2013/11/23

Startup Weekend Tokyo を通じて考える、ハッカソン形式イベントの運営3ヶ条 #72時間

2013 年 11 月 22 日 (金)〜24 日 (日) の 3 日間、弊社 Google Japan オフィスにて、Startup Weekend Tokyo というイベントをホストしている。

(ちなみに 2014 年 1 月 24 日 (金) に、NHK 総合の「ドキュメント 72 時間」って 30 分番組に大々的に取り上げられるらしいよ!)
(このボタンこのボタン→ を押すと自分の Google カレンダーに予定を追加できるよ!)

 

ほぼ初対面の 100 名以上の参加者がチームを組み、54 時間の間にサービスを作ってローンチする!という、スタートアップのお祭りのようなイベントだ。

実は Global Startup Battle という世界規模のコンテストの、日本予選も兼ねている。
(上位 2 チームが US で行なわれる決勝戦に進出できる)

今回ぼくは参加者ではなく、メンター/コーチという立場で参加している。

Startup Weekent Tokyo のサイトより転載
 
2 日目には 1 チーム 15 分ずつ、 7 チームで計 2 時間ほどメンタリングセッションを担当したほか、いつでも相談を受け付けるブース「たつおの部屋」を勝手に作って、いくつかのチームにかなり深く踏み込んだアドバイスを行なった。

まだ 3 日目の途中で、各チーム最後のプレゼンに向けて最後の追い込み中ではあるのだが、先日の TechCrunch Tokyo Hackathon に出場者として参加した経験も踏まえて、ハッカソン的なイベントを成功させるために必要な要素について考えてみたいと思う。
(マニュアル的な何か、ではないのでご了承願う)

1. 司会者の温度感とイベントのビジョン


2 つの要素を 1 つの項目に書くなと怒られそうだが、これらはマッチしてこそ意味がある。
イベント全体の色というか大きな方向性は、けっこうこの要素で決まってしまるんじゃないかと思う。

たとえば今回の Startup Weekend Tokyo の総合司会である Akihiro Habuchi 氏。

太いほうがぼく、細いほうが Habuchi 氏

彼は非常にハイテンションで、声が大きく、ストレートな物言いをし、関西弁だ。
参加者を煽ったり、モチベートするのが上手。
自分の思いを語ることでオーディエンスを巻き込むことも出来る。

彼が作った空気のお陰で、作りたいサービスをピッチして仲間を募るコーナーなどは、熱気あふれる素晴らしい雰囲気になった。

終了後に実際にサービスを実現したり、起業したりといった「アクション」を重視しているこのイベントの司会としては、彼のような「思い・ビジョン」で参加者を energize するようなスタイルが向いているのだと思う。

一方で TechCrunch Tokyo Hackathon のほうは、起業っていうよりはエンジニアリング的な意味でハックすることに重きを置いているイベント。
API いくつか提供するので、どれかを使ってプロダクトを開発してねー、と。
審査基準に「マネタイズ」要素は無かったし。

なのでターゲットはピュアに engineer / designer で、彼らに対するアプローチとしては「そんなにガツガツしない」「まったり」のほうが正しい。

2. hacker, designer, hustler の人数バランス


こういったイベントのゴールって往々にして、最終日までに「プロダクト」と「プレゼンテーション」を作り上げること、であることが多い。
プレゼンテーションは上手い下手はあるけど、ゆーたら誰にでも作れるものではある。
だがしかし、プロダクトは (IT 関連である限り) エンジニアがいないと作れない。
洗練されたプロダクトを作るためには、デザイナーがいたほうが絶対いい。

自分の blog で「非エンジニアの戦い方」を書いておいてこんなこと言うのもなんだが、そういう意味で最も essential なのはエンジニア (hacker) だ。
次がデザイナー (designer) で、hustler (ビジネス系) はせいぜいチームに 1 人いれば十分かなと。

(参考: 500 startups Dave 氏のインタビュー記事)

統計とったわけではないが、今回の Startup Weekend Tokyoはデザイナーが激レア (5%) 、エンジニアがレア (20%) 、ハスラー過剰 (75%)、という印象。

ハッカーは何人いるでしょ〜か?

8 人チーム、エンジニア 1 人、残り 7 人ハスラー、みたいな人数構成のチームもあるみたいだ。
ハスラーたちは何をしてるんだろう。(揶揄ではなく純粋に疑問)
 一方前回の TechCrunch Tokyo はエンジニアの比率がわりと多く (50%) 、ハスラーがまあまあ (40%) 、デザイナーが超レア (10%) ぐらいだったかな。
日本のスタートアップ界にもっとハッカーを!」っていうのが明確なメッセージだったので、ある程度狙いだったのではないかと想像。

TechCrunch がわざわざ上記のようなメッセージを出していることと、今回の Startup Weekend の現状を見る限り、いわゆる「スタートアップ」「起業」といったキーワードに反応する層には圧倒的にビジネス系の人が多いんだろうな。

主催側としては、デザイナーとエンジニアをなるべく多く集める努力が必要で、かつ可能であればハスラータイプの人数を制限する工夫 (役割毎に人数制限をつけるとか、スペックで応募資格を作るとか) を行なったほうが良いバランスになると思う。

3. 応募前のゴール共有


今回の Startup Weekend は「行動を起こす」ことを最も重視しているようだ。
3 日間でプロトタイプを作るだけでなく、EXECUTION(アイディアを形にする実行力があるかどうか)、というのが評価ポイントにもなっている。
当然、イベント後の起業ってのも奨励している風。

会社辞めてから参加してる人までいたもんね。
順番逆のほうが良くね!? って正直思ったけど。



Takumi Shimizu 氏がんがれ...

ちなみに SENSEI NOTEStorys.jp なども Startup Weekend Tokyo から出てきたサービス (企業) らしい。

一方で TechCrunch Hackathon はイベント紹介記事にも書かれている通り「力試しや、経験、ネットワーキングの場として是非参加してみてほしい」という位置づけ。
サンプル数は少ないが、起業のきっかけや仲間作りといった明確な目的のために参加している人は非常に少なかったと思う。

その色は、集客時点で凄く明確にしておいたほうが、参加者にとってハッピーになるはず。
例えば今回のイベントには、上述のようにイベント後に起業する前提で来ている人も少なからずいる一方で、 「力試しや、経験、ネットワーキングの場」として参加している人も混在している。
これらのタイプが同じチームになって、いざイベントが終わったときって、もしかするとその後の方針で困っちゃうことになるんちゃうかな。

そのイベントを通じて参加者にどんな体験を提供したいのか、何を持って帰って欲しいのか、イベント後に参加者にどういう行動をとって欲しいのか、を明確に参加検討してる人に伝えることが主催側の義務かな。
「色」に沿わない人は排除することだって、もしかするとやったほうがいいかもしれない。



というわけであと 2 時間ぐらいで決勝プレゼンが始まるわけだけど、ぼくがアドバイスしたチームは果たして優勝できるのだろうか。

そして優勝したチームもしなかったチームも、明日からどんなアクションをとるのだろうか。

イベントはもう終わるけど、ここから新しい何かが本当に始まるのだろうか。

Q

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