・広報宣伝など担当できるビジネスサイドの人が 1 人いて、3 人チームぐらいでキックオフしたいところですね。
(エンジニアとデザイナーはもうちょっと多くても良いかも。作りたいゲームと進めたいスピード感によっては。キャッシュが許すのであれば)

インディでもイケてるアプリデベロッパーさんの多くは、洋の内外を問わず、そういう体制でスタートしているところが圧倒的に多いです。

パートナーを探すのは簡単ではないですが、少なくともコード書いたことがないビジネスマンが起業時にエンジニアを見つけるよりは簡単なので、頑張りましょう。
基本的には色んなところに (オンライン・オフライン問わず) 顔を出して、パンチを打ち続けるしかないと思っています。

逆に 1 人でもうまくやれてるところは 2 つのパターンしかなくて、1 つは必要なリソースを遠慮なく外注しているタイプ、もう 1 つは個人のアート性が競争力の源泉になっているタイプです。



ちなみに最後にちょっとだけ自分の話もしておくと、僕は最近世界中の「いいゲームは作る力はあるんだけど、プロモーションやマネタイズがよく分からない、またはキャッシュフローに課題がある」インディデベロッパを、なんとか大人の力でw手助けするっていうのを生業にしています。

決してボランティアとか趣味とか副業ではなく、これが僕のメインの仕事なので、何かしら困ってるデベロッパーさんはほんと気軽に @tatsuosakamoto まで連絡してきてください。

逆にそこ変に遠慮されて、本当は世界を獲れるポテンシャルあるゲームが結果的に埋もれてしまうっていうほうが悲しいのでね。


というわけでめちゃ長くなったけど、この記事が世界を目指すハイパーカジュアルゲームデベロッパーさんの助けに、少しでもなっていれば幸いです!
一緒に世界とりに行きましょう!!

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