ラベル GOODROID の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル GOODROID の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2016/12/27

行く年来る年 2016

昨年 (2015 年) の年末 post を読み返してみると、Google をやめて AppLovin に日本第 1 号としてジョインし、半年でそれなりに立ち上げた - というのがハイライトだったようだ。

今年 (2016 年) は、年始には日本には僕 1 人だったのが、メンバーが増え、オフィスも構え、日本法人もでき、個人事業からチームへと変容できたのが大きい。

左から、サニー・ぼく・ノリさん・まんでぃ・谷やん
 
3 月には IVS (のちに ICC カンファレンス) で長くボランティアスタッフ仲間だったまんでぃがジョイン、4 月には数年前から AppLovin 本社にいたノリさんが凱旋帰国。(いまだにインタビュー記事はないw)
5 月にはオーランドブルーム風のイケメン・サニー、8 月にはまんでぃの元同僚で雀鬼の谷やんがそれぞれ加入。

※ 余談だが、谷やんはオクタゴンという CA 藤田社長ご用達という雀荘の "最強戦リーグ・アマチュア部門" というのに出場しており、12 月 27 日時点で月間 2 位にランクインしている。

これによって、アポがない日中に寂しい思いをしなくてよくなったのはもちろん、昔は FW から GK まで全部やっていた (厳密には新規営業はやりまくっていたが保守運用はあまり出来ていなかった) のが役割分担できるようになり、得意領域により特化集中できるようになった。

そのメイン領域「アプリのマネタイズ支援」では、今年の大きなテーマの 1 つだった「ソシャゲへの動画リワード導入促進」でいくつか、誰もが名前を知っているような会社のメインタイトルに導入してもらうことが出来た。
来年以降もこの流れは徐々に加速しながら進んでいくと思う。

また、C CHANNEL をはじめとした著名ブランド媒体にネイティブ広告を実装してもらったり、AdStir やアドフリくんと組んだりもしながら全画面インタースティシャル広告の導入も増やし、「動画リワード "だけじゃない" AppLovin」の認知を広めることが出来た。

その結果、まだ締まってないけどおそらく今年の国内の売上トータルでは、前年比 +500% を余裕で超えるぐらいの急成長を遂げることができた。
個人的にベンチマークにしていた、「おそらく国内のアプリ広告の売上 1 位の会社はこれぐらいだろう」という "月間 X 億円" の大台も、12 月に達成できる見込みだ。
(AppLovin が日本一の売上のアプリ広告ネットワークだ、と心の中で宣言できるw)

来年もこの成長を維持できるかどうか。
6 月には早くも僕の AppLovin 歴は 3 年目に突入してしまうので、踏ん張りどころである。
 
ちなみに今年の 9 月に、AppLovin は中国の PE ファームに株式の過半数を売却することを決めた (プレスリリース)。
その直後から「おめでとう!次どこ行くの?」「うち来なよ」とお声がけいただくことが何度かあったが (勿体無いお誘い、有難う御座います)、まだ遠くない将来に本当の exit (MA か IPO) が待っているはずなので (希望含)、早くてもそこまでは成長に貢献できるよう頑張るつもりである。

(もちろん目論見が外れることもあるかもしれないが...現時点での意気込みとして)

営業のかたわら、上手くいっているデベロッパーさんの事例を深く掘り下げて世に広めよう活動にも今年は力を入れてきた。

我ながらよく書いたもんだ、こんなに文字数多い記事を。

その他にもちょこちょこアプリマネタイズ関連の記事を書いてたら、多分あまりそういう情報が他に表に出てないからだと思うけど、初めてメールしたり会ったりするデベロッパさんから「blog 読んでます」と言われることも超増えてきた。

そうやって「アプリの専門家」として認知されてきた結果...というよりは単なるご縁なのだが、10 月から教えて!アプリ先生という東京 MX (ローカル局) の番組に毎週出させてもらっている。
 過去の放送も YouTube で見られるので皆さん → こちらのチャンネルに登録 ← してね☆
放送は毎週火曜日の 20 時から (ただし 1 月は特番で放送ないらしいので、たぶん 2 月から再開)。

ちなみにこの番組への出演は完全にボランティア
タレントさんと一緒にテレビに出れる機会なんて、もしかすると二度とないかと思って...笑
思いの外、長続きしている。

あと本業以外では、副業的なことは今は全然やっていないけど、スタートアップに少額でエンジェル投資ってやつを年に 1-2 件ぐらいのペースでやっている。
数えてみたら今ちょっとでも株式を保有している会社は (ストックオプション除くと) 6 社あった。
来年は今予定してるだけで確定 1 社、可能性あるとこが 2 社。
(そのうちこれについてもう少し詳しい記事を書こうかな)

基本的にポジティブ人間なので、"出来たこと" はすぐ出てくるけど、"出来なかったこと" はあまり思い浮かばない。
(個人の成長という観点からはあまり褒められたことではないと思う)

唯一悔やまれるのは、今年はあまり地方のデベロッパさんのところに直接お邪魔することが出来なかったこと。
来年は自ら機会を作り出し®️、北海道・九州・沖縄・関西・東北などに最低 1 回ずつは行きたい。
(2 ヶ月に 1 回か...わりとけっこうな頻度だな...)

あと個人的には、中国 Cheetah Mobile や韓国 BitMango のような、スーパーなカジュゲーデベロッパが日本から出てきて欲しいと本気で思っているし、そのために出来ることを考えてやっていきたいと思っている。
ただこればっかりは自分だけでは何ともならないので、共感してくれるデベロッパさんと引き続き仲良く切磋琢磨していきたい!

というかんじで、今年も皆さんに助けられて、遊びも仕事もあまり境界なく好き勝手できた年でした。
来年も引き続き楽しい試みを色々やっていきたいので、どうぞよろしくお願いいたします!

Q

2016/08/13

和製Kingは俺だ!中野坂上の古豪Cross Field - アプリ開発者インタビュー

アプリ広告業界の中には知ってる方も多いかと思いますが、僕が昔から "隠れた実力派" だと思っているデベロッパーの Cross Field (クロスフィールド) さんにインタビューしてきました!

タイトルは僕が勝手に付けました (彼らが言ってたわけではないです) ww




ぼく:よろしくお願いします!Cross Field さんの最新作は、バードライフでしたっけ?

醍醐さん (以下「醍醐」):実は先日 (2016/6/3)「フォレストライフ ハッピーガーデン」という街づくり系のやつも出したんですよ。

 
 フォレストライフ -ハッピーガーデン【動物たちと箱庭ゲーム】

ぼく:それ僕まだ見てない。醍醐さん Facebook とかにあげてました?

醍醐:あげてないですね。(キリッ

ぼく:あげましょうw 気づかないっすよ。

醍醐:SNS にあげようかあげまいかいつも迷うんですが、まだ一回も自分であげたことないですね。(キリッ

3 マッチパズルを軸に進化


ぼく:「フォレストライフ ハッピーガーデン」は街づくり系。おなじみの 3 マッチパズルゲーム要素もあるんですか?

醍醐:ちょこっと入っています。パズルをしながら街づくりに関わらせていくような形になっているので。さすがに数年間使っていたパズルを手離すっていうのも、もったいない。

ぼく:今まで出されてきた、「キャットライフ」とか「ハムスターライフ」とか、僕の一番のお気に入りは「わんこライフなんですけど、基本ステージ制のパズルで、育成要素はオマケみたいな位置付けだったじゃないですか。「バードライフ」では、育成メインになってて少しビックリしました。

醍醐:基本的な形はほとんど一緒なんですけど、ちょっとキャラクターに寄りにしてます。見せる順番を変えて。

ぼく:最初のチュートリアルが育成から入って、「あれ、パズルじゃないの?」ってちょっと面食らいましたw 以前までの形だと、みんなパズルはやるけどあんまり「育成」してくれないなぁ、とか課題があったんですか?

醍醐:継続率が変わったんですよ。

ぼく:育成させた方が継続率が高かったんですか?

醍醐:そう、良かったので、シリーズのやつは全部育成 "押し" に変えたりとかして。

ぼく:あ、以前までに出されたやつも変わってるんですね。

醍醐:そうです。1 つ変えて良くなったものがあれば、他のタイトル横展開して。

ぼく:どれくらい継続率違うんですか?

醍醐:覚えてないですね。(キリッ

覚えてないですね!HAHA!

目指せハイブリッド!アプリ内課金によるマネタイズへの挑戦


醍醐:今回出した「バードライフ」では、途中で「24 時間限定パック」みたいな課金アイテムを出すというのも。やったことなかったんで、どれと思ってやったら、結構良くて。

ぼく:結構課金されてます?

醍醐:買っていただいた方がそのまま継続的に課金してくださるっていう、他では見られなかったデータが出てきたんです。

ぼく:じゃあ課金率も良くなりました。

醍醐:少しだけですけどね。そういった形でうまく課金率上げていくってのはやっていきたいなと。

ぼく:良い気がするなぁ。こういったカジュアルなパズルゲームって、LTV (Life Time Value = ユーザーあたりの生涯売上) 相当良いタイトルでも 300〜400 円ぐらいで、ソシャゲとかと比べると低い。ガチャとかあるわけでもないし、課金ガンガンされる系じゃない。その中でどこまで上げていけるかみたいなのは面白いチャレンジですね。

醍醐:でも某王様さんとかは、LTV がそれなりでも、数の暴力やばい。

ぼく:桁がおかしいですから。全部のゲーム合わせると MAU とかで 1 億超えてるんじゃないですか。ちょっと意味わからないw

醍醐:嘘の数字みたいですもんね。(遠目

ぼく:って疑うレベルですよね。中国の数の暴力もすごいらしくて、ちょうど先日 GAGEX さんのインタビュー記事も出したんですけど。

参照: 【前編】開発者インタビュー!大ヒット「昭和駄菓子屋物語2」GAGEX & 2D Fantasista 

醍醐:中国かぁ...うちは Android メインなので、パクられやすいですよね。(確信

目指すところは「広告で上手く儲けてる会社」ではなく


ぼく:醍醐さんとこのタイトル、結構海外ユーザー多いですよね?

醍醐:海外もいます。ちょうど先週の日曜日も、外国からのインストールが増えてたんですよ。特になんかやったわけでもなくて、ホントになぜか知りたいくらいなんですけど、たまに上がります。

ぼく:口コミでちょっと広がったりとか、メディアに紹介されたりとかしてるんですかね。

醍醐:どなたに、何をしていただいてるのか分からないですけど(笑)。ハムスターライフなんかも、累計ダウンロード数は国内・海外で半々くらいだったと思います。

ぼく:ホント Cross Field さんって、隠れたイケてるデベロッパーですよね。あんまり出てこないですよね、表舞台に。

醍醐:代表が喜びます(笑)。

ぼく:柿迫さんってホントは出たい方なんですか?

醍醐:どうなんでしょう。基本的にうちの方向性として、広告収益よりも課金収益でやっていきたいので、広告とかの文脈で「上手くやってる会社だねー」って言われても、たぶんそんなに響かないというか。僕なんかは人に褒められたら、嬉しいですけど。(照

ぼく:会社としては、きちんと売上立ってると見られていきたい。

醍醐:そうですね。ちゃんとした商品なんだよ、みたいな感じが理想じゃないですかね。

ぼく:なるほど。じゃあ、普段ぼくなんかが勝手に「和製 King だ!」ってネタにしてるのもあまり嬉しくないのかな。(困惑

醍醐:わかんないです。それは、おいおい確認していけば(笑)。「やられちゃいました」って言えば、許されそうな気もしますけど。

ぼく:坂本が勝手にこんな記事タイトルにしやがった、って言っといてください。

醍醐:どんなタイトルになるのかな(笑)。

「折角なんでデカイこと言っちゃいましょうよ!」

ゲーム性の似た複数タイトルの展開


ぼく:これで「ライフ」シリーズ何作目ですか?

醍醐:6 作ですね。

ぼく:ユーザーって結構、「ライフ」シリーズ全部やってるよって方が多いんですか?

醍醐:いますね。全作やってますとか、このアプリから来ましたとか。

ぼく:パズル部分はほぼ一緒っすよね?

醍醐:演出若干変えたりとか、ステージの配置だったりとか、中身変えたりするんですよ。

ぼく:さすがに全部丸コピーではないんだ。

醍醐:システムは基本的な部分は一緒ですけどね。ギミックに関しても、最初の方に入れていたものを外したり、逆にこっちはこのギミックを入れてみよう、ってのはあります。それに皆さん気づくかどうかっていうと、ちょっと分からないですね。ステージ数多いので…

ぼく:めっちゃ多いですよね。

醍醐:全部検証する方がもしいれば、何かしらのご意見いただきたい。

ぼく:そんな方がもしいたら、雇ったほうが良いと思います。好きすぎるでしょその人w

醍醐:King さんもしかり他のゲーム会社さんもしかり、相当ステージありますしね。どれだけ作っている人の負担があるのか知らないですけど。

ぼく:全部ちゃんとクリア出来ないといけないですしね、適切なトライアル回数で。バランス調整も難しい。でも同じステージが 2, 3 個くらいあっても気付かなそうな感じしますよね。

醍醐:僕は気づかないと思います(笑)。

一発屋にならないために


ぼく:話だいぶ戻りますが、今回から課金もガッツリ改善し始めてる感じですか?

醍醐:今までも改善はしてたんですが、改善の仕方が。バードライフに関しては、単純に新しい課金メニューを出して時間制限の形で売ったりとか。海外のパズルゲームのセオリーみたいなものをちゃんと参考にさせてもらって、ユーザーさんの反応見ながら、どういうのが売れるのか、どんなの欲しがっているのか、て言うのをちゃんと確認しながらやりたいなぁって思います。

ぼく:今で、1 ダウンロードあたりの収益はどんくらいですか?

醍醐:それでいうと、うちはものすごい低いですね。数円のものもありますし、数十円、100 円届いてないよってのとかもあります。

ぼく:やっぱそういうのは広告売上がメイン?

醍醐:タイトルにもよりますけど、まぁそうですね。課金も含め全部いれて、そんな感じなんで。がっつりプロモーション打てるようなタイトルは、まだ出来てないですね。やりたいですけどね。

ぼく:今回は、課金がちょっと良さそうって感覚?

醍醐:気持ち、良い感じはする、ってぐらいですね。その分、例えば海外は広告を日本ほど掲載してないとか、調整してるんで。

ぼく:海外はバナーとか人気ないですもんね。

醍醐:自分にムチ打ちながら(笑)。バナーも出したいには出したいんですけど、短期的な売上出してもしょうがないって会社の方針なんで。苦しい状況でも、常に次に繋がる学びがあったほうがまだ良いかなと。

ぼく:面白い。

醍醐:たまに僕は個人的には、もうちょっと売上あげてもいいじゃんって思いますけど(笑)。

ぼく:でも長い目で見て、ちゃんとコンスタントに打てるバッターになるために。

醍醐:そうですね。この作品でバカ当たりしようとかってよりは、ちゃんと積み重ねを継続してやらなと。そうじゃないと、なんか出しては潰し、出しては潰しみたいな、体力勝負になるんで、あまりそれはやりたくない。

ぼく:なるほどね。それは、過去に出しては潰しをやり続けてきた反省もあってのことですか。(皮肉

醍醐:いろんな経験を踏まえて(笑)

ぼく:結構出してきていますもんね。

醍醐:そうでしたね。過去のやつはアカウント的には大変な数になっちゃってるかもしれないですね。ずっとは続けられない(笑)

カジュアルゲームデベロッパの事業構造


ぼく:僕、今日すごい個人的に興味あって、聞きたかったのがそこのところで。大手のカジュアルゲームデベロッパさんって、基本的にはユーザーに短期間で飽きられる前提のアプリをひたすら出して、開発費・プロモ費以上の売上を短期間で回収して、それをひたすら続けていく、ってモデルじゃないですか。Cross Field さんって、一個一個のアプリを短期間で売り上げてる感じに見えないんですよ。

醍醐:売上は、欲しいんですけどね(笑)。

ぼく:アップトーキョーやってる感じでもないですし、そもそも Android だから、そんなにブーストもきかないですしね。

醍醐:そうですね。

ぼく:その事業構造どうなっているのかって、いまいち分からなくて。過去から出していたアプリの継続的な売上の積み重ねで、P/L で見たら黒になってますみたいな世界なのか。実はゲーム事業単体はトントンか赤だけど、受託で売上上げてて、そっちで食ってますみたいな会社もありますし。Cross Field さんってどんな感じなんですか?

醍醐:そもそも自社タイトルしか開発していないですね。エンジニアも自前ですし、外注としてコストになるのは、一部のデザインぐらい。

ぼく:でも結構社員さんはいますよね。

醍醐:そうですね。10 数名プラス、アルバイトやインターン数名、ってぐらいです。

ぼく:だったら普通に固定費だって、月1,000万、2,000 万とかかかってくるわけじゃないですか。

醍醐:どうにかトントンのレベルで。

ぼく:それがすごいですよね。僕とか SSP みたいなアプリ業界の人は分かると思うんですけど、一般のユーザーは Cross Field さんっていう会社名も、代表的なタイトルも、そんなには知らないですよね。CM やってるような大手ゲームとかと比べると。

醍醐:まぁ知らないでしょうね。

ぼく:一般に広く認知されるレベルのヒットをバカスカ出してるわけでもないけど、ちゃんと過去に出してるアプリを、ユーザーが継続して遊んでて、そっからの売上が上がり続けてるから事業継続できてる、って感じなんですかね。

醍醐:そうですね。ほぼそれだけだと思います。新着でめちゃくちゃ上にいったりとか、なんかネタ的に盛り上がったりっていうのは、正直まったくないに等しいですね。唯一「ハムスターライフ」は数年前に出した時に、可愛いということでワァっとランキング上がったりしましたが。今言ってもどうしようもない(笑)。

ぼく:ダウンロード数とかって、だいたい 1 作あたりどんなもんなんですか?

醍醐:少ないものは、ホント数千で止まっちゃう。継続的に、恐らく検索から入ってきてる人とかがいるものに関してはわりと積み上がってて、ハムスターはこないだ累計で 700 万ダウンロード超えました。

ぼく:700 万。すげぇ。すげぇなマジで。

醍醐:長生きしてると思いますよ。2012 年 7 月リリースなので、まる 4 年たちました。

ぼく:いまだに、1日数十とか百とかインストールがあるってことですか。

醍醐:もうちょっとあります。

ぼく:もっとある?数千くらい?マジっすか?!

醍醐:地味なんです。でも海外とかでもデザイン好まれているみたいなので、検索から来る方もいますし。SNS でのシェアも、そんなに促進してるわけでもないですし。おまけ程度に(笑)。

ぼく:そっかぁ、そんなにダウンロードされてるんですね。「ライフ」シリーズ6作合わせると、もう何千万ダウンロードみたいな。

醍醐:まぁ、そんな感じですね。一瞬でいくこともないですし、特にイベントうってるわけでもないので。

ぼく:じわじわと。

醍醐:ずーーーーっと。でもちゃんと積み重ねになってるのと、ユーザーは 1 つ遊んだら他のライフシリーズに行って、ファンとしていろんなアプリを遊んでくれているので。弊社アプリのなかでの循環みたいなのは、良くできているんじゃないかなぁとか。

ぼく:おもしろい。仮に LTV が 10 円だったとしても、1 日 2,000 ダウンロードされれば、1日 20,000 円の売上が上がり続けてるってことですもんね。1 タイトルだけで。

醍醐:逆を言えば、それくらいの人がいると離脱もやっぱそこそこあるんで、そこの改善を大至急やらないと、すごくもったいない。

ぼく:意外とバケツにどんどん水が入ってきてるから、塞いでおこうと。

Mission: バケツの穴を塞げ!


醍醐:今御社で、うちの中で一番収益出てるのが「ビンゴ」っていうタイトルなんですよ。 eCPM $20 超えてきてて。


ぼく:あれ最初の方は eCPM そんなに高くなかったけど、だんだん良くなってきましたね。

醍醐:そうなんですよ。あれもリリースしたの凄い昔で。

ぼく:いつ頃でしたっけ?

醍醐:3 年前ですね。このゲームも、来たユーザーがまるまる抜けていってる状態でした。実はたくさんユーザーが来ていたんですけど、収益的にも社内で目立ってなかったんで、気づかなかったんですよ。

ぼく:MOTTAINAI.

醍醐:ある時気づきまして、これ結構イケるんじゃねってことになって、改善して今の形になったら、着実にこう伸びて、収益結構上げてくれるタイトルになりました。

ぼく:何を一番変えたんですか?

醍醐:何を変えたかかぁ。ほぼ全てです(笑)。ビンゴはビンゴです。ステージ制にして、お得意のパズルにもっていったという。

ぼく:それまで、そうじゃなかったんですね。僕、今の「ビンゴ」しかやったことなくて。

醍醐:ちょっと前のはお恥ずかしい感じの、連打ゲームですね(笑)。そりゃ離脱する。ほとんどアメリカのユーザーばかりだったんですが、怒られまして、「何これ」って…。僕らも「そうだよね」って…。

ぼく:そんなレベルだったんですねw

醍醐:だいたいビンゴって、海外だとカジノゲームのイメージじゃないですか。連打ゲームなんですよ。怒られますよね(笑)。

ぼく:ゲーム性が思っていたのと全然違うみたいな。

醍醐:今の形にしてから継続率もいいですし、収益もかなり改善されたんで。

ぼく:それでもユーザーが、入ってきてたってことは、やっぱビンゴとかいうキーワードで検索流入で入ってきてたとかですか。

醍醐:たぶんそうですね。検索して結構上の方にいったような気がします。特にプロモーションをしてたわけでもないので、勝手に入ってきたー、抜けてたー、フタしよー、みたいな。ちゃんとゲームにしよう、ってレベルから。

ぼく:目線低いw そういう機会に誰が気づくんですか?

醍醐:だいたい代表が気づいて、アクションしてけって指示出してくるんですよね。すっげぇなぁって(笑)。よく気付くなぁって。

ぼく:今って、エンジニアリングとか開発に関わってないビジネス側は、相変わらず少人数で。

醍醐:代表と、もう一人取締役と、私の 3 人です。最近出た「フォレストライフ ハッピーガーデン」は取締役が企画して。

ぼく:タイトルごとなんですね。醍醐さん今は?

醍醐:僕は今「バードライフ」です。あと、今は「ビンゴ」のように過去のやつをきちんと改修して、ユーザーが入って来てるやつの穴にしっかりフタをして、ちょっと上げてきたいのがいくつかあるんで、それを今いじくってるところです。すいません、地味ですね(笑)。申し訳ないです。

海外展開は「やって当たり前」


ぼく:でも過去のタイトルを改修できるっていうのは、改修したリターンがある程度は見込めるからってことですよね。

醍醐:そうですね。日本のユーザーだけに向けてやっていたら、できなかったですね。

ぼく:ですよね。たぶん売上もそんなに継続的に上がらないから、アップデートのために開発費かけられないよねって話になりそう。

醍醐:それだったら、ホント短期間で数出してっていう形になってかもしれないですね。うちは最初から海外にバーッと出してましたね。

ぼく:それって当時としては結構普通でした?3〜4 年前とかですよね。

醍醐:ヒットしたらラッキーっていうそういうレベルですけどね。なぜか海外でものすごくダウンロードされちゃった、っていう現象は数年前からちょこちょこあったので。出さない理由も特にないですし。ただ、皆さんみたいにめちゃくちゃこう、翻訳を頑張ろうねとか、カルチャライズやろうねとか、そこまではちょっと出来てないです。正直、ホントに翻訳レベルですね。

ぼく:長いセリフが出てくるようなゲームじゃないですもんね。基本的な機能の説明だけだから、ただの翻訳だけで十分だよねみたいな。

醍醐:あとはパズルゲームの場合は、たくさん出てるじゃないですか、全世界で。共通語のような感じになってるんで。

ぼく:それこそ、King さんのパクr(ry みたいなゲーム性ですもんね。いわゆる 3 マッチのテンプレートというか。

醍醐:ユーザーさんはどう認識されてるか分からないですけど、慣れてるユーザーは直感的にゲーム出来ると思いますね。

ぼく:先陣が、共通言語みたいなのを作ってくれてるから。

醍醐:特にこちらから喋らずとも、ユーザーさんがやってくれてると思っていたい。3 つ並べたら...揃う…消える...あっコレね、って。狙ってるつもりはないけど、結果としてそうなってますよね。

ぼく:なるほどー。まぁでもパズルゲームに限らず、街づくり系とか、ソシャゲとかも、ゲームプレイ以外の仕組みのところは、こういう感じだよねみたいなテンプレはありますよね。

醍醐:うちはキャラクターの世界観を重視して、可愛い世界観にしてるってところが特徴としてはありますね。街づくりのゲームだと、「ゲームシステム」と「可愛いデザイン」に、「パズル」も一緒に入れて継続率上げて。今まで別の街づくりゲームをやっていた方に、別の形でまた遊んでもらいたいっていう、ひとつの "新商品のご提案" ですね(笑)。

複数タイトル遊んで欲しい!クロスプロモの話


ぼく:御社のゲームだと、複数タイトルを次々にやっているユーザーもいると思うんですが、クロスプロモーションとかって、どうやってるんですか?

醍醐:自社広告を出してるぐらいです。外部のツールは使ってないですね。起動時に他のアプリの紹介を出せるようになってるんで、設定して。

ぼく:ポップアップで出てきますよね。

醍醐:例えば、「バードライフ」をリリースしたから、他のタイトルから「バードライフ」に送客しよう、って。

ぼく:出てる出てる確かに。それ見たことある。

醍醐:極力、世界観にハマっていただければ、これ幸いという感じで。

ぼく:自分とこのサーバーで運用なんですか?どのアプリからどのアプリに何人いったかとかも分かるようになってるんですか?

醍醐:そうです。その辺も結構前から、気にしてやっていた部分なので、けっこう便利になってきてます。今更変えるのも手間だし。でも皆さんやられてますよね?自社広みたいのって。

ぼく:どうかなぁ。全部のところがしっかりやれてるわけでは、決してないと思います。Goodia さんとかはセミナーで、自社広告が効果良いとか言ってましたけど。

醍醐:あの数のアプリ群から、ご集約されたら大変なことになりそうですよね。うらやましい。

ぼく:でも、Goodia さんみたいな戦い方は、金額の桁みてるともう個人で出来ないなって戦いになってきてますよね。あのペースでアプリ出し続けるだけでも厳しいのに、プロモーションひとつとっても、何十万円って金額も個人ではなかなか出せないですもん。

醍醐:マネタイズ方法として、広告だけをやってるアプリは、実際減ってきてる感じありますか?

ぼく:まだ、恐る恐る課金を試してるかんじだと思いますね。

醍醐:まだまだこれからってところですね。是非うまくいった事例とか聞きたいんですよ、他社さんの。課金と広告をちゃんと両方ともやってる方で。

ぼく:これから課金をがっつりトライする、っておっしゃってるところはいくつかありますねぇ。GOODROID さんとか。

(参照: ロングインタビュー!「坂本ですが?」開発GOODROIDのアプリ企画・開発・経営の裏話 )

醍醐:「中年騎士ヤスヒロ」とかめっちゃうらやましかったですけど。こんなに LTV 出るんですかって。

ぼく:そうですね、期待していた以上によかったです。韓国の LTV と比較しても、日本は相当良かったですよ。

(参照: カジュゲとソシャゲの間を狙え! 坂本達夫氏が語る「アプリ内課金が小規模開発者にもたらす可能性」)

醍醐:こんな出たらプロモーションうつのも楽しいじゃないですか。

ぼく:次のタイトル準備中ではあるんですけど、半年以上、ヤスヒロの一本足だけでずっと食ってますからね。固定費少ないってのもありますけど。

醍醐:ああいうのを色々見ていって、勉強したいですね。

ぼく:まだこれからじゃないですかね。ホントにうまくいくのが出てくるのは。

醍醐:うちも目立てるように頑張ります(笑)。

打席に立ち続けること


ぼく:クロスフィールドさんは実はすげぇぞって思ってますけどね。安定して 10 数人食っていける収益上げてるっていうのは、普通にすごいと思いますけどね。

醍醐:どうなんでしょうね。皆さん大きい収益を上げて目立ったりとかして、フタ開けたら数人ですってところも、すごく多いじゃないですか。

ぼく:そういうところもありますね。

醍醐:数人で作って、1 年に 1 本とか 2 本とかしか出さない方とかいますけど、それもすごいなと思って。ウチとかは人数がいるからある程度、担保されてるような気もしますし。

ぼく:御社の場合、うまくいったやり方を横展開出来てるってのは、組織でたくさん打席に立ってる強みではあるのかなって気はしますけどね。

醍醐:また違うタイトルで、別の種類のユーザーさんにサービス提供するってのを、今後やってみたいなぁとは思うんですけどね。なかなか簡単に当たる訳ではないので、そこ苦戦中ですね。

ぼく:ほげほげライフ系以外も結構チャレンジはされてると?

醍醐:してるんです。けど、そういうことですよね(笑)。ちょっとうまく出来てないですね。プロモーションかけないと、やっぱりユーザー来ないよねっていう状態で、かと言ってプロモーションしたらまるまる流血になってしまう可能性もあるので、簡単には進められないですね。

ぼく:それまでは試して、試してって感じですかね。

醍醐:ネタで一発みたいなことは、きっとやることはないでしょう(笑)。

ぼく:そういうキャラクターの会社ではまずないですね。

醍醐:結構まじめな方なんじゃないかな。

ぼく:ホントそう思います。かたいですよね。

醍醐:「仕事だ」っていって仕事しています(笑)。

ぼく:もともと広告の会社なんでしたっけ。

醍醐:そうでうすね。代表と取締役がもともと広告やっていてっていう経緯なんで。

ぼく:ゲームはもともと完全新規事業として始めた。

醍醐:そうですね。いつの間にかゲームがメインになってました。ゲームやってる会社に僕も途中から入ったみたいな感じですね。

ぼく:醍醐さんも別にゲーム畑ってわけではないですもんね。

醍醐:代表と取締役と同じ会社だったんです。その二人の後輩で。普通に営業マンだったんで。

新商品のご提案です

ぼく:入ったときは広告の人として入ったんですか?

醍醐:そん時はすでにゲーム一本の会社で、別のビジネスモデルをちょっと作ってみようよっていうタイミングだったんですよ。それがちょっとうまくいかなかったので。

ぼく:結果ゲームになってる?

醍醐:吸収された(笑)。私をどうにか使ってくださいと(笑)。

ぼく:でも思想は共通してるんでしょうね。広告ってカタいビジネスじゃないですか。原価が決まっていて、それより高い売りをだせば、こんだけ利益になって、後はその回転率で計算する形。ゲーム事業のアプローチも思想はそれに近い。

醍醐:根本はそこですよね、きっと。事業続けられない状況じゃないので、安定したものがちゃんと固まってきたら、もっと冒険していくっていうのが理想ではあります。

ぼく:面白いなぁ。深堀って話聞くと、会社を作った方とか中の人のバックグランドや思想って、結構ゲーム作りに出ますよね。

醍醐:方向性にも出そうな気がしますね。例えば一発ネタ系とかって、うちの場合はもう怖くて出来ないですね。仮に当たっても、飽きられたら終わりじゃんって。

ぼく:なんにも積み重ね・資産にならないじゃん、みたいな。

醍醐:何か残していかないと怖いじゃん、ってとこあるんで。

ぼく:クロスフィールドさんは渋いっすよね。モバイルゲームで一発当てるぞみたいなところの中では、わりと渋い、なんか職人的な。

醍醐:ちゃんと夢は持ちつつも、ちょっとクールぶってなんかカッコつけていたいんです。そんなことはないか(笑)。ここカットでお願いします。

動画広告をどう実装しているか


ぼく:あと、AppLovin のこと褒めて下さい。

醍醐:AppLovin はホントに、海外メインの Bingo で抜群にいいですね。

ぼく:海外、特にアメリカとか北米英語圏はソーシャルカジノっていうカテゴリーがデカいじゃないですか。広告主としても媒体としても、AppLovin って元々ソーシャルカジノカテゴリで圧倒的に強いんですよ。たぶん Bingo とかもソーシャルカジノ系の案件とか結構でて、相性よくて。

醍醐:ハマったかんじなんですかね。 

ぼく:っていうところもあるのかなって気がします。今はソーシャルカジノに限らず、全カテゴリ強いですけどね。

醍醐:日本だと広告主さんはソシャゲが多いですよね。

ぼく:海外みたいに、カジュアルゲームも動画広告作ってプロモーションする、って事例が少ないですからね。

醍醐:女性向けの恋愛ゲーム広告主とかは、うちの媒体と合ってるよって聞きます。

ぼく:それは確かにあるかも。最近、そのカテゴリの広告主増えてますね。

醍醐:女性が多いからでしょうね。単純に。クライアントさんにちゃんと効果返さないと、収益性上がらないですもんね。

ぼく:今作ってるタイトルは、AdMob のメディエーション使ってらっしゃる感じですか?

醍醐:基本的には。動画リワードの方も AdMob メディエーションで入れだしました。

ぼく:SSP とか一時期使ってましたよね。

醍醐:使ってみないと、いいとこ悪いとこ分かんないので、どういうものかなって使ってみたかったという。AdStir、アドフリくん、アドジェネ全部使ったことあります。

ぼく:おー全部経験者。

醍醐:全部ちょびっと使いましたが、今はほぼ AdMob で構成されてますね。

ぼく:SSP より、各ネットワークとの直取引のほうがいいなぁって感じですか?

醍醐:AdMob で特に不満はないという状態なので。使い慣れちゃったんでね。

ぼく:ぼくが AdMob チームにいた頃から、ずっとですもんね。

醍醐:でもあんまり皆さん使ってないみたいですね。

ぼく:意外と使ってないですよね。普通に便利だと思うんですけどね。

醍醐:SSP さんの方がやっぱ人気ありそうですよね。

ぼく:今は SSP の方が人気ありそうな感じですね。AdMob メディエーション使ってるところは時々見るってぐらいですね。SSP は去年の夏からやってる中で、AdMob は確か動画リワードのメディエーションが公式に出たのが 4 月くらいとかで、まだ試しに入れてみてるみたいな感じじゃないですか。

醍醐:これからですかね。

意外と知られてない「動画インタースティシャル」の良さ


醍醐:AppLovin 自体のメディアさんの増え方って今どうなんですか?

ぼく:順調ですね。特に動画リワードが日本だと去年くらいからフィーバーして。アイコン広告が死んで、なんか他にねぇか、動画リワードあったわ、みたいな。けど、実はうちって日本だと半分動画リワードなんですけど、もう半分はインタースティシャルとネイティブで売上立ってるんですよ。動画と静止画どっちも。

醍醐:動画リワード以外でそんなにあるんですね。

ぼく:日本のメディアでもちょいちょい使ってるとこ出てきてます。動画リワードでの AppLovin の知名度と高評価に比べると、インタースティシャルとネイティブは、日本のメディアさんまだ、そもそもやってること自体知らないとか、使ってない方も多いです。

醍醐:やってないですね、うちも。

ぼく:けっこう有能なんですよ。レクタングル出してるだけみたいな、国内のインタースティシャルよりは余裕で収益性高いです。

醍醐:入れてみますか。

ぼく:入れてみましょう。動画のインタースティシャルが収益性良いですよ。

醍醐:動画のインタースティシャルですか。

ぼく:インタースティシャルなんですけど、動画で出てきて、5 秒後から消せる、正確にいうと「スキップできない」「スキップできる」のオプションがあります。スキップできないほうが収益性は高いです。スキップできるやつでも、静止画とかレクタングルよりは段違いに儲かりますよ。

醍醐:クライアントさんは、海外の広告主が多いんですかね。

ぼく:動画リワードで出てるクライアントは全部インタースティシャルにも出してます。なので国内広告主もいっぱい出ます。広告主は、別に「動画リワードに出してる」「インタースティシャルに出してる」っていうふうに分けてなくて。同じ動画ですし、パフォーマンスで判断してるんで。

醍醐:じゃぁ国も関係なく。

ぼく:動画リワードで出てるのと同じクライアントが出てきますね。クライアントも普通に多いし、収益性高い。

醍醐:だとすると今収益性が動画リワードで良い、例えばビンゴとかにインターステシャル入れちゃえば。

ぼく:結構儲かると思いますよ。AdMob のメディエーションの中にも入れられますし。

(参照: AppLovinのインタースティシャル広告の実装手順 )

ぼく:あと、静止画のインタースティシャル、表示されたら速攻クリックできちゃうじゃないですか。だから割とミスクリックしやすいんですよ、出すタイミングに よっては。

醍醐:あー、なるほど。

ぼく:動画は最後まで見てそこで初めてクリック出来るようになるので、誤クリック少なく、ユーザー的にもやさしいと言っているデベロッパーもいます。

醍醐:あー、なるほど。 

ぼく:日本だと割と、「動画?インタースティシャルで?えっ...」って拒否反応示すデベロッパーさんもいますけど、割とユーザビリティも悪くないので。

醍醐:ビンゴでやってみたいです。動画リワードで効果がよければインタースティシャルでもいいよねって感じですよね?どっちかだけ良いとかそういうことあるんですか?

ぼく:あんまないですね。違いが出るとしたら、表示させるタイミングや頻度とか、どっちかというと、広告側というよりアプリ側の理由になりますね。

醍醐:帰ったら、開発スケジュールの確認します(笑)。

ぼく:うぇい!

他のアプリデベロッパーさんについて


醍醐:その中で、いきなりですが、今注目のアプリ・デベロッパーさんは!?

ぼく:一番注目ねぇ。こないだ、(Select Button) 中畑さんのときには、AppleTV デベロッパー伊与田さんって答えちゃったんですけど。

(参照: ロングインタビュー!マンボウは大ヒットだったけど「ハントクック」はぶっちゃけどうなの?SELECT BUTTONに聞いてきた )

Dungeon Tiles (iOS / tvOS)

ぼく:そういえば「ソーセージレジェンド」の Milk さんとこないだお会いしたのもテンション上がりましたw

醍醐:おーあのゲームですね。

ぼく:AppLovin にアカウントが新規登録されると、システムから通知メールが届くんですが、日本のデベロッパーさんのときは「ありがとうございます、なんか分かんないことあったら日本語で聞いてね」っていうメールを毎回書いてるんですよ。

醍醐:おぉ豆ですねぇ。

ぼく:普通そういうのって、自動で届くじゃないですか。なので件名にわざわざ [手動メール] って書いてw

醍醐:うわぁあざとい(笑)。

ぼく:実際に手動でメールしてるのでw それに返事がきて「あっそういえば AppLovin 実装しました。ソーセージのやつなんですけど」って。「おーーーっあそこだーーっ!!」みたいなww

ソーセージレジェンド (iOS | Android)

醍醐:ソーセージのやつ、でわかりますね(笑)。

ぼく:メールいただくまで、お恥ずかしながら気づいてなかったんですよ。最初メールしたときはまだ「ソーセージレジェンド」もリリースされてなかったし。で見たら、ホントだ収益上がってる、みたいな。

醍醐:どんな方が何を思ってアレを作ったのか。

ぼく:ホントに。また出来が良いから憎いんですよね。つくりが雑じゃない。アイディアは雑?なんですけどね。

醍醐:キレッキレすぎますよね。

ぼく:「ソーセージ戦わせたら面白いじゃないか」って、完全に居酒屋の 23 時 40 分のネタを、あそこまで高めましたよね。

醍醐:たぶんそこにあったんでしょうね。ソーセージが。

ぼく:あったんですかね。絶対アルトバイエルンの方が強いよ、みたいな話から発展したのか。

醍醐:ドイツビールのお店にでもいったんですかね。

ぼく:いったのかもしれないですね。グルグル巻いたやつとか。こんなソーセージって種類あるんだぁって。よくそっからこのアプリを作ったっすよホントに。

醍醐:すごいですよね。何がすごいって分かんないですけど、もう全部すごかったです。

ぼく:全部すごいですね。インパクトがありすぎる。あと「Fits」ていうパズルゲームってのがあるんですけど、MagicAnt っていう会社さんが作ってるやつ。

Fits (iOS | Android)

醍醐:たぶんやったなぁ前。

ぼく:もともとうちの動画リワードを入れてくれてて、インタースティシャルもやりましょうよみたいな話をメッセ上でしてて、最近ようやくやりますかみたいな話になって。で、住所調べたら、ここから徒歩 1-2 分の超近所でw えーっ!!てなって、うちの目の前のフレッシュネスバーガー待ち合わせで、来週お茶しよう、ってなりました。

醍醐:そんな近所だったんですね。

ぼく:ビックリしました。

醍醐:この辺多いんですかね。

ぼく:フレッシュネスバーガーそのうち、行くと誰か絶対アプリの話してるよな、みたいな聖地になるかも。

醍醐:たまり場(笑)。

ぼく:クロスフィールドさんも是非。

醍醐:まだ引っ越したくないな(笑)。

通勤が長いのとかホント嫌だよねって雑談


ぼく:中野坂上から離れないですもんね。

醍醐:個人的に家から近いんで離れたくないだけの話です。

ぼく:家から近いて大事っすよね。

醍醐:そうなんですよね。電車乗って出社しろって言われたら、しないわけにはいかないんで、もちろんしますけど、歩いていきたいな(笑)。

ぼく:今徒歩ですか?

醍醐:徒歩です。

ぼく:それ健全だと思うんですよ。

醍醐:近すぎてギリギリだったりするんですよ。社員もその周辺に住んでるんで、気抜くと(笑)。休みの日は危ない。

ぼく:でもホントに満員電車に揺られながら、1 時間半とか 2 時間かけて通ってますって人とか、すごいなって思いまよね。

醍醐:そうですね。満員電車がなければまだ何かするかもしれないですけど。

ぼく:大学時代、田園都市線で通学してたんですよ。ホント身動きできない状態で。鷺沼から渋谷まで乗車率 200%、カバン手離しても床まで落ちませんみたいな世界で。それで往復 3 時間強、月 50 時間とか超えるじゃないですか。5 万くらい高く出して近くに住んでも、1 時間1,000 円、全然いいはずだよなぁって。

醍醐:えげつないっすね。

ぼく:必然的に大学からも足が遠のき、ゼミをクビになりww

醍醐:ゼミをクビって初めて聞きましたよ。

ぼく:だから、近くに住みたいとか、ストレスを極力少なくしようってほうが、まともなんだと思います。

醍醐:仕事の時間をちゃんと確保して、それ以外であんまり疲れたくないですよね。

ぼく:仕事の他では無駄に疲れたくないですよね。皆よく我慢できるよな満員電車、って思っちゃいますね。

醍醐:僕も昔は埼玉から片道 1 時間半、往復 3 時間かけて通勤してて。片道 30 分のところにすれば 2 時間寝れるなって思って、引っ越そうって。

ぼく:眠いですよね普通に。2 時間睡眠時間違うとだいぶ違いますよね。

醍醐:だいぶ変わりますね。2 時間余計に遊んだだけなんですけどその後は。結局寝てない。意味ないですね(笑)。

ぼく:でもそれが生活のクオリティですよ。

醍醐:残念です。

最後に、プログラマー募集してます!


ぼく:人は募集中なんですか?

醍醐:プログラマーさんとかは、いい人いれば常に。

ぼく:会社的にはどうなんですか?人をドカッと増やしていきたいとか、いい人がいればちょっとずつ増えればいいのか。

醍醐:優秀な方がいれば、それだけ新しいことにトライするチャンス増えますし。むしろ優秀な方がいたときにパッと「来て」って言えるような状態にしたいので、門戸は常に開いてます。良い人いても、すぐ採用できなかったら、どっか行かれるじゃないですか。

ぼく:タイミング大事ですもんね。今ちょっと募集してなくて...ってなって他の会社に就職しちゃったら、その人が次が転職活動するのは、また何年後とかですもんね。

醍醐:そうでしょうね。そういうのもあって。「特に今募集してません」とかってのは年中通してあんまないですね。その分、売上を上げないといけないので、頑張りまーす。



以上、終わり!

Q

2016/05/16

ロングインタビュー!「坂本ですが?」開発GOODROIDのアプリ企画・開発・経営の裏話

AppLovin でトップクラスに稼いでいるゲームデベロッパー GOODROID から、なんとぼくの名前を冠したゲームがリリース!


ということで、ゲームの企画・開発や経営について、創業メンバーのお二人である松田社長・田辺プロデューサーに、たっぷりお話を伺ってきたよ!

めっちゃ長い!!



まずは PR


坂本:いつも AppLovin を使っていただきありがとうございます!

松田・田辺:あざす!!

坂本:SSP 経由で使われているケースがほぼ全てだと思いますが、どのアドネットワークが良いとかって話は SSP から聞かれてるんですか?

松田:聞いてますよ〜。収益性については AppLovin が一番いいです!

坂本:それだけ聞ければ満足です!!

コラボ企画の作られ方


坂本:あらためて「坂本ですが?」、リリースおめでとうございます。

松田・田辺:ありがとうございます!

坂本:ぼくのアプリが出るってことで(笑)、楽しみにしてました。

坂本ですが? - 秘技 フリータイムキラー

坂本:今回は漫画・アニメが題材で、他にも YouTuber コラボとかもよくやってますよね。あれって基本 GOODROID さんのほうからコラボしましょうよって提案しに行ってるんですか?

松田:全部僕らから行ってますね。今回「もやしびと」とはじめしゃちょーでコラボするんですけど、それとかも元々はじめしゃちょーが「もやし」ってニックネームで呼ばれてるってところから思いついて。

(一同笑い)

松田:ベストマッチングじゃないですか。

坂本:たしかに!

「もやししゃちょー」事前予約中
5 月末リリース予定

田辺:で、ウチはもやし業界 No.1 ゲームを持ってますって(笑)

松田:先方も「おお、面白いねw」みたいな(笑)

坂本:もやしゲーム業界はもう圧倒的ですよね(笑)。海外にも出てるぐらいですからね。

もやしびと -完全無料!放置型もやし育成ゲーム-

坂本:過去に出されたゲームですが、今回は新しいタイトルとして出すんですか?ゲームの中身とかは変えられるんですか?

松田:ゲーム性はほぼ一緒なんですけど、追加で動画広告の出し方が変わったり、課金要素が結構入ったりするんですね。

坂本:今風にアレンジされるわけですね。

田辺:ストーリーとかも入ってますね。

坂本:もやしびとにストーリーが(笑)。良くも悪くも楽しみです。

田辺:結構いい出来になってますね。

松田:先週末にはじめしゃちょーの動画で告知してもらったんですけど、もう 200 万再生くらいされてるんですよ。

坂本:えー!

松田:「予約トップ10」も一瞬で 1 位になってました。

坂本:まじっすか。いやトップ YouTuber は すごいですね。


坂本:コラボ案件は、基本レベニューシェアですか?

松田:基本レベニューシェアでやることが多いですね。

坂本:YouTuber も IP ものも、人気のとことかゲーム化しましょうみたいな引き合いって他からもあるんじゃないかなって思うんですけど。

松田:坂本ですが?に関しては僕らが初めてだったらしいですね。

田辺:それでもやししゃちょー…あ、はじめしゃちょーの方は

(一同笑い)

田辺:はじめしゃちょーの方は、もう既にいくつか出してました。

坂本:UUUM さん結構コラボやってますもんね、ゲームで。

田辺:はい。UUUM さん的にも、新しいサービス沢山作ろうぜって感じなので。

松田 和彬
2009 年 CyberAgent 新卒入社
ソーシャルゲーム部門の事業部長 / プロデューサーを経て、2014 年に CA 100% 子会社として GOODROID を設立、代表取締役に就任。

松田:僕らとしては開発力とかクオリティでは、カジュアルゲームの業界において負ける気がしない、というスタンスなので。

坂本:おっしゃる通り、GOODROID さんはカジュゲー界ではトップクラスですよね。そもそも昨今では、競合が少なくなっちゃったみたいなところもあるし。

松田:そうですね(笑)。もちろん、大きいソシャゲの会社とかとは比較にならないですが(笑)。

坂本:あっちはかけてる予算が何億の世界ですからね(笑)

松田:こちとら!(笑) 相変わらず 2, 3 人くらいで 1.5 ヶ月くらいで作ってたりするんで。

坂本:開発費で言うと 100 万、200 万円とかのオーダー。

田辺:そうですね、200 万円くらいですね。

坂本:そう考えると相当高利益率ですよね。運用もそんなに必要ないタイトルばっかりじゃないですか。

設立から 1 年半で 30 本以上をリリース

坂本:アプリごとの売上は、前セミナーでおっしゃってましたけど、ヒットしてるやつだと何千万円とか。

松田:ああいうの出ると、相当な利益率ですね。

坂本:でもそうじゃないのもちょいちょいある?

松田:ありますね。この前 AMoAd 主催のセミナーで、意外と厳しいぜって話をしたんですよ。

GOODROID でさえ意外と厳しいカジュゲーの世界


松田:1 本開発するのに大体 200 〜 250 万円かかって、さらにプロモーションコストで 50 〜 100 万円乗っかったりして。

坂本:原価が 1 本大体 300 〜 350 万円くらい。



松田:それをリクープできるゲームって僕らでも…何個?10 打席で 1, 2 安打とか。

坂本:意外とそんなもんなんですね。

松田:結構色んな人から、意外でした!って言われます。

坂本:だって毎回出すタイトルがエッジ効いてますし。松田さんの Facebook ではもう間違いなく盛り上がるじゃないですか(笑)

秒速で1億円貢ぐ男 -美女キャラ集結! from ギャングロード JOKER-

田辺:少なくとも毎回、完全にバットを振り切ってますね(笑)。でも結構空振りも多くて、アレ?みたいな(笑)

松田:通算売上13万とかそういうのありますからね。数ヶ月で13万しか売れなかったとか。もう余裕で大幅赤字(笑)。どうしようみたいな。


坂本:そういうのもあるんだ。

松田:こういうのもけっこうあるんですよね、やっぱり。あと、通算 40 万円しか売れなかった横スクロールのゲームとか。もちろん出すときには、僕らは「多分、Crossy Road くらい行くんじゃないかな」って。

 
坂本:それはヤバい(笑)。10 億円稼いじゃう。

松田:それくらいの気持ちでは作ってたんですけど、おかしいなあと。気合で 100 ステージくらい作ったのに(笑)

坂本:めっちゃ頑張って作ってる(笑)

松田:そういう意味では「ヒモ男」の売上くらい行くと、相当利益率は良いんですけど、そういうのが出る確率っていうのがかなり低いですね。

私のヒモ男~イケメン拾いました~無料!恋愛・放置ゲーム

坂本:なるほどね~。5 本に 1 本当たって、ハズレの売上を仮にゼロとして、5 本作る原価が 1,500 万円だから、当たったタイトルが 1,500 ~ 2,000 万円ぐらい売上が出てようやくリクープかな? みたいな感じですかね。

松田:そんな感じですね。全部のアプリが「ヒモ男」ぐらい売り上がってくれたら、どんだけもう…ウハウハ(笑)

坂本:ヒットしてもそこまで行くか行かないかって感じですか。

松田:っていう感じですね。

坂本:でも、全部基本的にはヒットするでしょって思って作ってはいるんですか?

田辺:そうですね。その気持ちで出してます。たまにありますけどね、なんか…無理めだな!みたいな(笑)

坂本:ここで止めれないから出そっかみたいな。

松田:行くしかない、っていう時はあります。それこそ「ヒモ男」のモチーフとかも正直読めなかったんですよね。本当に行けんのかな?みたいな。プロデューサーは女の子だったんですけど、いかんせん僕ら、おっさんばっかの会社なので(笑)

田辺:女性向けタイトルって判断がすごい難しいんですよ。これ本当に女の子に刺さるのかな?って。

松田:僕とか田辺だと判断つかない時もあるので。これどうなるかなー?っていう感じで出してみたら、意外とヒットした、みたいな。

企画立案・検討・開発に至るプロセス


坂本:企画は現場とか、プロデューサーの方から上がってくるんですか?それとも松田さんからトップダウンで「こういうモチーフで作ろうよ」って指示を出すんですか?

松田:両パターンありますね。エンジニアとかデザイナーも含めて、企画を出すスプレッドシートみたいなのがあって、そこにわあーって企画を数百案くらいドーンってリストアップしてあるんですよ。

坂本:へぇ~。1 つ 1 つの企画はどれぐらい練られているんですか?

松田:そのスプレッドシート上ではまだ、ほんとモチーフだけですね。「ヒモ男のゲーム」とか、それくらい(笑)

田辺:「野球拳だけど着膨れしていく」とか。

松田:「人間の脳をグチュグチュするゲーム」とか…


田辺:で、たまにその中に光るものがあったりもするので、そこから膨らます。「ヒモ男」は、膨らますと可能性あるかもね、みたいに。

松田:そういうのが本当にない時にはもちろん、どうしよっかってプロデューサー内で話すんですけど。プロデューサー以外にも、誰がどういうアイデア持ってるか分からないですからね。

坂本:どれくらいの案が母数として出てきて、検討段階まで行くのはどれくらいで、開発プロセスに入るのがどのくらいで、そこから何割ぐらいリリースされますか?よく Supercell とかって、作ってもダメだと思ったらリリースしない、とかって言うじゃないですか。


田辺:案出しの時点ではすごく雑で、たくさん出す。次の段階で一気に数個に絞られる。

松田:100 個くらい案を出すのは結構早いんですよ。みんなから集められるので、2, 3 日もあれば。

坂本:それを松田さんとかプロデューサーの方とかが、面白そうなやつを見繕って、数を絞っていく?

松田:そうですね。そこから深掘っていきます。「ヒモ男」でゲーム作るとしたら、どういうのできるっけ?みたいな話をしていって、上手く練れたものだけを実際には開発していくという感じです。

田辺:意外とモチーフが決まっちゃえば、そこからはトントンと進んだりするんですよね。

坂本:例えば「ヒモ男」でいうと、最初「ヒモの男をテーマにしよう」ってのが決まるわけじゃないですか。そこから練っていく流れはどんな感じですか?

松田:そうですね...ヒモ男なんで「養いたい欲求」を満たしてあげれるようにしよう、そうなると放置育成ゲームで、ヒモ男だからゴミを散らかすよなぁ、それを片付けタスクを入れよう、みたいな…


坂本:ヒモ男をいわゆる「放置育成ゲームのテンプレ・フレームワーク」に当てはめて、ユーザーが単純タスクをするところは「ゴミの片づけ」だよなぁ、みたいなふうに落としていって?

田辺:だいたいの流れはそんな感じです。

松田:それだけだと面白く無いから、成長していく過程で分岐を作りたいねみたいな話になり、その分岐の先っていうのが、ヒモ男を育てた先に「どんどんダメ男になっていく」パターンと「更生していく」パターンあるじゃないですか。どっちが面白いかなぁみたいな。

田辺:もちろん両方入れて良いと思うんですけど、僕らの感覚だけじゃなく、女性プロデューサーとかも含めて一緒に話し合って。

坂本:そこまで話し深掘っていって、「これは確かに面白そうだ」ってなったら開発に進むみたいな。

松田:そうですね。熟考してその企画自体を詰めていってる段階というのは多分 1 週間かかってないと思うんですよね。3 日とかでとっととまとめて、とにかく作ろう!みたいなスタンスになるんで。

坂本:その段階で、仕様はどれくらい固めてから開発に進んでるんですかね?今の話だと、わりかし主要なところの仕様って決まってそうな感じあるんですけど。

松田:マジで本当に、スゲー固まってないです。ウチの開発のスタイルなんですけど、「ネオアジャイルスタイル」で開発してて。

ネオアジャイルスタイル!?


坂本:ネオアジャイルスタイル?


松田:アジャイル開発って、仕様検討と開発が並行で進む。ネオアジャイルは、仕様固まってないけど、山のこっちから仕様検討、反対側から開発で、一緒にトンネルを掘り出すみたいな。

田辺:一緒にトンネル掘っていくんじゃなくて、エンジニアはもう仕様が固まる前から既に作り始めて。どっかで向こうからも掘ってくるから、合うでしょ、みたいな(笑)

奇跡的に出会えるのを願う!
※良いディベロッパーさんは真似しないで下さい(笑)※

坂本:意味がわからない(笑)

田辺:合うポイントがあるんですよ。

松田:エンジニアは、もう「育成ゲーだからこのフレームワーク使うでしょ」「これっしょ!」みたいな(笑)

田辺:決まってる部分からやっていくみたいな。

坂本:それすごいですね。ある意味、過去に同じチームで開発を積み重ねてきてるからできる技ですね。

松田:実は僕、ソシャゲ作ってる時からそれやってたんですよ。だってソシャゲとか、例えば、絶対ガチャあるじゃないですか。レアガチャとか演出あるよねみたいな。絶対図鑑とかあるし、デッキとかもあるわけじゃないですか。じゃあ「仕様待ってないで、作ろう!」みたいな(笑)。その隙に仕様固めるからって…。

田辺:開発でいうと、ある程度動くものをモックとして作って、そのあとアルファ版・ベータ版って作っていくんですね。そのモック期間の終わりから、アルファ版の開発終わるくらいまでには、全体の仕様固まってるといいな〜くらいの目安。

坂本:固まってるといいな~、って(笑)。その後もどうせ変更とかはあるでしょう、みたいな。

松田:もう開発において、途中で仕様変更があるのってある程度しかたない部分があると思ってるんで。仕様変更が発生したら、「よっしゃあ」みたいな。スケジュールはズラせないけど乗り切っていこう!っていう、よくわかんないですよね(笑)

田辺:常にバッファを 2, 3 日持った状態でスケジューリングしてるみたいなイメージですね。

坂本:おもしろいなあ。

田辺 康樹
2014 年 CyberAgent 内定者時代に GOODROID 立ち上げ、2015 年新卒入社。約 1 年半で 11 本のサービスをリリース。

松田:仕様書とかもそんなにすごいパリッとしたものがあるかと言われると全然なくて、

田辺:過去のタイトルの横展開のものとかも最近だと出てきたりしてますし。

松田:僕が好きな田辺の仕様書があるんですけど、チュートリアルって普通、結構細かく仕様とか作るじゃないですか。

坂本:普通そうですね。

松田:田辺の仕様書のチュートリアルこれですからね。


松田:「一連の流れを説明」ってこれで終わってますからね。

坂本:スライド 1 枚にww 2 行しかないwww

松田:これでチュートリアル作んないといけないんですよ、デザイナーとエンジニア(笑)。何の仕様でもないですからね。「一連の流れを説明」……ってそれ「『チュートリアル』の意味だわ!」みたいな(笑)

田辺:言葉の定義ですよね(笑)

坂本:なんなら広辞苑とかの方がもうちょっと詳しく書いてる(笑)

田辺:もう勝手に作っておいて、デザイナーとエンジニアさん~みたいな。

松田:ただ、彼は常に 4 件くらい新規同時に立ち上げてたりするんで。

坂本:開発ラインって何本くらい同時に走ってるんですか?

松田:プロデューサーは今、田辺と、女性プロデューサーと、最近入った新卒 1 年目の子の合わせて 3 人しかいない。

坂本:その新卒の子もえらいところきたって思ってるでしょうね。

田辺:よく来たなって思いますね(笑)

坂本:これが普通の開発現場だと思ってもらっちゃ困りますよね(笑)

松田:なので同時進行で開発してるのは全体で 5, 6 個くらいですね。そのうち 3 つ 4 つを田辺がやってたりします。

坂本:1 人で 3 つ 4 つですか。相当多いですね。

松田:そうですね。プロデューサーの性格とかもあるので、田辺は「雑に数こなす」のが得意なのでそれだけ多くやるんですけど(笑)。もう一方の女性プロデューサーは「丁寧に確実に」当ててくるっていう感じなんで。「ヒモ男」も彼女がプロデューサーでしたし、外しが少ないっていう感じです。ちゃんと当ててきます。田辺はめっちゃ空振ります(笑)

坂本:でも打席にめっちゃ立ってる。

松田:めっちゃ打席に立たせます。体力すごいあるんで(笑)、打席にだけめっちゃ立ってる。

田辺:その弊害がコレっていう(笑)


坂本:新しい…新しすぎる(笑)

田辺:なんでスクショ撮ってるんですか。

松田:いやね、俺もう田辺好きすぎて、田辺フォルダっていうのがある(笑)。田辺の伝説がまとまったフォルダ(笑)

「田辺フォルダ」から愛を感じる 1 枚

ネタを継続的に出し続ける秘訣


坂本:田辺さん、打席に立ち続けるための Tips って何かあるんですか?かなりエッジ効いたタイトルをバンバン出されてると思うんですけど。ネタがいいからもう後は肉付けするだけなのか、それとも田辺色がけっこう出ているのか?

田辺:僕の色が出てるって感じではないなって思っていて、どちらかと言うと結構 2 ちゃんねるとか、バズりそなネタを常日頃探してるみたいな感じです。

坂本:まとめブログずっと見てますってことですか、要するに(笑)

田辺:めっちゃ参考になります(笑)

松田:流行ってそうなもの発見したらすぐ食いついてきますよね。

田辺:このマンガがドラマ化されます!とか。

松田:今日とかだと「あれ見た?『ウシジマくん』がまたドラマと映画に!」って。

坂本:だからまた「ヤミ金」やろう、みたいな(笑)

松田:「ヤミ金業界 No.1 アプリ」ウチあるけど~みたいな(笑)

- リアル闇金ゲーム - お姉さんから1億円回収しろ!

坂本:「闇金」も結構息長いですね。

松田:「闇金」は長いですね。「闇金」の場合実は、業界の裏話につき自主規制

坂本:あー(笑)自主規制

田辺:なので、まとめサイトとか見つつ、そこからモチーフとか引っ張ってきて、そのモチーフに合わせるゲーム部分とかをまた別に考えていくみたいなパターンが多いですね。

坂本:ゲーム性の部分についてですが、ご自身でもゲームはやるタイプですか?

田辺:アプリのゲームは結構やりこんでる方だと思います。特に参考になるのが多いので海外系を結構やってます、ダウンロードランキングに載ってるものを中心に。ものすごい単純なのにずーっと上位にあり続けてる海外のアプリとかあるじゃないですか。

坂本:ありますね。

田辺:そういうのが本当に超カジュアルゲームだったりするので。「あ、この動き単純に気持良いな」みたいなのは常に触って、松田とかにも共有して「これ気持ちよくないですか」みたいな話をよくします。

坂本:なるほど。モチーフのところはマスメディアとか 2 ちゃんとかからのインプットがあって、海外ゲームとかからインプットしたゲーム性と上手く組み合わせてる、と。

田辺:そうですね。モチーフの方はできるだけエッジの効いたものにするよう心がけてます。

松田:やっぱりインストールされないと、どんなに良いゲーム作ってもダウンロードされないとやっぱり意味ないので。とにかく最初にアイコンのイメージとか、タイトルとか。こういうタイトルにするとユーザー入りそうだな、とか。

坂本:それは ASO (App Store Optimization = アプリストア最適化) や検索対策の観点というよりかは、単純にユーザーの心に引っかかりそうかどうかっていう観点?

松田:ネタとして、ですね。それとかはやっぱり考えてます。いざストアに並んだ時こういう感じになって、他のアプリと並べた時にハッて引っかかるぞ、みたいなイメージをしながら。

田辺:モチーフが凡庸だとやっぱり難しいんですよね、ゲームとしては。

坂本:それはありますね。日本のゲームでも、面白いし、触り心地みたいなところとか含めてもクオリティは高いんだけど、だけどそれ以上にグッとはこない、みたいなのはあります。逆にネタだけがキャッチーでも、触り心地とか細かいところが雑な作りになっててもダメだし。

松田:僕、ソーシャルゲーム作るんだったら「もやし」のソーシャルゲーム絶対作らないんですよね。流石にやっぱり開発コストもデカイんで、もっとマスを取りに行くんですけど。それこそドラゴンなんたら!みたいなの。

坂本:パズル & モンスター・戦国ドラゴンストライク!みたいな。

松田:カジュアルゲームって良くも悪くもポンポン沢山出せるっていう特性があるので、ココ狙いって絞ってエッジを立てて、ドン!ドン!っていうのを色々作っていく方が合ってるなあと。

なにをもって「成功」したゲームと言うか?


坂本:会社的に、または GOODROID 的にこれくらい当たればヒットだなみたいなラインってあるんですか?ダウンロード数なり売上なり。

松田:僕らは事業としてやってるんでやっぱり売上で判断してます。初月の売上で 300 万円行くとそれだけでほぼリクープできるようになってて、それでプチヒットくらい。初月の売上が 500 万円超えると中ヒットくらい。1,000 万円超えてくるとカジュアルゲームとしてはすごい当たったなみたいな。500 万円以上の数を増やしたいなという感じですね。


田辺:逆にここ届かないと、キツかったな、と。

坂本:っていうのが基準になるんですね。会社としては基本カジュアルからミッドコア手前くらいまでをずっと攻めていくつもりなんですか?

松田:カジュアルゲームって良いところもあり悪いところもあるんですね。やっぱり、1 タイトルで継続的な売上を作るのが難しいんですよね。

坂本:基本的にはリリース直後に売上の山が出来て、その後すぐ 0 に近づいていく。

松田:そういうビジネスモデルもアリなんですけど、中々しんどい部分もある。なので、引き続きカジュアルはやりつつ、今ちょうど開発リソースの大体 ⅓ とか半分近くを使って、もうちょっと大きめの、ユーザー的にはソシャゲって思うだろうなっていう見た目・規模のものを作ってます。開発期間も半年ぐらいかけて。

坂本:へぇ~。「ユーザー的にはソシャゲって思うだろうな」っていう表現がすごい気になるんですけど(笑)、自分たち的にはこれはソシャゲじゃないって思ってるんですか?

松田:まぁ課金も綺麗に入ってるし、イベントとかも普通にできるし、ユーザーとしては「これ普通のソシャゲやん!」って思うでしょうけど、裏側の作りが。

坂本:といいますと?

松田:カジュアルゲームで培った、ランニングコストが余りかからないような作りになってるんですよ。サーバーとかも含めてコストが極めてかからない作り方が出来るんですよね。やっぱり僕も、ソシャゲの経験を経て、その後カジュゲでアクセル踏んできたからこそ行き着いた、分かったことです。

坂本:ずーっとソシャゲだけ開発していると、高コスト体質が普通のように思えてくると。

松田:そうですね。たぶん 9 月とかには出せるかなと思ってるんですけど、これが仮に上手くいくと、結構新しい例が作れるなと思ってます。半年くらいで作って、継続的に収益が上がって、収益は広告よりおそらく課金のほうがドーンってでかくて。

坂本:(課金:広告が) 8:2 とか。

松田:っていうのをいま挑戦中っていう感じですね。

坂本:面白いですね。カジュゲ作ってる会社はどこもそういう流れになるんですかね。イグニスさんとかも、ずっとカジュアルとか、もっと初めの方はツール系だったじゃないですか。で、課金・広告ハイブリッドの「breaker」とか当てて。

breaker -30秒でどこまで壊せますか?ブロック崩し- (イグニス)

田辺:そうでしたね。

坂本:それと同時並行くらいで「ぼくドラ」当てて、今はリソースもソシャゲの方に多く割いているのか、カジュアルタイトルは最近あまり出してない。やっぱり事業としてやっていくとそうなっていくんですかね。

松田:と思いますね。

CyberAgent 子会社社長の実態!


坂本:松田さんは今までの話では、いちプロデューサーな感じですけど(笑)、一方で CyberAgent グループ子会社の社長なわけじゃないですか。その立場からするとカジュゲ特化型はやっぱりキツいんですか?

松田:そうですね。ぼく最初に子会社を立ち上げて、1 ヶ月くらいで出した 1 本目の「もやしびと」が初月 1,000 万円、半年くらいで 5,000 万円くらいの売上になって。全部それが出るんだったら絶対カジュアルゲームやったほうが良い(笑)。でも、そんなオイシイ話続かないじゃないですか。

坂本:300 万円で作ったものが 5,000 万円になって。

松田:ほとんど運用かからず。それを量産しまくれるて言ったらもうこんな良いビジネスモデルないですよ(笑)

坂本:確かにそうですよね。そのクラスが毎月 1 本出てれば年間で売上 6 億?良いビジネスですよね(笑)

松田:おそらく営業利益率、ヘタしたら 80% とか(笑)

坂本:ユニコーンは行かないけど、結構良い valuation で上場できるよねみたいな(笑)

松田:そうですね、すぐ上場できちゃうな~って感じなんですけど(笑)。まあ 1 年間カジュアルゲームやってみて、導き出した結論は「意外と当たらない」っていう。「もやし」っていうのは奇跡で一発目当たっただけだっていう(笑)

坂本:なるほどね。

松田:やっぱり 1 本くらいは継続的に収益がずっと上がるようなタイトルが欲しい。

坂本:安定的に収益上がるのタイトルが 1 個あって、その上で博打を打つと。

松田:それで博打のほうでも時々ヒットしたらデカいなって思ってて。僕らもものづくりに携わるものとしては、もちろん売り上げあげたいっていうのもありますけど、世界で大ヒットするよなアプリ作りたいなっていうのがすごいあるんで。

坂本:なるほどね。

松田:そうなるとやっぱり僕の同期の高場くん (※) がやってるトランスリミットとか、世界で何千万ダウンロードってされていて。

(※ 高場 大樹さん = Translimit 社 創業社長)

Brain Dots (Translimit)
ダウンロード数は 2000 万以上

坂本:あっそうか、同期なんですね。

松田:そうなんです。僕と新卒同期なんで。ああいうのは、ものを作る人として「こういうの俺も作りてぇな」っておもうし。

坂本:「世界で 2,000 万ダウンロードされたぜ!」ってドヤ顔したいですよね。

Forbes Japan 6 月号より
(勝手に Facebook からドヤ顔拝借しました)

松田:したいですね。でもそういうゲームってどっちかというと、ソシャゲよりは、ひょっとするとカジュアル系の領域からのほうが出しやすいんじゃないかなって思ってて。カジュアルゲームちょこちょこ作ってるのも、そういうのを狙いたいなって思ってるんですよ。

坂本:まだ当たってないけど、1 発当たった時に逆転満塁 100 打点ホームランみたいなのが、「世界だったら出んじゃね?」と。

松田:Crossy Road 作れたらもう…ね、終わりだし(笑)

坂本:確かに(笑)

田辺:めっちゃナンバリングしますよね。2, 3 って続編作りまくる(笑)

松田:こういうところ!こういうのが安直なんですよ(笑)。良い所でも悪いところでもある。

(一同笑)

松田:すぐ横展とかしたがる。いいやつといいやつを掛けあわせたらうまい、みたいな。寿司とカレーを一緒に食ったらうまいみたいな発想(笑)

田辺:ひどい(笑)

海外展開は甘くない!?


坂本:海外って今どれくらいやってるんですか?力の入れ方的には。「もやし」とか、いきなり韓国で当たったじゃないですか。

松田:いや本当ね、あれが良くも悪くも影響ありましたね。「あれ?海外出したら簡単に当たるじゃん」っていう体験をしちゃったので。

坂本:夢持っちゃった。

松田:そう。そのあと出した続編「もやし DX」とか、韓国も中国も台湾も全部ローカライズしたんですけど、全然鳴かず飛ばず(笑)


坂本:そんな甘い話じゃなかった。

松田:海外で課題なのはやっぱりプロモーションで、割が良いというか、簡単にリクープできそうなプロモーション手段っていうのが日本に比べて全然ない。カジュアルゲームのプロモーション結構やりにくいです。

坂本:日本だと未だにアップトーキョーに遠慮して自主規制してランキング上げてリクープ、っていうのがまだできると。

松田:それもいつまで続くかなっていう感じなので、そこがやっぱりカジュアルゲームの事業としての脆弱性だなと思ってます。

坂本:そうですね。ある程度 ARPU ないと普通のプロモーションは打てないですもんね。

松田:その辺含めて海外じゃ中々難しい。もうちょい ARPU 高いアプリが作れればプロモーションもできるなと思うんですけど。「もやしびと」とかも運で流行っちゃっただけなので、一切ノウハウが溜まってない(笑)

坂本:今までプロモーションとかで海外でやられたことはあるんですか?

松田:今のところは一切無いですね。ちょうど「ヒモ男」の韓国版ができたので、そろそろ出そっかなと思ってるんですけど、プロモーションのところは検討中です。

坂本:韓国とかは未だにアップトーキョーに遠慮して自主規制の文化もあるみたいですね。

松田:そうですね。今ちょっと探し中です。「ヒモ男」とか国内でも 1 ダウンロードあたりの収益が 100 円超えてるんですよね。結構高いんで、韓国とかはプロモ打ってもいいんじゃないかな、とか思ってます。

坂本:ゲームの中身とかはローカライズ以外は基本そのまんま?

松田:ローカライズ以外はそのまんまですね。ただ結構細かくローカライズしてて。ヒモ男がゴミ散らかすじゃないですか。その時のゴミとかも、例えばポテトチップスの袋とか、韓国で 1 番食べられてるポテチ(笑)

 
坂本:もう趣味でやってるでしょ(笑)

松田:まじめに言ったけどすごい遊んでます(笑)。飲み物のペットボトルとかも韓国でよく飲まれてるやつに変わってますね。

坂本:細っけぇー(笑)。でも作ってるとよくありますよね、仕上げの段階に入ると「ここもこうすればいいんじゃないの」みたいな細かいところがすごい気になり始める(笑)

田辺:そうなんですよね。最後の最後でよくわかんないところにこだわりが出る(笑)

坂本:さっきまで売上とかビジネスライクな話してた割には最後には、ものづくりの人の顔になりますね。

松田:こだわりが出ちゃう(笑)

GOODROID が向かう先とは


坂本:GOODROID は会社としてはどこに向かっていくんですか?

松田:そもそも立ち上げの時から、あんまり「これをやれ」みたいな会社ではなかったんですよね。「何やってもいいぜ」みたいなスタンスだったんで。

坂本:最初は「子会社を立ち上げる」っていうところから始まったんですか?「アプリをやろう」みたいなテーマは決まっていた?

松田:テーマも決まってなかったですね。「僕が子会社をやる」っていうのしか決まってなかった。ただ、もともと「ものづくり」をやってきていたので、BtoC の分野でやりたいな、というのはありました。

坂本:松田さんは CyberAgent に新卒で入ってますよね。何年目の時に GOODROID を始めたんですか?

松田:7年目かな、多分。

坂本:人事とかから「お前、子会社作るから社長やれ」みたいな感じで来るんですか?

松田:ウチだと藤田社長から直接ですね。


坂本:“打倒高場“だ、とかそういう指示もなく?

松田:特にないです(笑)

坂本:このニュアンスは記事で伝わるかなぁ(笑)

松田:でも、みんな気になるところではありますよね。CyberAgent ってこれだけ子会社立ち上がってるけど、どういう経緯で立ち上がってるのかなとか。

坂本:そうそう。藤田社長はメディアとかを通じて「戦略的にこの事業をやるぞ」みたいなメッセージを出されるじゃないですか。今だったら AbemaTV に思いっきり突っ込んでんなぁ、みたいな。でもあれだけ子会社があって、どういう経緯で、誰が意思決定して立ち上げてんのかとかって、よく分かんないですね。

松田:基本は戦略ベースで決められていて、例えば「動画広告流行ってる」って話から、動画専門の代理店 CyberBull を立ち上げたりとか。やはり「これをやろうぜ」って戦略があって子会社立ち上がることが多いですね。でも一部「子会社だけ立ち上がって、やること決まってない」パターンがあるんですよね(笑)

 
坂本:会社的には若手の登用が目的とか?

松田:そういう部分ももちろんあるでしょうね、若手の登用。僕とかどっちかというと全然若手じゃなかったんですけど(笑)

坂本:一般的に見れば相当若手ですけどね。だって当時 28, 9 とかですよね?

松田:28 とかですね。一般的には若手なんですけど Cyber の中だともう中堅もいいとこなんで。

坂本:なんで藤田さんの目に止まったんですか?高場さんの同期だからですか?

田辺:それを絡めたいんですね(笑)

坂本:構図が面白いんで(笑)

松田:謎のライバル関係(笑)。僕の場合はもう 7 年目で、そこそこやってたのに「あいつ埋もれてんな」みたいな感じだと思うんですけど。「お前もっとちゃんとやったら」みたいな。そういう中で資本金をもらって子会社の設立に至りました。

坂本:札束が両手に持てるぐらい?

松田:その例えよく分かんないです(笑)。で、その中でできることっていうのを考えた結果が、少ないコストで沢山作れるカジュアルゲームだったっていう。

坂本:CA グループでカジュアルゲームって、確かに珍しい感じありますね。その時ほかにカジュゲやってる子会社や部署ってありました?

松田:ないですないです。一個もないです。なのでみんなキョトーンとしてました。

坂本:「え、カジュアル?」みたいな?

田辺:「え、そんなん大丈夫なん?」みたいな(笑)

坂本:CA の子会社って確か、ランキング制度みたいなのありますよね。他の子会社と比べられて、結構プレッシャーってあるんじゃないですか?見られるのって、売上でしたっけ利益でしたっけ?

松田:営業利益ですね。営業利益順に毎月報告しないといけないんですよね、状況とか。だからやっぱり段々プレッシャーが出てくるんですけど。立ち上げたばっかりの時は「カジュアルゲーム作ります!今 “もやしを抜くゲーム” 作ってます!」みたいに言ったらみんな「え?どうしたの?」っつって(笑)

坂本:アタマ触れたか、みたいな(笑)

田辺:「ヤバい奴いるよ」みたいな。

松田:それが意外と初月にポーンって 1,000 万円売れて、大した人数でやってなかったので 2 ヶ月目で単月黒字出し、ドヤ、最速だろ!と(笑)。その中でカジュアルゲームを作ってただけなので、これから何をやるかは全く制約無いです。自分たちの持ってるキャッシュの中で、面白そうであったり「ここチャンスあるな」みたいなのあれば、それこそ BtoC に限らず BtoB でもいいし。

坂本:別になにやっても良いんですね。

松田:可能性のある事業であれば何やってもいい、本当に。

坂本:前ぼくがブログで書いてバズった記事で書いたんですけど、でっかい企業が例えばスタートアップ買収したりとか、新規事業始めたりってやると、でっかい企業の意思決定に引きずられるじゃないですか。大きい 100 億円の事業を 1% 伸ばすほうが、100 万円の事業を 10 倍にするよりも簡単だしインパクトあるし、じゃあそっちにリソース割こうよってなりがちだと思うんですけど。

(参考: 大企業に買収されたスタートアップに関する悲劇あるいはおとぎ話)

坂本:大きい会社の中にいることによって意思決定難しかったりすることとかってないですか?

松田:子会社によりますね。戦略事業をやる子会社だと、本社の戦略に大きく左右されますし。僕らだと本当に超自由です。細かい報告とかもほとんどしてないですもん。1 ヶ月に 1 回、事業責任者の会議の時に報告するくらいで。基本的には黒字になってるし、資本も問題ないし、「自由にやったら?」みたいな。

坂本:へぇー。足かせとかないんですか。例えば外部でプレゼンするとか、イベントを主催するとかってなると、広報通さなきゃダメとか、セキュリティ大丈夫?とか、まずディフェンスから入るみたいなのがあったりしたんですけど。

松田:今はしがらみとかもほとんど無いです。自由にできるので、それこそ田辺が全然ヒット出せない時とかは、「田辺くん、かき氷屋さんとかやったほうが良いんじゃないの」みたいな(笑)

田辺:ゲーム作りの現場から見ても、あれやれとか、これやるなみたいなのは、一切無いですね。

松田:「こういうのやろうぜ」っていう提案は、プロデューサーでもデザイナーでもエンジニアでも出していいし、勝算があれば全然やっていこうって。

坂本:それこそゲームじゃなくてもいい?

松田:ゲームじゃなくてもいいです。

坂本:会社の基幹戦略をやるために出来た会社ではないから好きにできる?

松田:多分、逆に好きにやらしといたほうが、意味不明なことして一発当てる可能性があるんじゃないかって、そういう戦略なのかもしれないですけど。

坂本:あーなるほど。会社としてはきちんとやってこれくらい伸ばすけど、そこを下ぶれさせないならギャンブルしていいよみたいな(笑)

松田:そうですね。ぼくらに求められてるのって「CyberAgent にとって想定外の大ヒット」を生み出すことだと思うんですよ。ちょっとした利益を出していても仕方がない。全社から見ると、例えば僕らが 1,000 万円売れたって言っても超ちっちゃい話なんですよ。

坂本:グループ全体からするとそうですよね。

松田:そういう意味で言うともっと大きな賭けをして、それこそ Crossy Road みたいなの作れると、CA にとってもデカいじゃないですか。

坂本:「全然注目してなかったけどなんか当ててくれたぜ」みたいな(笑)

松田:そうそう。想定外のことが起きると僕としてもしてやったりというか。やっぱり最初に思ったのが「もやし」の海外のヒットですよね。CyberAgent が攻めあぐねた海外で。「あれ見た?もやしのやつ1位になってっけど!」みたいな(笑)

田辺:「意味不明!」みたいな(笑)

松田:僕らとしてもそういうのを出していけると一番いいかなと思って。もちろんカジュアルアプリこれからもやりながら、ホームランを何回打てるか。

坂本:なるほどね。

子会社社長・社員の個人としてのモチベーションとは何ぞや?


坂本:会社って言うよりも今度は松田さんだとか、社員の方のモチベーション・やりがいみたいなところを伺いたいんですが。例えばトランスリミット高場さんとかは、独立していて資金も調達していて、事業が当たったら、個人の資産的な意味でも一発ありえるじゃないですか。100% 子会社だと、仮に Crossy Road 出しても松田さんが億万長者にはならないじゃないですか。

松田:嫌な話しますね(笑)。

坂本:いやいや(笑)、大事な話ですよ。何がモチベーションになっているのかなぁって。上手く行った時に松田さんは CyberAgent から評価されて、本社の役員陣の中に入るみたいなところがモチベーションなのか、それをステップにして将来的には自分でゲーム会社を作りたいんだとか、野望みたいなのってあったりするんですか?

松田:難しいところですね。僕の場合、あまり偉くなりたいとか、個人のお金を稼ぎたいっていう欲求がそこまで無くて、とにかく面白いサービスを作って世界的な大ヒットを生み出したい気持ちの方が強いんです。

坂本:だって今の格好見ればね。お金かからない格好ですもんね。短パン・T シャツ・サンダル(笑)

松田:しかも「しまむら」だし(笑)。全身で 1 万円もかかってないですからね。

 
坂本:しまむら!(笑)

松田:T シャツしまむら、短パンしまむら、サンダルは United の人からもらったやつ(笑)

坂本:しまむらって僕的にはユニクロよりも階層下なんですけど、認識合ってます?

松田:合ってます(笑)

坂本:「最近実はしまむらスゲーよ」みたいなアピールあります?

松田:えっと…特にないです(笑)。T シャツちょっと大きめが好きので、しまむら結構 3L とかのサイズが揃ってるんで良いですね。

坂本:確かに、ユニクロ大きめサイズ少ないですね。

松田:そう、少なめなんですよ。それもあってしまむらを着てるんで。僕ほんとプライベートあんまりお金使わないんで。

坂本:お金使わなさそう。

田辺:松田は三茶 (三軒茶屋) に住んでて、僕も三茶に住んでるんですけど。

坂本:2 駅ルール。

田辺:そうです。三茶でほぼ会ったこと無いんですけど一回だけしまむらの前で見たことがあって(笑)


松田:あれは違うよ、あれは銀だこを買いに行ってたの。

田辺:あんまり変わんないじゃないですか(笑)

松田:銀だこのゴールドカード持ってるから。めっちゃ使ってるから。

坂本:そんな行ってるんだ銀だこ(笑)

松田:銀だこくらいで結構贅沢したなくらいのスタンスなんで(笑)

田辺:たこ焼きにしては高いですからね。

坂本:たこ焼きにしてはね。6個で500円くらい。

松田:高っけ!みたいな(笑)。それで満足なんで、個人のお金でウン億とか持ってても多分あんまり変わんないんで…

坂本:使いみち無いわ、みたいな。

松田:使いみち無い、ホントに。どっちかというと、なんか若干偽善っぽい感じするけど、リアルに世界で流行るようなサービスを作りたいっていうのが一番デカいかもしれない。

坂本:当てたぜっていう充足感を得てみたい、と。

松田:そうですね。「コレ俺作ったぜ!」って、キャバクラでモテたい(笑)

田辺:全部キャバクラで使ってるんじゃないですか(笑)

坂本:キャバクラ行くんだったらもうちょっといい服着たほうが良いんじゃないですか(笑)しまむらだと(笑)

松田:この格好で行と、キャバ嬢とかもドリンク頼みづらくなるでしょ「この人お金ないから…」

坂本:確かに(笑)

田辺:そういう狙いがあるんですね(笑)   

松田:本当に世界でヒットするようなサービスを作りたいというのが一番ですね。その先にもしかしたら何か欲求が出てくるかもしれないですけど。

楽しい妄想でインタビューはおしまい


松田:ただ本当に今、超自由にやらせてもらってるので、その中でうまくやりくりしながら、社員みんなが楽しく過ごせたら良いなっていう。

田辺:でもせっかく儲けたら、カオスなオフィス作りたいね、みたいな話はちょくちょくしてます(笑)

松田:僕はハワイに拠点を作って、たまに Chatwork とか Facebook のメッセージとか見て、たまに稟議だけピンって決裁するみたいな、ハンモックに揺られた生活したい(笑)


坂本:その社長要らないな(笑)

田辺:他社さんのオフィスとか見たりして色々参考にしてますね。「この部分はいいね」みたいなのとか。

松田:「ここパクろうぜ」みたいな(笑)

坂本:妄想楽しいですよね(笑)

松田:そういう意味で言うと、僕だけって言うよりはメンバーも含め 15 人弱とかくらいで「みんな会社作ろうぜ」みたいにやってるっていう感じですね。

坂本:親会社が CyberAgent だってだけで、やってることはスタートアップ。

松田:完全に外部のスタートアップと同じだと思いますよ。

坂本:最後に言い残したこととかありますか?

松田:俺は大丈夫かな。キャバクラのくだりだけカットして欲しい(笑)

坂本:そこは載せます(笑)。ありがとうございました!



長かった!以上!

Q