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2019/08/25

アプリストアのスクリーンショットを変えてCVRを2倍にする方法 #ASO #アプリマーケティング

ASO に関するマニアックな知見を深掘った記事が一部界隈で人気の、知る人ぞ知る職人集団・リバティーンズ社
今回さらに ASO の中でも「スクリーンショット」という一要素にフォーカスして、詳しく話を聞いてきました。

え、スクショだけでこんなに内容あるの...?
ってぐらいのボリュームあるので、業界関係者の方はぜひ最後まで読んでみてください。
手前味噌ながら、けっこう面白いです!笑

ではいつも通り、インタビュー形式でどうぞ!



スクショってどうして大事なの?

ぼく:そういえば先日 Apple と一緒にやったセミナーどうでした?

リバティーンズ社 堂道さん (以下「堂道」):初めてのセミナーでめちゃ緊張しました。色々ボケたり笑いも取りつつ真面目に話したかったんですが、ほとんどボケられなかったです。

ぼく:セミナーでボケてスベるとほんと辛いんで、やらなくてよかったと思いますよ。


堂道:ただ言いたいことは伝えられたのかなとは思いますが...。この記事で補足できると嬉しいです。あと Apple の瀬尾さんはやっぱりすごい方でした。

ぼく:元 Google, Twitter のレジェンド・瀬尾さんですね。Apple の人ってセミナーとか出るんだ〜、ってちょっとびっくりしました。

堂道:勉強になりましたね。次のセミナーでは今回の反省点を活かしてがんばります。

ぼく:では今日の本題です。新しいアプリをダウンロードするときに、ぼくから見ても「スクショがイケてないなぁ」って思うことがあるのですが、ASO (App Store Optimization = アプリストア 最適化) 観点から見てもスクショって重要ですよね?

堂道さん feat.ハンバーガー

堂道:重要です。ASO は「インプレッションの最大化」と「CVR の最大化」の 2 つの両方を達成しないといけないのですが、プレビュークリエイティブ、いわゆるスクショは後者の CVR のほうに効いてきます。

ぼく:ふむふむ。ってことは、キーワードの順位だけ上げて「ASO できた!」って言ってるのは不十分?

堂道:その通りです。テキスト改善によってキーワード検索順位を上昇させ、ストア内でのインプレッションの最大化を達成できたとしても、実際にインストールまで繋げられないと意味がないですよね。

ぼく:検索でユーザーにアプリが露出されたとき「インストールされるか」に影響を与えるものがスクショなんですね。

堂道:だけではないですけどね。説明文の内容や、ユーザーレビューのスコア、アイコンなんかも CVR に影響を与える要素です。ただ、プレビュークリエイティブはその中でも影響が最も大きいものの 1 つです。

ぼく:やっぱそうなんですねー。

リバティーンズ社 中島さん (以下「中島」):例えばこれは一例ですが、海外のストアで「dating game」って検索した時に上のスクリーンショットと下のスクリーンショットどちらがわかりやすいか、という話です。上のほうが視認性高いですよね。

↑検索結果1位
↑検索結果2位

ぼく:1枚目のほうは、なんというか、1m 離れて見てもなんのゲームか分かりますね。

中島:そうですね(笑)。アプリがユーザーに表示されたあと、コンバージョンへのユーザーのモチベーションを支え、つなげる役割をスクショが担っていると考えています。

ぼく:スクショが悪いと、せっかくアプリがユーザーの目の前にあっても、目に止まらなかったり、「アプリ DL したい」っていう元々の気持ちが冷めちゃったりするわけですね。

中島:その通り。また、ここで言うコンバージョンとはインストールのみならず課金やリテンションなど、インストール後のユーザー行動まで含みます。

中島さん feat ハンバーガー

ぼく:なーるほど。運良くアプリを DL してくれたとしても、「このアプリすげぇ良い!使いこなしたい!」みたいな気持ちではなくなってしまうと。スクショがショボいと。

堂道:そういうことですね。なので、ストアクリエイティブは課金やリテンションにまで影響を及ぼす重要な要素であると言えます。

ぼく:深いなぁ。付き合い始めの男女が、すでに気持ちがちょっと盛り下がってるカンジに近いですね。

中島:ちょっとよくわからないです。

スクショ改善の TIPS


ぼく:スクショのクリエイティブを改善するって一口に言っても、単にデザインをオシャレにするってだけの話ではないんですよね?

中島:はい。デザイン性も低いより高いに越したことはないのですが、それより大事なこと、考えないといけないことがいくつもあります。

ぼく:差し支えなければ、そのへん詳しく教えてもらえたり...

堂道:っていうか今日の会ってそういう趣旨ですよね(笑)。

ぼく:いいんですか!?やった!!

ここのハンバーガー美味ぇ

中島:まず、ツールアプリなのかゲームなのかで、少しずつ最適な作成方法が違います。ツールアプリは機能を訴求し、ゲームアプリはゲーム内容だったり世界観を訴求したほうが効果がよいです。

ぼく:なるほど。非ゲームなのに、そのアプリで「出来ること」ではなく「世界観やビジョン」を推しちゃったり、ゲームアプリなのに機能を全面に押し出したりするのは、効果悪くなることがあるってことですね。

中島:そうです。例えば非ゲームアプリの場合、検索結果からいきなり詳細ページに行く前に、いくつか検索上位のアプリをスクロールして眺めたりしないですか?

ぼく:しますね。その中で気になったものだけ詳細ページを見にいきます。

中島:なので、スクリーンショットの視認性を高めることによって、詳細ページに至るまでのクリック率を上げることができます。

ぼく:なるほど。これ重要ですね。

中島:また、詳細ページに行かなくてもアプリのコアとなる特徴を強く押し出すことで、検索結果一覧ページからの直接のインストール(コンバージョン)を増やすことも出来ます。

ぼく:あー確かに。こんな機能を持ったアプリが欲しい、って明確な目的を持って検索してる場合とかは、1 枚目のスクショだけ見て問題なかったらすぐダウンロード、ってやるときありますね。

中島:なので、どんなキーワードで検索されたときに自分のアプリがよくダウンロードされているのか、っていうのを把握した上で、そのユーザーの検索欲求を満たす内容をプレビューに含めるというのは大事な ASO のテクニックです。

これとかスクショ上手いよね、みたいな話をしてる

ぼく:なるほど。スクショのところに動画を入れるのはどうなんですか?

堂道:ゲームに関しては静止画より動画のほうが良いことがあるので、そこの PDCA も回す必要がありますね。

ぼく:あれっ、動画のほうが絶対良いよ、ってわけではないんですね。

堂道:そうですね、実は 100% そうとも言い切れなかったりします。

ぼく:意外だ。他にどういう TIPS があるんですか?

堂道:アプリに関わらずほぼ共通するエッセンスとしてはこんなかんじです。
  • キーワードの掲載
  • ユーザーにとって具体的な表現
  • 重要なところをフォントサイズや色を変更して強調
  • アプリ内画面を訴求
  • スクリーンショットの配置

ぼく:多分いつものパターンからして、1 回外注していいの作ったら終わり、とはならないんですよね?

堂道:そうですね、それらを色々仮説立てしながら PDCA を回す必要があります。なので、数字を見ない・見れない立場の人や業者が担当するのはダメなんですよね。

ぼく:いわゆるグロースハッカー的なアプローチが必要なんですね。

堂道:その通りです。実際我々が過去に改善を手がけた事例で、ツールアプリで CVR が 150% 増、ゲームアプリで 300% 増になったものもあります。具体的なアプリ名を公開できないのが心苦しいです。

ぼく:ちゃんとやらない場合の機会損失は相当大きいですね。案件名はこっそり教えてください(笑)

教えてもらったのですが名前出せないので、ハンバーガーの画像をどうぞ

OS ごとの違いにも注目


ぼく:ぼく iPhone 使いなので、勝手に脳内で App Store を想定してたんですが、これ Android でも同じですか?

堂道:考え方は同じですが、iOS と Android ではクリエイティブ面で重要となる場所が異なります。

ぼく:といいますと?

中島:iOS はスクリーンショットが最重要ですが、Android はアイコンの重要性が iOS よりも大きいです。

ぼく:そうなんですね。Android ユーザーのほうがアイコンをよく見てるってことですか?

中島:ではないですね。iOS は基本的にはインストールは検索結果一覧の画面から発生します。キーワード検索ではない、カテゴリ検索でも基本的には同じ UI です。

ぼく:そうっすね。

中島:Android は実は検索結果画面以外の流入経路が iOS より多く、より目立つんですよ。例えば、アプリストア側で用意している特集コーナーや、類似のアプリなど。

ぼく:確かに、そういうの多いですね。

中島:そういった枠では、アイコン以外に注目されるポイントがないため、アイコンがより重要になります。

「google play 2019」の画像検索結果
一階層奥に入らないとスクショが出てこない Google Play

ぼく:iOS でも「その他のおすすめ」って欄ありますけど。

中島:アイコンが占める面積が Google Play よりも小さく、アイコン以外のタイトル・サブタイトル、もしくはカテゴリ名といったテキストが目立つため、アイコン改善によるインパクトが Android よりも薄いんですよ。

ぼく:なるほどおお。ここもっと詳しく聞きたいけど時間もないので、次のインタビューでお願いします。

さぁスクショの改善を始めよう


ぼく:これ実際にスクショの改善するってなったら、何から手をつけたらいいんですか?

堂道:Android は Google Play Console の機能で A/B テストがあるので、Android のみでやりがちですが、両 OS でやることが理想です。

ぼく:iOS か Android かどっちかだけじゃダメですか?

堂道:やっぱり理想は両方やることですね。ユーザー層が違えば、前述の通りアイコン・スクショが見られる場所も機会も違うので、OS によって違う結果が出ることがあるためです。

中島:両 OS で AB テストを回すと、OS ごとに最適なスクリーンショットが出来あがります。

「ポテトくれよ」「ちょww」

ぼく:でも、iOSはどうやってA/Bテストやるんですか?

中島:iOS は Apple Search Ads のクリエイティブセット機能を使うことで PDCA を回せます。Android はさっきも言ったとおり Google Play Console  にその機能があることは多くの方がご存知かと思いますが、ASA (Apple Search Ads) でも PDCA が回せるのはあまり知られていないのかなと思っています。。

ぼく:クリエイティブセットを使えば iOS でも A/B テストが…!しかも ASA で回すから、ポイントとして挙げられていた〈キーワード〉や〈表現〉など、スクショの中でどの要素を推すのかを決めるための検索広告のデータも得られちゃうんですね。

中島:ですです。なんの根拠もなく勘だけでPDCAを回そうとすると結局うまくいかないことが多いから、そこも注意が必要なんですよね。

ぼく:そのへんの運用・改善ノウハウがない場合は、リバティーンズさんにお願いすればいいんですよね。

堂道:はい。以前から記事に書いていただいているので坂本さんはご存知だと思いますが、我々は広告運用のところで手数料をいただくだけで、スクショやアイコンの改善はもちろん、ストア内でのキーワードの順位上昇というサービスも無料で行っています。

ぼく:広告運用だけやってくれる代理店よりもお得ですね(笑)。

堂道:運用部分でも実績が多いのできちんとパフォーマンスは出しますが、検索広告のミソはそこから得られたデータをどう ASO に活用するかですからね。どちらかしかやらない事業者を使うのは勿体無いです。

ぼく:理解できました。今日も色々教えていただいてありがとうございました!記事書くたびに「紹介してくれ」って連絡をたくさんもらうので、今回も多分いっぱい紹介をお願いすることになると思います(笑)。

また忙しくなっちゃいますね(ニヤニヤ



こんなかんじです!

リバティーンズさんのサイトはこちら
 
紹介ご希望の方は、フレンドの方は Facebook のメッセで、それ以外の方は Twitter @tatsuosakamoto (DM 開放してます) までお気軽にどうぞ!


Q

2019/02/19

アプリマーケター注目!Apple Search Ads運用の負け組と勝ち組を分けるものは?

約半年前、Apple Search Ads (App Store上の検索広告) が日本でローンチされる直前に書いたこの記事 (いよいよ日本でも開始!『Apple Search Ads』について必ず知っておきたいポイント) が、なにげに累計 20,000PV ぐらいあって、やっぱ業界的にすごい注目されてるんだなぁと思ったんですね。

それから半年たって、実際ストアで何か検索すると広告が出ないことがないってぐらい導入が進んでるみたいなんですが、あんまりベストプラクティスみたいなものが世に出てないなぁと思ったんですよね。

なので今回、3 たびリバティーンズさん (マニアックに詳しいので楽しいw) にお話伺ってきましたので以下インタビュー形式でお届けします!



ぼく:Apple Search Ads が日本でも開始されてから約半年たちましたが、使ってる会社さんかなり増えてきてませんか?

リバティーンズ 堂道:そうですね、ただ、「試しに使い始めたばかり」ってところとか、使ったことないところもまだまだあります。

左から堂道さん、齋藤さん、中島さん

ぼく:使ってみたけど効果が悪かったから止めた、みたいな話もたま〜に聞くんですよね。でもそんなことなんてあり得ます??

堂道:結果の見方がちょっと特殊なので、それを理解できてなくて「効果が悪い」と勘違いしちゃってる可能性はあると思います。

ぼく:結果の見方が特殊、ってどういうことですか?

リバティーンズ 中島:Apple Search Ads の役割は実は 3 つあります。
  1. 広告媒体
  2. オーガニックのインストールの増加
  3. ASOに最適なデータを集めるツール

1.広告媒体としての Apple Search Ads の成果を見る際の注意点


ぼく:1 はなんとなくわかります...

中島:実は 1 についても注意が必要なんですよ。坂本さん、アプリのインストール広告で成果としてカウントされるものって何ですか?

ぼく:えっ?新規のインストール...ですよね?

中島:実は、トラッキングツールで「インストール」とカウントされているもののうち、半分以上が「再ダウンロード」なんですよ。


ぼく:えっ?一度アプリをアンインストールして、IDFA リセットして、もっぺんインストールしてるってのがめちゃくちゃ多いみたいな話ですか?

中島:IDFA リセットするユーザーはそう多くないのですが、アンインストールしたアプリを久しぶりにもう一度やろうってダウンロードすることってありませんか?

ぼく:ありますね...昔すごいハマったアプリを久しぶりにやりたい、とか。

中島:SDK ではそれは新規インストールとしてカウントされず、リエンゲージメント広告をやってたりしない限りは、オーガニックとして扱われてしまいます。仮に、新規インストール促進の広告に触れていたとしても。

ぼく:なるほど...!

中島:あとは、同じユーザーが端末を変えてもう一度同じアプリをインストールし直す、みたいなやつ。そのユーザーが新しい端末で広告に触れていた場合、トラッキング SDK はそれを新規インストールとして捉えてしまいますが、Apple だけは Apple ID ベースでそれが再インストールだと把握できるんですよ。

ぼく:あぁ、確かに。

中島:そしてゲームの場合、あるデータによると、70% の課金は再ダウンロードユーザーから発生しているそうです。

ぼく:まじすか。多い...!でも確かに、一度アンインストールしたけどわざわざもっぺんダウンロードし直したりとか、端末変えてもまだそのゲームやり続けようとかってユーザー、いかにもそのゲーム大好きな人ですもんね。

中島:その通りです。実際に弊社が運用してみても再ダウンロードユーザーからの課金率は新規ユーザーからの課金率よりも高いですね。ARPPU (Average Revenue Per Paid User = 課金ユーザー 1 人あたりの平均収益) に関しても新規ダウンロードユーザーより 2 倍ほど高い傾向が見られます。

ぼく:ふむふむ。それと Apple Search Ads の成果の見方はどう関係するんですか?

中島:アドネットワークで広告を回す際に、SDK がインストール済と判断してデリタゲ (配信対象から除外) するユーザーの中には、既にそのアプリを端末からアンインストールしている人も含まれるわけです。Apple Search Ads はそういう人にも配信されるので...

ぼく:あぁ、SDK の側で成果を見ると、その人のインストールが含まれなくなっちゃうのか。

中島:そうです。オーガニックのほうに含まれてしまいます。

2.Apple Search Ads によるオーガニックのインストールの増加


リバティーンズ 齋藤:さらに、Apple Search Ads を実施することで、任意のキーワードで広告をかけていると、Apple Search Ads の広告でクリックを発生させずとも、実質 Apple Search Ads 経由でダウンロードを発生させることが可能になります。

ぼく:ごめんなさい、全然意味がわからないです。笑


齋藤:App Store の広告ではない部分の検索順位のアルゴリズムの話ですね。Apple Search Ads に出稿することが、順位上昇のためにはかなり有効的であることがわかっています。

ぼく:えっ、広告がそれ以外のところの検索順位に影響するんですか?


齋藤:そうなんです。あるキーワードで広告が表示されたアプリは、もともとのオーガニック順位が 14 位以下だった場合、多くの場合、オーガニックの順位が 13 位まで上がるんです。元々 13 位以上であればそのままです。

ぼく:えっ...!なんですかその裏技みたいなやつw

齋藤:で、広告ではないところからクリックされたら当然広告費用は発生しないじゃないですか。なので、目に見える広告経由のインストールの他に、広告を出したことによって増えたオーガニックインストールも成果に含めないと、CPI を本来よりも過大に計算してしまうんです。

ぼく:知らなかった...

齋藤:Apple Search Ads で特定のキーワードで CPC を上げて入札すると、瞬間的ではありますが、コンバージョン件数が増えてキーワードに対する順位が上がります。この順位をキープする役割を担うのが ASO なんですね。

ぼく:なるほど、そういう意味でも、広告だけでも ASO だけでもだめなんですね。

堂道:ただ、この現象は Apple が対応しているのか、前ほど顕著ではなくなってきました。以前は 8 割ぐらいの確率でこの現象が起きていましたが、今では 2 割ぐらいしか発生していない気がします。

ぼく:そういうのってどうしてリバティーンズさん気付くんですか?

堂道:検索広告と ASO だけひたすら検証してるんで。他にも色々ありますよw 今後も変わるでしょうしね。

3.ASO に最適なデータを集めるツールとしての Apple Search Ads


堂道:あとは前回でもお話しましたが、アプリごとにどのキーワードにリーチするのが効果的かというデータを集めるのにも、Apple Search Ads は効果的です。

ぼく:具体的にキーワードごとのどんなデータを見るんですか?

堂道:CV 数から検索ボリュームのポテンシャルを、CVR からキーワードとアプリの相性、どんなキーワードがユーザーに「刺さる」かを見ます。我々は必ず検索広告の運用と ASO をセットで行うので、そのデータをもとにアプリストアを改善し、再度 Apple Search Ads を走らせてまた有効なキーワードを探す、のPDCAを回しています。

ぼく:これは ASO のノウハウがないと出来ないので、ただ Apple Search Ads が売れるから取り扱ってます、みたいな広告代理店には出来ないですね。


堂道:あと、相性がいいキーワードが分かると、どの文言でアプリを説明するとユーザーに響くかが分かるじゃないですか。それを使って CVR が高いクリエティブを作成して、UAC にも活かすようにしています。バナーや Google 検索のキーワードだったり広告文言だったりですね。

ぼく:おぉぉ...確かにそれ出来ますね。すごい。聞いたら分かるけど、全然思いつかなかった。そう考えると、短期よりは何周か改善を回してからのほうが、本当の成果が評価できそうですね。

Apple Search Ads は誰が運用しても同じなのか


ぼく:正直これだけプロダクトが強いと、運用ドライバーがあんまり無いんじゃないかとか、誰が運用しても同じようなパフォーマンスが出るんじゃないかって気がしてたんですよ。

中島:確かにプロダクト自体は強いですが、前述のような理由から、ASO をしっかり出来る人があわせて Apple Search Ads も運用しないと、パフォーマンスにだいぶ差がでてきます。ASO のノウハウがあり、なおかつ「完全一致でどれだけ獲得できるか」という運用ができる代理店であれば、高いパフォーマンスは出せると思います。

ぼく:わかりみが深い。

中島:私達はだいぶ長いこと ASO と Apple Search Ads、あと Google の UAC にも取り組んでいるので自信はあります。ASO も、表層的なところでコンサルをやってお金をとるような事業者の話とかも聞きますが、Google の検索エンジン対策 (SEO) と同じで、アルゴリズムは時々変わるし、その内容をちゃんと理解しないと対応することは出来ない。

ぼく:ASO と SEO って概念としては似たものですよね?

中島:そうですね。ASO で重要なのは、特定のキーワードと該当アプリとの関連性の強さです。これを Apple は「関連性」、Google は「品質スコア」と呼んでいますが、内容は同じです。

ぼく:なるほど。んで、その関連性を高める施策を行うわけですね。

中島:関連性および品質スコアを上げる方法には 2 種類あります。キーワードを直接 ASO の中に組み込む方法と、間接的に組み込む方法です。

ぼく:そんなのがあるんですね...。たまに App Store で検索したとき、そのクエリがアプリ名にも説明文にも入っていないのに上位に表示されることがありますが、それって「間接的に」そのキーワードが組み込まれているってことですか?

中島:その場合は、developer console で「キーワード」にその単語が含まれている可能性がありますが、現象としてはそんなかんじです。独自のノウハウになるので詳細はお伝えできないのですが、上記の両方を満たした ASO を導入すれば該当キーワードの関連性が最大化され、該当キーワード及びその関連キーワードの CPI が安くなります。

ぼく:なるほど。ツールとか使って Apple Search Ads 使ってる人は、そこらへん自分でやらないといけないから大変ですね。

中島:代理店さんに運用してもらってる方とかは、そこまでちゃんと運用されてるかを把握するために、具体的に行なってる施策の内容を聞いてみたほうがいいかもしれませんね。



ぼく:上手い運用があるってことは、逆に失敗してしまった例なんかもあるんでしょうか?

齋藤:クライアントの求める水準があまりに高いってことはあります。アプリそのものの課金環境がまだ成熟していないにも関わらず、Apple Search Ads や ASO に過剰な成果を求めてくるといったケースですね。

ぼく:ゲームがつまらないから広告効果悪いんですよ、って言いたくなるようなことは僕も経験ありますね...。

齋藤:リリースされて間もないアプリでは時々あります。

ぼく:そういう時ってどうされてます?笑

齋藤:リリース前に想定していた ARPU や課金率に対して大幅に達していない状況だと、どんなに頑張って運用してもさすがに ROI をプラスにすることが困難なので、運用を停止することがあります。そういう時は他の広告媒体でも 1 日数千円しか使えないという状況に陥っていることが多いですね。

ぼく:やっぱそうですよね。いくら効果がいい広告媒体とはいえ、魔法ではないので、悪いアプリを良くすることまでは出来ない...。

齋藤:そう思います。また、アプリによっては Apple Search Ads の特性上効果が合わないことがあり、運用の停止をこちらから提案することがあります。

ぼく:いやでも、効果ないって分かってるのに売上・利益のためだけにズルズル引き延ばすような代理店もあるって聞くので、だいぶ誠実ですよそれ。いや今日もすごい勉強になりました、ありがとうございました!



以上です、いかがだったでしょうか?

もしリバティーンズ社に ASO と Apple Search Ads 運用をお願いしたい・相談したい方がいたら、ご紹介可能なので気軽にお声がけください (*^ω^*) 

2018/07/30

いよいよ日本でも開始!『Apple Search Ads』について必ず知っておきたいポイント

 
ぼく:以前から出る出ると言われていた Apple Search Ads (アップルの検索広告) ですが、いよいよ本当にこの夏に日本でもリリースされる (※) ということで、既に US で Apple Search Ads の運用をされていて色々詳しいというリバティーンズさんにお話を伺いにきました!

堂道さん (以下「堂道」)・山口さん (以下「山口」):よろしくお願いします!

後で出て来ますが、Search Ads Advanced は 2018/8/2 8AM、Basic は 2018/8/23 2AM から利用可能になります。(Apple 公式ページ参照)

ぼく:以前にもリバティーンズさんにはこの blog でインタビューさせていただきましたが、ASO と検索広告にむちゃんこ詳しいですよね。

参考→ 2018年注目の『アプリストア検索広告』とASOについて抑えておきたい5つのポイント

堂道:そうですね、ASO と、Google, Apple のアプリの検索広告に特化して事業を行っているので、日本では一番最新情報に触れているんじゃないかと思います。

堂道さん。元ケミストリー、ではない

山口:自分たちでもアプリを出していて、昔から試行錯誤を繰り返しながらノウハウを溜めてきているというのも、他の ASO 事業者さんにない特徴かなと思います。

ぼく:いつも色々教えてくださってて、すごい勉強になってます。早速なんですが、Apple Search Ads についてざっくり教えてください。

Apple Search Ads (App Store 上の検索広告) とは


堂道:Apple Search Ads とは、一言でいうと「App Store 専用キーワード検索連動型広告サービス」です。

ぼく:App Store 内でユーザーがキーワード検索を行った際に、検索結果一覧の一番上に広告枠が出てくるよ、っていうやつですね。Google Play では既にありますよね。

堂道:はい、その通りです。iOS11 の App Store から導入され、アメリカでは 2017 年 2 月 5 日からサービス開始していました。日本では 2018 年 8 月に開始されます。


ぼく:1 年半も間が空いてるんですね。US にアカウントがないと使えなかったんですか?

山口:アメリカ以外の企業でもアメリカに公開しているアプリであれば出稿可能でした。例えば日本の事業者のアプリでも、アメリカの App Store に公開されているアプリであれば Search Adsは実施できたんですよ。

ぼく:へー!じゃあ日本でも実は使ってた人はけっこういたんですかね。

堂道:どうですかね。英語にローカライズしていないとそもそもダウンロードされませんし、アメリカでプロモーションを行えるような日本のアプリ自体それほど多くないですからね。

山口:ただその中でも我々は自社・他社アプリ含めて Apple Search Ads をかなり運用してきて、ノウハウもけっこう掴んでいます。

山口さん、心なしか前回より痩せた気がして嫉妬

ぼく:相変わらず早いですねw ストアの検索上位に出したいというアプリパブリッシャのニーズを考えると、Search Ads 自体はかなり使われているであろうことが想像に難くないです。

山口:おっしゃる通りで、Apple の Search Ads の北米での売上は 2018 年 6 月末現在で約 1,000 億円あります。

ぼく:ぬおーまじっすか!プラットフォーマー強ぇ...

Apple Search Ads でできること


堂道:もう少し詳細に、Apple Search Ads で出来ることを説明しますね。

1. キーワード入札


iPhone・iPad ユーザー (選択可能) が検索したキーワードに合わせ、広告を出稿可能です。
例えば、「RPG」というキーワードを入札している場合、「RPG」と検索されたときに広告が表示されます。
Google と同じように「完全一致」と「部分一致」の概念が存在します。

2. 検索上位表示


広告はかならず検索結果の最上位に配置されるため、実質的に検索順位の最上位への掲載を実現可能です。
検索結果につき広告は 1 枠しか表示されません。

3. 掲載データの取得


Apple Search Ads では、特定のキーワードで広告が表示されたときの表示回数・インストール率等のパフォーマンスが詳細に閲覧できます。
ここから、効果のいいキーワードの特定などが可能です。

Apple Search Ads 実施のメリット


1. 市場規模の大きさ 


Apple Search Ads の北米での総売上は、2018 年 6 月時点で約 1,000 億円となっており、日本でも相当に大きなボリュームになることが予想されています。
巨大な市場内で、狙いたいユーザー層を選定可能です。

2. コントロールがしやすい


Apple Search Ads は入札キーワードの入札金額や、出稿したいユーザーの性別・地域など、詳細な設定が可能です。
これにより、パフォーマンスの可視化や調整・最適化が容易な広告媒体であると言えます。

3. 他方面へのデータ活用


Apple Search Ads ではキーワードの詳細な掲載データが閲覧できます。
これにより効果のよいキーワードを特定し、クリエイティブ作成や SEO (ASO) 施策へ活用できます。
また Search Ads は広告グループ毎に最敵なスクリーンショットの “出し分け” が可能で、効果的なスクリーンショットの提案にも繋げられます。

Search Ads と ASO の相互活用


ぼく:ありがとうございます。検索広告といえば最初にぶつかる壁が、キーワードの選び方だと思います。おすすめのキーワードの選定方法ってありますか?Google のようなツールがあったりするんですか?

堂道:Google のキーワードプランナーの様に具体的な月間ボリューム件数は把握できないですが、Apple Search Ads の管理画面で登録してみたいキーワードの候補を入力すると「人気度」みたいな形でおおよその検索ボリュームが表示されます。
画像をクリックして拡大

ぼく:なるほど。でもそれもキーワードの候補があっての話ですよね。

山口:そうですね。なので我々が運用させていただく場合には、過去の ASO や Google の検索広告の運用データから、それぞれのアプリに対し最も効果が高いであろうキーワードを推定し一度運用します。その後、結果の実数値と照らし合わせて再度キーワードを調整します。

ぼく:ほ〜、それは過去からやってきてる知見が活きそうですね。レポートではどのような情報が得られるのかも気になります。

堂道:Search Ads の管理画面ではキーワードごとのトラフィック、CVR、CPI、CTR、TTR (tap through rate) などが見れます。

ぼく:なるほど、とりあえず獲得のところまでは十分なデータが管理画面だけでもとれそうですね。出稿時の課金形態は、CPI/CPC/CPM でいうとどれになります?

堂道:Apple Search Ads の課金形態は CPC です。我々がクライアントに提案する KPI は CPI または ROAS が一般的ですね。

山口:あと、実は Apple Search Ads には 2 種類の出稿形態が存在するんですね。

ぼく:2 種類?

「2種類あるんだよねー♪」「ねー♪」

Apple Search Ads の 2 種類の出稿形態


堂道:はい。1 つ目 Apple Search Ads Basic は、大きく広告予算を使う余裕はないけれど固定の CPI でユーザーを獲得したいデベロッパーが実施可能なメニューです。月の予算上限はアプリごとに 50 万円で、現在はアメリカのみ実施可能です。

山口:今のところの予定だと 2018 年中には全世界で実施可能になるとは言われています。

ぼく:AppLovin でいう self serve みたいなもんですね。

堂道:もう 1 つは Apple Search Ads Advanced というやつで、こちらが CPC メインで大きくユーザーを獲得したいユーザー向けです。こちらは予算上限はありません。

ぼく:なるほど。CPI は保証されないかわりに、そのリスクの分だけ強くアクセルを踏めると。

堂道:はい、Advanced のほうは当然ながらきちんと運用しないと CPI が高騰してしまうリスクがあり、実際に他の代理店さんが CPI を合わせられずに撤退しているのを見てきています。

山口:特にアメリカで 2017 年に開始された時は色んな代理店やデベロッパーがこぞって参入した結果、全体的に CPI が高騰しました。でも 3 ヶ月後には効果が合わないといって皆さんやめていきましたw

堂道「パンうめえ」

ぼく:その速さはアメリカっぽいw

堂道:その中でも我々は顧客の要望を満たすことによってクライアントを拡大し、知見を得てきています。そのノウハウを最初からフル活用しながら、日本で最初に実施することで、良質なユーザーの囲い込むことが可能だと考えています。

リバティーンズの Search Ads 運用サービスの特徴


ぼく:これ聞いちゃうとノウハウ流出しちゃうかもしれないんですが...差し支えない範囲で、もうちょっと具体的に運用ノウハウについて教えてほしいです。例えば、ノウハウがないとどうなるんですか?

堂道:例えば、漠然としたキーワード入札により、キーワードランキング上昇がほんの僅か、最悪の場合一切上昇しない、なんてことにもなりかねません。

画像をクリックして拡大

堂道:まず施策の目的についてですが、他社は集客チャネルの一部としてのみ Search Ads を提供致しますが、ウチではオーガニック及び広告価値最大化による集客力の最大化を提供します。オーガニック・広告双方の集客効果を最大化し、アプリの集客を最大限高める施策をご提案可能です。

ぼく:すごい最大感ありますね!前回の記事でもおっしゃってましたが、広告単体でのパフォーマンスを高めて終わりではなく、広告で得た情報を ASO にフィードバックしてオーガニック流入を増やして、その逆もやって、っていうことですよね。

堂道:おっしゃる通り、リバティーンズの運用ではオーガニック・広告双方の効果を最大化します。それぞれどのような施策を行うかを紹介しますね。

①オーガニックに関して


オーガニックの最大化は、ASO (アプリストア最適化) によるキーワード順位上昇とオーガニック CVR 上昇で実現致します。それぞれ下記のように対応致します。

【キーワード順位上昇】

過去 8 年間に渡りASOを実施し続けていた経験から、キーワード順位上昇のためのノウハウを膨大に蓄積しています。
これにより、キーワード順位上昇のポイントを抑えたASOを提案可能です。

順位変動時や、App Store の検索アルゴリズム変更時などは、再度 ASO を提案し対応します。
(ちなみに多くのデベロッパーさんは気付いているかと思いますが、2018 年 7 月 15 日から App Store の検索アルゴリズムが変わっております。当然弊社では何が変わったかはすべて把握しております。)

ASO は基本的に無償で提供します。

また独自のノウハウにより、Search Ads の品質スコアや "類似アプリ" の最適化・パフォーマンスの調整が可能です。

【オーガニック CVR 上昇】

オーガニック CVR、つまりストアページに来たユーザーが実際にインストールしてくれる割合ですが、アイコンやスクリーンショット、レビュー等によって大きく変わります。
例えば、過去にスクリーンショット変更で CVR が 1.5 倍向上した事例もあります。

他の ASO 事業社さんの場合、ASO 施策ではキーワード上昇施策のみしか行われないことが多いです。
オーガニック CVR 上昇の施策を交えたご提案が、リバティーンズ運用の特徴であり強みです。

②広告に関して


リバティーンズの広告運用には下記2つの強みがございます。

【運用最適化】

過去 8 年間に渡り ASO を、アプリの検索広告はリリース時からずっと提供していた経験から、多数の知見を蓄積しています。
この施策は独自の運用により、ASO のキーワードランキング最大化にも寄与します。

【キーワードナレッジ】

過去の ASO の経験から、アプリのジャンル・カテゴリごとに、どのキーワードの効果が良いか、悪いかのようなキーワードナレッジを大量に保持しております。

このナレッジは広告運用の最適化を速め、ASO にも流用可能です。

両方やらんと意味ないねん、と力説

山口:他社では ASO・広告のどちらか一方を提供するケースが多いですが、リバティーンズでは上記 2 つの施策を組み合わせ、ASO・広告の効果を互いに最大化します。

ぼく:実際 ASO と広告って同時にやったほうがいいっていう客観的なデータとか根拠ってあるんですか?

堂道:実はあるんですよ。iOS において ASO と Search Ads に相関関係があることは、Search Ads 公式ページにも記載されております。
画像をクリックして拡大 / ソースはこちら

堂道:この画像はアップルのヘルプページのスクショです。

ぼく:ほんとだ...ASO きちんとやってれば、広告を出したときにもいい影響があるってことですね。逆にいうと、このへん知らずに適当にアプリ出してるだけだと、かなり機会損失生まれてしまいそうですね。

堂道:そうですね。実際我々が過去に運用したアプリでも、ASO と Search Ads を両方やった複合効果によってキーワード順位が上昇し、以降も安定した、みたいな事例がいくつもあります。ゲームでも非ゲームでも出来るというのもポイントですね。
画像をクリックして拡大

ぼく:ありがとうございます、今日もすごい勉強になりました。ぼくも AppLovin の新規事業で Lion Studios っていうパブリッシャーの立場になったので、あらためて色んな広告や ASO とかについても勉強しなきゃいけないなと思ってるんですよね。

山口:またアップデートがあったら話しに来ますよ。坂本さんの blog 読んで連絡くださる方、けっこういるのでw



今回の記事は以上です!
もしリバティーンズ社に ASO と Apple Search Ads 運用をお願いしたい・相談したい方がいたら、ご紹介可能なので気軽にお声がけください (*^ω^*)

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Q

2018/01/21

2018年注目の『アプリストア検索広告』とASOについて抑えておきたい5つのポイント

※『アプリストア検索広告』とASOについて、めっちゃ詳しいリバティーンズ社のお 2 人にお話を聞いてきたので、インタビュー形式でお届けします!記事タイトルは適当です。ポイントは多分 5 つどころじゃなくもっと沢山ありますw



ぼく:よろしくお願いいたします。リバティーンズさんについて、ぼくは「ASO (App Store Optimization = アプリストア最適化)」の事業をやっているという理解しかないのですが(笑)、何やってる会社なのか簡単に教えてもらえますか?

リバティーンズってどんな会社?


山口 雄大 (以下「山口」):リバティーンズの事業内容は大きく 2 つで、「ASO を用いた Search マーケティング事業」ならびに「海外マーケットに主軸を置いた自社アプリ開発」です。

山口 雄大
大学卒業後、モバイル広告ベンチャー企業に入社。2007 年リバティーンズ株式会社創業。モバイルに特化した広告代理事業、自社アプリ開発事業、アプリ開発受託事業の立ち上げを行う。2008 年よりアプリのマーケティング手法の一つである ASO に従事。2014 年よりアプリに特化した Search マーケティング事業(ASO 事業/広告代理機能)を立ち上げ、事業を大きく拡大させる。慶應義塾大学総合政策学部卒。

ぼく:はじめからその事業をやっていたんですか?

山口:いえ、弊社は 2007 年に創業したのですが、創業当初はモバイルといってもガラケーの広告代理事業などをメインで行っておりました。

ぼく:2007 年というとなんならスマホもまだ...

山口:そうですね、iPhone が発売されたのが 2007 年で、大きくアプリの流通が広がったのは 2008 年に iPhone3G が発売されてからです。弊社もそれをきっかけに、事業のほとんどの機能をスマホへシフトしております。

ぼく:その当時ってまだ「ASO」みたいな概念もほとんど無かったですよね。

山口:はい。当時はアプリ開発の受託や自社アプリ開発などを行っていたのですが、「アプリ広告」というもの自体が存在しておらず、アプリマーケットの中の特に Search やアイコン・スクショなどの見直しによる CVR (Conversion Rate = 転換率) の改善を行っていたんですね。

ぼく:なるほど、支援側というよりは自分たちがアプリを配信する側にいて、実際に手を動かして試行錯誤していたと。

山口:その後も、インストールを自然流入で増加させるためには何が必要か、どの様な調整を行うべきか、何をすべきないか/何をしてはいけないか、などをずっと分析し続けています。スマホアプリ市場の拡大と共に、そういったノウハウを一元化させ、新しいサービスとして現在の事業を立ち上げ、ASO と既存の広告の仕組みをかけ合わせて新しい価値を世の中にご提供しております。

ぼく:アプリ Search マーケティング事業、でしたっけ。ASO のコンサルとか、検索広告の代理店みたいなイメージですか?

アプリ Search マーケティング事業って何?


堂道 健太 (以下「堂道」):単なるアプリストア最適化や広告代理運用にとどまらず、オーガニックと広告を全て含めた集客最大化を目的として事業を営んでおります。

堂道 健太
大学卒業後 2006 年証券会社入社。2008 年リバティーンズに参画。ASO(アプリストア最適化)及び北米向けアプリ開発に従事。コンテンツ制作とマーケティングを担当。ASO のみで月間 100 万ダウンロード達成。その後アプリ Search マーケティング事業を統括。慶應義塾大学総合政策学部卒。

ぼく:そこって別々にやるのではなく、両方一緒にやったほうが明確にいいことってあるんですか?

堂道:数多くの相関関係やメリットが存在するのですが、一つ分かりやすい事例をあげると、「AdWords や Apple SearchAds で取得出来た情報を ASO に活かす」ということが出来るようになります。

ぼく:分かりやすい例を挙げていただいたのにスミマセン、よくわかりません(笑)。

堂道:例えば、ストアで何のキーワードを設定すべきか、どのキーワードの検索上位をとるべきかなど、詳細に把握するためには、どうしても推測的な側面が拭い去れないじゃないですか。

ぼく:確かにそうですね。

堂道:そのため、広告運用から得られたデータを ASO 側に還元することで初めて効果が最大化されると考えているのです。

ぼく:ほうほう。

堂道:例えば、どのキーワードが自社アプリにとって最も CVR が良くて ASO 的に重要か、件数を確保するならこのキーワードを押さえておくことが大事だといった分類が、広告のデータを使うことで初めて可能になります。

ぼく:なるほど〜!「どのキーワードが大事か」をそもそも特定するときに、アプリのタイトルや説明文の中でテストするのは物理的に難しいけど、広告ならたくさんキーワードがあってもデータとれますもんね。

山口:また、そこで得たデータをスクリーンショットなどに応用することで、そのアプリページそのものも効率的なものになります。ユーザーが「こういうアプリないかな」って探しているキーワードを、一番目立つスクリーンショットに入れることで、アプリページからの CVR も改善しようということですね。

ぼく:ぼく自身も以前アプリ出したとき、スクショに入れるキーワードとかはかなり感覚で選んでました。データが大事大事ってお客さんにはいつも言ってるのに、恥ずかしい、、、

何度見ても可愛い。漫画ウォッチャー (iOS | Android)

山口:そのため、ASO のコンサル部分に関しては無料でご提供し、通常の代理店と変わらない代理店手数料のみのビジネス形態にしております。どちらか一方だけの実施だと集客の最大化は不可能だというのが我々の考えなので、「どちらか一方だけ」という形でのご依頼はお受けしないことにしています。

ぼく:合理的ですが確かに顧客目線ですね。アプリでこの領域に特化してやろうと決めた理由は何ですか?

山口:やるなら No.1 を目指したかったので、敢えてアプリ Search の分野にセグメントを絞りました。需要は存在するにも関わらず、事業として成立させている事業者が居なかったというのが大きな理由です。

ぼく:ストア内検索ってかなり重要なファクターですよね?

アプリとストア内検索について知っておきたいことは?


堂道:はい、ユーザーの 63% が検索経由でアプリをダウンロードしており (※Nielsen/Google, 2013)、ストア内だけでなくブラウザ検索でアプリを見つけているユーザーも多いため、間違いなく非常に重要なファクターです。



堂道:また弊社が ASO の分野に注目した時期がで世界的にも早く、事業的にもかなりアドバンテージがあったということも大きいと思っています。当時は ASO の概念自体も曖昧でキッチリ定義した存在が無かったので、自分たちでその領域を定義していこうというのをずっとチャレンジしています。

ぼく:検索というと SEO がすぐに思い出されるのですが、アプリに注力されてるのにも理由があるんでしょうか?

堂道:スマートフォンやアプリの最大の魅力は、世界中にコンテンツマーケットの流通が成立していることだと思っているんですよね。国内だけにとどまらないビジネス展開の土壌が初めから備わっていることが、アプリに特化するに値する理由かと思っています。

ぼく:アプリストアという流通チャネルの存在が大きいと。

堂道:流通チャネルが世界共通だからこそ、世界のどこでもある程度同じ戦い方が出来るので、ノウハウが活きます。最終的にアプリの勝負は、有料プロモーションを駆使しながらもオーガニックも含めた総数であるため、お客様へ非常に有用な価値の提供が出来るというのも、アプリに特化している理由です。

ぼく:とてもよくわかりました。


どういうアプリパブリッシャが ASO と検索広告を活用すべきか?


ぼく:現在のクライアントの業種はどういうところが多いんですか?

山口:今は中~大手企業が中心ですね。理由はいくつかありますが、まずはコンテンツがある程度しっかりしたものでなくては、ASO 効果が発揮しづらいという側面があります。

ぼく:それはどういう理由ですか?

堂道:例えば GooglePlay は “有効インストール数” などを重要な指標に置いており、すぐに離脱するユーザーが多い (継続率が低い) アプリはそもそも上位表示が困難になる場合があります。そのため、ある程度ユーザーファーストでアプリの内容を考えられていないとそもそも自然流入増が困難な場合があります。

ぼく:なるほど〜。そもそも最低限のクオリティのアプリを作れていないと、小手先の ASO だけでは通用しないってことですね。

堂道:はい。また ASO 自体がそれ単体で機能するというより、あくまで複合的なものであるということが 2 点目の理由になります。キーワードだけ弄ればどうにかなるといった表面上の話ではなく、アイコン・スクショ・コンテンツ・キーワード・プロモーションチャンネル・プロモーション規模、その他多くの要素が絡み合って初めて大きな効果を発揮します。

ぼく:様々な施策をやってはじめてワークするから、そういった施策を行えない規模のところでは効果も見えづらいということですかね。

堂道:はい。そのため、必然的に中規模以上のデベロッパーさんでまだ ASO などを本格的に着手されていないお客様などが多くなっていき、顧客満足度も高くなっていく傾向にあります。

ぼく:アプリのカテゴリでいうと、どのカテゴリのお客さんが多いんですか?

山口:アプリのマネタイズが上手くいっているところの主流がゲームであるため、ゲーム会社様からの引き合いは多いことは事実です。が、クライアント構成自体は非ゲームもかなりの割合を占めています。

ぼく:どういうフェーズに御社のサービスが向いていますか?逆に、向いてない会社もありますか?

山口:アプリのフェーズとしては、本来はアプリのリリース期にある程度のプロモーションと共に行うことが最も重要だと考えています。理由は、Google Play・Apple 共にリリース直後のアプリが自然流入の面で優遇されていると私共は考えているためです。

ぼく:新着ランキングに入るからですか?

山口:それもありますが、他にもアルゴリズムの面で優遇されていると我々は分析しています。

ぼく:そうなんですね〜。ってことはそれだけ、比較的少ない費用でデータを集められるから有利ってことですね。

堂道:そうなります。また、ゲーム・非ゲーム問わずどうしてもユーザーの質が初期段階の方が良いので、そういったユーザーを囲うといった LTV 的な視点からも重要になってきます。

ぼく:リリースから時間がたったタイトルだと難しいんですか?

堂道:あくまで初期段階から導入した方がメリットが大きいということであって、リリース後でも対応や改善は十分可能です。実際そちらの需要の方が大きいので。

ぼく:アプリの寿命も伸びてますもんねぇ。

山口:また、広告費がゼロで ASO のみに頼ろうとする企業さんもいますが、そういう形よりむしろ、ASO を下地にしてプロモーションを行っていくことで、結果的にオーガニックユーザーを潤沢に獲得できるという良さがあります。

さすがにアプリ名は出せないけど過去事例...


ぼく:差し支えない範囲で、この施策がうまくいった事例と、その要因を教えてください。

堂道:例えば検索最適化の結果、CVR (転換率) が 20%→50% 以上、最終的にダウンロード件数も週次で 1 万ダウンロード増したアプリがあります。
 
ぼく:まじですか...!リバティーンズさんが入る前はどういう状態だったんですか?

堂道:関わらせていただく当初は、特定の 1 つのキーワードで 2~4 位前後にいただけの状態でした。そのため自然流入が増えずご相談いただいた経緯がありました。

ぼく:なるほど、やりごたえがありそうですね(笑)。どういうとこから手をつけたんですか?

堂道:例えばキーワード 1 つ 1 つも、「恐らくこれじゃないか?」という担当者の推定というか思い込みで選定されていただけで、決して根拠に基づいたものではありませんでした。

ぼく:そういうところ少なくなさそうですね。。

堂道:そこで、広告を運用しながら、キーワードの設計からアイコン・スクショその他の見直しのアドバイスなどを含め、徐々にチューニングを行っていきました。その結果、最もコンバージョン率が良いキーワード、有効な・有効でないキーワードの組み合わせ、など明確に定義しました。

山口:その結果、目的としたキーワード群ほぼ全てで上位に表示されるようになりました。特に、CVR が良いキーワードを抽出することで、ストア内で情報として何を推すかをデータドリブンで決められるようになるというのがポイントです。

ぼく:その施策が、先におっしゃっていた、週次でプラス 1 万ダウンロードという結果に繋がったわけですね。

堂道:また他の事例では、ASOを行うことにより、ユーザーの質の最大化が可能となり、インストール後の KPI が大きく改善した事例も多数あります。とても上手くいった例だと、課金率が 2 倍以上に改善して LTV が向上した、といったこともありました。

ぼく:え、なんでそんなことが。。。

堂道:検索型集客の特徴として、ご存知の方も多いかと思いますが、ユーザーの質があらゆる集客チャネルの中でも最上位クラスに位置するんですね。

ぼく:あぁ、もともとそのアプリを「探して」ダウンロードしにきてるユーザーだから...

堂道:はい、これは考えてみれば当然ですね。純粋に、本来アプローチすべきユーザーにリーチを行うという視点だけでも、課金率や継続率にプラスの変化を及ぼすことは容易に想像いただけるかと思います。

Apple と Google の検索広告それぞれについて


ぼく:それだけ重要なストア内検索なのですが、広告に絞っていうと Apple の search ad って米国はじめいくつかの国でしかまだ使えないですよね?

 
山口:現時点 (2017 年 12 月) では、アメリカなどの英語圏、メキシコ、スイスなど順次拡大されている様です。いつ日本で開始されるかはまだ不明の様です。恐らく日本語という独特な言語に対応するのに多少の時間を要するのだと考えていますが、そう遠くない将来導入されると考えております。

ぼく:御社でも運用実績あるんですよね?効果はやっぱり高いんですか?

山口:自社のアプリを含め、国内の事業者様の海外向けアプリも既に取り扱いさせていただております。広告効果は「やり方次第」といったところです。

ぼく:「すげーいいぜ」じゃないんですか?

山口:やはり単純に何気なく設定して運用を行うのではなく、根拠に基づいた運用手法とキーワード設定が必要です。更にこちらも ASO と組み合わせて行うことによりオーガニックの増加にも繋がります。今、国外向けに広告運用をお手伝いさせていただいているお客様にとっては、申し分ない結果が出ていると思っております。そのため日本でリリースされた際もお客様のお役に立てると思っております。

 
ぼく:逆に Google って、アプリプロモーションだと UAC (Universal App Campaign) しかできなくなったじゃないですか。御社に運用を任せると、ディスプレイ等も含めて全部お願いしないといけなくなるんですか?

堂道:基本的にはそうしていただいております。全て一本化にされたため、UAC を運用させていただく中で、検索広告部分についても最適化を行います。当然、他の代理店さんと同様、動画などのクリエイティブもお客様には無料で作成し、PDCA を回して、UAC 全体として見た場合も相対的に質の高いサービスを提供できていると考えております。

ぼく:検索広告とディスプレイ・動画広告等が別だったころと比べて、UAC になって出来なくなったこととかは無いんですか?

堂道:UAC に一本化されたことで、以前は把握できたキーワードごとの CVR などが把握しづらくなっています。しかし、我々は過去数年に遡ってこの事業を行っており、国内外問わず「この業態のこのアプリはこのキーワード」というのをかなりの精度で特定できています。こういった価値をお客様にご提供できるのも我々の強みになります。

ぼく:最低でもこれぐらい予算ないとやっても効果が見えにくい、みたいなラインってありますか?

堂道:アプリによりますが、約 50~100 万円/月、というところかと思います。あまりに予算規模が小さすぎると、何の情報も分からず終わるケースもあります。

ぼく:ありますねえ。AppLovin でもあります...。リバティーンズさんにお願いしようかどうかって迷ったとき、そもそも自分とこのアプリが ASO うまくやれてるかどうかを診断できる方法やツールってありますか?

山口:まず、ツールとしては存在していません。ASO の定義として、”広義の” ASO と “狭義の” ASO が存在しています。

ぼく:違いを教えてください。

山口:狭義的には、単純なキーワードのリーチと上昇など。広義としては、スクリーンショットやアプリページそのものも含めた CVR などを指します。もっと広義になると、アプリの内部にすら改善点が及ぶ場合もあります。

ぼく:なるほどなるほど。

山口:ここまで全て診断するとなるともはやツールでは対応できないため、我々の価値があると思っています。ツールはあくまで補助として活用され、その他を我々の様なサービスで補っていただければと思っています。

ぼく:キーワードごとの順位とか教えてくれるサービス、たとえば SearchMan とか MobileAction とかあるじゃないですか、あれの良し悪しとかってご存知ですか?

山口:個人的に SearchMan の方が使い勝手が良いかと思います。他のツールに比べて日本語にカスタマイズされているのと、API サービスなど、かなり遡って色々な情報が取得できる作りになっているので。サジェスト結果、トレンド検索の履歴など他ではない機能も提供しているようです。


ぼく:色んな情報を使って細かく運用しようというときに役立ちそうですね。

堂道:また、キーワードごとの順位を教えてくれるサービスの中には、日本のストアと異なっている順位を表示しちゃうサービスも多いです。そういった意味でもサービスインしてから長い間支持されているものを採用すべきだと思います。

ぼく:サービス・プロダクトが使われ続けてきているという実績が、クオリティを証明しているだろうと。

山口:創業者の柴田さんの知名度は今や鰻登りでもはや何も言う必要がないかと思いますが(笑)、国内事業者であれば SearchMan をオススメ致します。


決算が読めるようになるノート

ぼく:なるほど、ありがとうございます。

最後に


ぼく:いろいろ話していただきましたが、こんなに喋っちゃって大丈夫ですか?

山口:まだまだお話していないメソッドはたくさんあるので、大丈夫ですよ。

ぼく:お客さんの中には、リバティーンズさんからノウハウを学んだあと、「これなら自分たちでも出来そうだ」って自立というか、離れていっちゃうこととかないんですか?

堂道:そういう方も中にはいらっしゃいますよ。でも、多くの方が戻ってこられます。

ぼく:なんで戻ってくるんですか?オペレーションが大変だからですか?

堂道:オペレーションの面もありますが、ノウハウのアップデートが必要という側面が大きいです。SEO と同様に、アプリ内検索においてもアルゴリズムやトレンドが変わり続けています。弊社はこの領域だけをやっているので当然キャッチアップも早く出来ますが、よほどリソースに余裕のあるところでないと、アプリ事業者自身が全ての変化についていくことは難しいと思います。

ぼく:確かにおっしゃる通りですね。いやぁ楽しかった、今日はどうもありがとうございました。またちょくちょくお話聞かせてください!

山口:はい、またアップデートお届けします!



こんなかんじです!
もしリバティーンズ社に ASO と検索広告運用をお願いしたい・相談したい方がいたら、ご紹介可能なので気軽にお声がけください (о´∀`о)

Q

2016/08/04

COPPAとGoogle Playと広告について

Twitter とか見てると、一部の/複数のアプリデベロッパーさんのところに Google Play から
  • あなたのアプリは、米児童オンライン プライバシー保護法 (COPPA) の対象となる子ども向けのアプリなんじゃない? (って報告を受けたよ)
  • だから 30 日以内に「子ども向け」ってフラグをコチラ側で立てるよ
  • アプリが子ども向けじゃないときは申し立てしてね
って趣旨のメールが届いたらしいです。

そちらについて、僕が知ってることを解説。

COPPA って何?


すっげー端折って説明すると、米児童オンライン プライバシー保護法 (COPPA) ってのは、2000 年から施行されてるアメリカの法律で、13 歳未満の子どもの個人情報を守るっていうのが目的。

それとアプリや広告がどう関係するの?


実は広告のターゲティングやトラッキングに使われている広告 ID、つまり iOS における IDFA (ID For Advertising) と Android における GAID (Google Advertising ID) が、COPPA における個人情報に該当するんですよ。
(永続的な識別子、に該当)

IDFA も GAID も、ちゃんとユーザーが「私のことはトラックしないで欲しい (から、私の ID は渡さないわ)」って OS レベルで (端末側で) 設定することが出来るし、あとからリセットすることも出来るようになってます。
なってるんですが、13 歳未満の子どもについては「いや、そもそも最初っからとるな」っていうことなんです。

対応するとどんな良いことがあるの?


App Store がどうか把握してないんですが、Google Play には「子ども向けアプリ (Designed for Families)」っていうカテゴリがあります。
そこにアプリを載せたい場合は、ちゃんと「13 歳未満の子どもの GAID (を含む個人情報)」を取得しない仕組みにしとかないといけない、っちゅうわけです。

そうしてないと法律違反になっちゃうので...どうなるんだろ、そういえば。
少なくとも「子ども向けアプリ」カテゴリからは追い出されるはず。

自分のアプリが、例えば「人面あんパンのひらがな超暗記バトル」みたいな、明らかに 13 歳未満のユーザーだけをターゲットにしている場合は、きちんと COPPA に対応した上で、「子ども向けアプリ」カテゴリに入れてもらうと良いですな。
「子ども向けアプリ」カテゴリからアプリを探す人からのダウンロードが少し増えるかもしれないし、何よりいちユーザー (子どもの親) として信頼できる。

対応したときのデメリットは?


ひとことで言うと、広告の収益性はけっこー下がります。

広告 ID が使えない = 個人を特定してターゲティングする広告が配信できない、ってことなので、例えばユーザーの興味関心に基づく広告や、リマーケティング / リエンゲージメント広告は配信されなくなります。

また、広告 ID を使った効果測定が出来なくなるため、広告主からすると「このアプリに広告配信してるんだけど、そこから何件インストールされたかとか、全然見えねぇ」っていうマヌーサ状態になっちゃうわけです。
なので当然、単価を下げられたり、配信が止まったりすることが考えられます。

なので「明らかに 13 歳未満だけが対象」ってアプリじゃない限りは、「子ども向けアプリ」カテゴリ入りを諦めて、COPPA にも対応しないっていうのがビジネス的には推奨。
全年齢が対象のアプリを、たまたま 13 歳未満の人がプレイする可能性がある、だから COPPA 対応しろ、っていうわけではないのでご安心を。

ちょっと手間がかかるけど、ゲームスタート時に年齢確認を行い
  • 13 歳以上だった場合、通常の一般的な広告を表示。
  • 12 歳以下だった場合、COPPA 対応の広告表示、若しくは広告表示なし。
 って方法にすれば、「子ども向けアプリ」カテゴリにも入れるし、13 歳以上のユーザーにはターゲティング可能な広告を配信できます。
(あるルートでこちらが OK であることを確認済み)
ただ、13 歳未満ユーザーが多かった場合、広告の収益性が下がることは避けられないですが。

どうやって設定するの?


 広告ネットワークによって違います。

AdMob はコードレベルで変更しなくちゃいけないみたいで、広告リクエストを送るときに tagForChildDirectedTreatment ってフラグを YES/TRUE にしないといけないみたいです。
具体的な実装はこちら (iOS | Android)

我らが AppLovin は、管理画面でアプリごとに ON/OFF を切り替えるだけで OK。
便利!AppLovin 便利!

SSP 経由で使ってる方は、SSP の担当者またはぼくに直接言ってくださいな。
アカウント持ってる方は Monetize タブ → Analytics → 該当アプリを選択 すると、中に下記のチェックボックスがあるよ。
これにチェックを入れるだけで OK

 他にも COPPA 対応してるアドネットワークは多いので、やり方はそれぞれ調べるなり聞くなりしてください。
日本のアドネットワークは...どうなんだろう。知らないや...


ぼくが知ってるのはこんなところです!
ここ違ってるよとか、追加情報がある方とかは、ぜひ教えてもらえると嬉しいです。

Q

2016/04/18

ロングインタビュー風!AppleTVアプリ開発で世界一になった日本の個人デベロッパ

先週末 2016/4/17(sun) に AppLovin サンフランシスコオフィスで開催された Apple TV App Challenge (Apple TV 向けアプリ開発コンテスト) で、なんと日本人の個人デベロッパが優勝してしまった!!

AppLovin からの発表 (プレスリリース | blog)
コンテスト概要 (日本語 | 英語)

なんなら 20 代に見えるが...

優勝したのは、名古屋を拠点にする個人デベロッパ 伊與田 (いよだ) さん (以下、いよちゃん) 。
伊與田さんの web サイト

世界中から応募があった中、Apple TV 向けアプリを作るのは初めて (モバイルゲームからの移植でもない) で、英語にも 100% の自信があったわけでもないのに、THE 快挙!!

というわけで、さっそくインタビューでお話を聞いてみたよ。
(まだ Bay Area にいるので、例によって Google Docs と Facebook メッセンジャー上でのやり取りw)



ぼく:おめでとうございます!

いよちゃん:ありがとうございます!

ぼく:優勝が決まったときの気持ちを教えてください。

いよちゃん:びっくりしました。他に出場していたどのゲームやアプリも Apple にフィーチャーされてもおかしくないクオリティーで、正直優勝できるとは思っていませんでした。

参加者にアプリを紹介する伊予田さん

ぼく:世界中からファイナリストが集まりましたからね。あらためて、今回 tvOS App Challenge に参加した感想を教えてください。

いよちゃん:参加して非常によかったです。ラッキーだったと思います。iOS に比べて Apple TV 向けにアプリを作っているデベロッパはまだ非常に少なく、チャンスがあると思います。

いよちゃん:Apple TV で収益を求めるだけではなく、「Apple TVも対応している」というところで差別化を図るのもアリだと思いました。

ぼく:そもそも、どうやってこのコンテストのことを知ったんですか?

いよちゃん:開発は Corona で行っているので、Corona SDK の Facebook のタイムラインと、AppLovin の坂本さんのブログで知りました。


ぼく:なんで参加しようと思ったんですか?

いよちゃん:個人でアプリを開発しているとプロモーション費用がないので、アップルにフィーチャーされる方法を模索していたんですよね。

いよちゃん:フィーチャーされているゲームを調べてみると、コンテストで入賞しているゲームをいくつか発見して、ちょうどコンテストがないか探していた時期でした。

ぼく:Apple TV 向けのアプリって作ったことはあったんでしょうか?

いよちゃん:いえ、AppLovin のコンテストの参加のために初めて作りました。ただ、コンテストのためだけに作るのはもったいないので、iOS でもリリースできるゲームで、アップルにフィーチャーされそうなゲームを作りました。

*:.。..。.:*・゚ ゚.+° ゚+.゚ *+:。.。 。.。:+*° ○ (+´∀`)キラリン☆ミ

ぼく:なるほど〜。そんな伊與田さん、そもそもなんでゲームデベロッパになったんですか?過去のキャリア含めて教えてください。

いよちゃん:もともと経験があったわけでもないので、「ゲーム」デベロッパになる予定はなかったんです。

いよちゃん:実は、僕はゲームをほどんどやったことないです。マリオやドラクエ知らないっていうとみんな驚きます。ファミコンもプレステも。

ぼく:え、それは驚きますよ普通にwゲームデベロッパだからとかの前に、男の子としてww

いよちゃん:いやぁ、ゲームって遊び方難しくてよくわからないです。なので、全然ゲームのことしらないので、すごいなぁーって尊敬して聞くと、みんな色々教えてくれるんですよ。非常に助かります。

ぼく:その感覚もってるゲームデベロッパは少ない気がw なんでまたゲーム作ることになったんですか?

いよちゃん:前に勤めていた会社をやめて、iOS 向けのアプリを作ろうと思っていたときに、市場が一番大きく、また新陳代謝も早いゲーム市場がヒット作を出せる確率が高いのではと思って、ゲームに絞りました。

ぼく:なるほど〜。それまでは何をされていたんですか?

いよちゃん:前職は、ネットワークセキュリティ分野の機器やアプリケーションのプリセールスエンジニアをしていたり、営業に回されたり、コンビニの店長していました。

ぼく:コンビニ店長w

いよちゃん:研修中の店長時代に、とても一生やる仕事としては向いてないなと思って、すぐに転職しました(笑)それ以来、コンビニが苦手になりました。

ぼく:辛いww

いよちゃん:いやぁー、若かったので、経営って言葉に騙された感じですねー。若いって怖いです。

ぼく:今はお仕事としてはどういったことをやっているんですか?

いよちゃん:ゲームを作ること以外は何もしていないので、実質ニート状態です。貯金かなり消えてるので、アプリ当てないとやばいっす。アプリマーケティング研究所さん紹介してください。

ぼく:アプリデベロッパの悲惨な状況をレポートするメディアじゃないっすよww

*:.。..。.:*・゚ ゚.+° ゚+.゚ *+:。.。 。.。:+*° ○ (+´∀`)キラリン☆ミ

ぼく:今回作ったアプリを紹介してください。

いよちゃん:Dungeon Tiles (ダンジョン タイルズ) というゲームです。


いよちゃん:基本操作は「2048 (iOS | Android)」に近いのですが、それに RPG の要素を足して、より戦略性を高めたゲームにしました。

ぼく:パズルゲーム + RPG ってカンジですね。グローバルに受け入れられそうなテーマです。どうやって遊ぶんですか?

いよちゃん:コントローラーのタッチする部分をスワイプすると全てのタイルが同じ方向に移動します。タイルには、それそれ数値が含まれており、同じ色の数値が重なると数値の合計値になります。

いよちゃん:数値が合算されると、それぞれのタイルの種類のパラメータが画面の上部にあるので、そこに合算され、戦闘が始まります。


いよちゃん:タイルの種類は以下の通りです。
青 = 剣、白 = ドラゴン、赤 = ライフ、黄 = ゴールド

いよちゃん:剣でドラゴンを攻撃し、ドラゴンがライフを攻撃し、ライフが0になったらゲームオーバーです。

いよちゃん:ゴールドは、ゲーム終了後も加算され続け、アイテムを使うときに消費されます。アイテムを使うと、画面上の全てのドラゴンのタイルを消したりすることができます。

ぼく:操作はスワイプするだけで簡単そうですね。tvOS 向けアプリを作る上で苦労した点・工夫した点とかってありますか?

いよちゃん:初めて Apple TV に触ったので色々と未知な部分が多く戸惑いました。

いよちゃん:まず Siri Controller (Apple TV のコントローラー) からどんな情報が入ってくるかわからなかったので、ログをとりながら動作の確認をしました。


いよちゃん:また Siri Controller に向いてないゲームもあるので、ゲームの企画のときに、そのあたりを考慮したほうがいいと思います。

ぼく:確かに。座標がとれないから、画面上の任意のオブジェクトをタップさせるような動作は Apple TV では難しかったりしますもんね。

いよちゃん:そうなんですよ。Apple TV は、iOS デバイスのように画面にタッチして、ボタンを押したり、アイテムを選んだりすることができません。従って、全てのボタンをフォーカス制御する必要がありました。


いよちゃん:また、Menu ボタンを押すと 1 つ前の画面に戻ったり、Pause 画面を表示するなどの対応が必要になります。これらも iOS アプリでは無かった挙動です。

ぼく:細かいところとはいえ、感覚的にはけっこう iOS とは違う操作感になりますね。デザイン面ではどうですか?

いよちゃん:アイコンも iOS と異なり、サイズや、さらにレイヤーに分けて作る必要があります。Apple TV 用のアプリを作る前には、Apple TV Human Interface Guidelines の確認が必要なります。
https://developer.apple.com/tvos/human-interface-guidelines/

ぼく:開発者は要チェックですね!

いよちゃん:エフェクトは思ったような動きにならないので、今回はシューティングのプログラムの関数を利用しました。ベジェ曲線みたいな軌道を計算してます。

ぼく:ベジェ曲線って知らなかったので今ググりましたw

出典: Wikipedia

いよちゃん:イラレのパスを描く時の曲線です。簡易的な関数だと思うので、実際のベジェ曲線とは違うかもしれないですけど。始点と終点を固定にして中間の 2 点を設定すると、中間点の近いところを通る曲線を描く関数を利用しています。
 
いよちゃん:あと、60fps だとあまり綺麗でなかったので、実際のフレームレートの倍のパーティクルを出したり、透明度を少し変えてキレイな軌道を表現しています。

ぼく:おぉ〜そういうの良いですね。端末の性能も上がってるので、最近だと 60fps だとギリギリ (ちょっとヌルヌルさが足りないかも...) ってなっちゃいますもんね。

いよちゃん:そのほか、Apple TV 内にデータを保存することはできるのですが、消える可能性があるので、iCloud に保存する必要がありました。

ぼく:なるほど、それも知らないと忘れがちなポイントですね。

*:.。..。.:*・゚ ゚.+° ゚+.゚ *+:。.。 。.。:+*° ○ (+´∀`)キラリン☆ミ 

ぼく:コンテストの準備ではどんなことをしましたか?

いよちゃん:コンテスト向けに以下の点について考慮しました。

1. Apple TV の特徴を意識したゲームを開発する


TV は、大画面で複数で見ることが想定されるので、2プレイヤーに対応しました。

Apple TV に付属している Siri Controller は、購入時に1台しか付属していないので、コントローラ1台で遊べるように、ターン制にしました。

 

2. Apple がフィーチャーするアプリのトレンドに合わせる


Apple がフィーチャーするゲームは、多少傾向があるので、その中でミニマリズムなゲームのデザインにしました。
毎週 US と UK でフューチャーされているゲームをチェックして研究しています。

海外では、アップルにフィーチャーされるためのTipsとか出回っていますし。最近フィーチャーされているゲームも Apple TV 版も出していたりします。

デザイン面は、超リアルな感じか、ピクセルアートか、クロッシーロード風、あとは超ミニマルなシンプルでスタイリッシュなグラフィックが好きな感じですね。欧米では、ミニマルなのが毎週 1〜2 個フューチャされてます。

日本のゲームでは、国内向けのソシャゲか、あとは Oink Games さんなどの定番がカタいですね。

日本と欧米の違いは難しいところです。
日本のカジュアルゲームのようにバナー広告が多いゲームは、欧米のユーザーからは好まれません。
ゲームバランスも、欧米みたいに最初難しくすると日本のユーザーは怒るし、逆に海外のレビューを見ると「簡単すぎるのはゲームじゃない」って書いているも人いました。

3. 広告をどのように使うかを検討する


AppLovin 主催のコンテストということもあり、動画リワード広告を見ると 3,000 ゴールド取得することができ、プレイ中にそのゴールドを使用して、アイテムを利用することが出来るというようにしました。


ぼく:今後 tvOS でもそれ以外でも、こういうアプリ・ゲームを作りたいとかありますか?

いよちゃん:ゲームにより向き不向きがあると思いますが、可能であれば tvOS には対応したいと思います。
Dungeon Tiles はモバイル版も作ってから、おそらく 5 月末から 6 月頭のリリースになると思います。

ぼく:楽しみにしてます。インタビューありがとうございました & 改めて優勝おめでとうございました!!



Apple TV が答えなのかどうかは分からないが、今後世界でも日本でも「テレビがインターネットに繋がる」ことは間違いなく来る未来だと思う。

そこにゲームやアプリを配信できるオープンなプラットフォームがあり、課金や広告などマネタイズの手段も整備されてくると、大きな市場になるのではないだろうか。

その市場に大手が出てくるまでは恐らくまだもう何年か時間があって、それまでの間は (iPhone が出てから 2-3 年のスマホアプリ市場と同様) 伊與田さんのような個人デベロッパが活躍できる時代になり得る。

早くから参入して、プラットフォームの特性を理解したり、デザインや UX のノウハウを溜めたりしておくことは、(伊與田さんの話にもあったが) かなりの競争優位につながるんじゃないかしら。

というわけで、長くなったけどこのへんで。

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