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2016年4月18日月曜日

ロングインタビュー風!AppleTVアプリ開発で世界一になった日本の個人デベロッパ

先週末 2016/4/17(sun) に AppLovin サンフランシスコオフィスで開催された Apple TV App Challenge (Apple TV 向けアプリ開発コンテスト) で、なんと日本人の個人デベロッパが優勝してしまった!!

AppLovin からの発表 (プレスリリース | blog)
コンテスト概要 (日本語 | 英語)

なんなら 20 代に見えるが...

優勝したのは、名古屋を拠点にする個人デベロッパ 伊與田 (いよだ) さん (以下、いよちゃん) 。
伊與田さんの web サイト

世界中から応募があった中、Apple TV 向けアプリを作るのは初めて (モバイルゲームからの移植でもない) で、英語にも 100% の自信があったわけでもないのに、THE 快挙!!

というわけで、さっそくインタビューでお話を聞いてみたよ。
(まだ Bay Area にいるので、例によって Google Docs と Facebook メッセンジャー上でのやり取りw)



ぼく:おめでとうございます!

いよちゃん:ありがとうございます!

ぼく:優勝が決まったときの気持ちを教えてください。

いよちゃん:びっくりしました。他に出場していたどのゲームやアプリも Apple にフィーチャーされてもおかしくないクオリティーで、正直優勝できるとは思っていませんでした。

参加者にアプリを紹介する伊予田さん

ぼく:世界中からファイナリストが集まりましたからね。あらためて、今回 tvOS App Challenge に参加した感想を教えてください。

いよちゃん:参加して非常によかったです。ラッキーだったと思います。iOS に比べて Apple TV 向けにアプリを作っているデベロッパはまだ非常に少なく、チャンスがあると思います。

いよちゃん:Apple TV で収益を求めるだけではなく、「Apple TVも対応している」というところで差別化を図るのもアリだと思いました。

ぼく:そもそも、どうやってこのコンテストのことを知ったんですか?

いよちゃん:開発は Corona で行っているので、Corona SDK の Facebook のタイムラインと、AppLovin の坂本さんのブログで知りました。


ぼく:なんで参加しようと思ったんですか?

いよちゃん:個人でアプリを開発しているとプロモーション費用がないので、アップルにフィーチャーされる方法を模索していたんですよね。

いよちゃん:フィーチャーされているゲームを調べてみると、コンテストで入賞しているゲームをいくつか発見して、ちょうどコンテストがないか探していた時期でした。

ぼく:Apple TV 向けのアプリって作ったことはあったんでしょうか?

いよちゃん:いえ、AppLovin のコンテストの参加のために初めて作りました。ただ、コンテストのためだけに作るのはもったいないので、iOS でもリリースできるゲームで、アップルにフィーチャーされそうなゲームを作りました。

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ぼく:なるほど〜。そんな伊與田さん、そもそもなんでゲームデベロッパになったんですか?過去のキャリア含めて教えてください。

いよちゃん:もともと経験があったわけでもないので、「ゲーム」デベロッパになる予定はなかったんです。

いよちゃん:実は、僕はゲームをほどんどやったことないです。マリオやドラクエ知らないっていうとみんな驚きます。ファミコンもプレステも。

ぼく:え、それは驚きますよ普通にwゲームデベロッパだからとかの前に、男の子としてww

いよちゃん:いやぁ、ゲームって遊び方難しくてよくわからないです。なので、全然ゲームのことしらないので、すごいなぁーって尊敬して聞くと、みんな色々教えてくれるんですよ。非常に助かります。

ぼく:その感覚もってるゲームデベロッパは少ない気がw なんでまたゲーム作ることになったんですか?

いよちゃん:前に勤めていた会社をやめて、iOS 向けのアプリを作ろうと思っていたときに、市場が一番大きく、また新陳代謝も早いゲーム市場がヒット作を出せる確率が高いのではと思って、ゲームに絞りました。

ぼく:なるほど〜。それまでは何をされていたんですか?

いよちゃん:前職は、ネットワークセキュリティ分野の機器やアプリケーションのプリセールスエンジニアをしていたり、営業に回されたり、コンビニの店長していました。

ぼく:コンビニ店長w

いよちゃん:研修中の店長時代に、とても一生やる仕事としては向いてないなと思って、すぐに転職しました(笑)それ以来、コンビニが苦手になりました。

ぼく:辛いww

いよちゃん:いやぁー、若かったので、経営って言葉に騙された感じですねー。若いって怖いです。

ぼく:今はお仕事としてはどういったことをやっているんですか?

いよちゃん:ゲームを作ること以外は何もしていないので、実質ニート状態です。貯金かなり消えてるので、アプリ当てないとやばいっす。アプリマーケティング研究所さん紹介してください。

ぼく:アプリデベロッパの悲惨な状況をレポートするメディアじゃないっすよww

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ぼく:今回作ったアプリを紹介してください。

いよちゃん:Dungeon Tiles (ダンジョン タイルズ) というゲームです。


いよちゃん:基本操作は「2048 (iOS | Android)」に近いのですが、それに RPG の要素を足して、より戦略性を高めたゲームにしました。

ぼく:パズルゲーム + RPG ってカンジですね。グローバルに受け入れられそうなテーマです。どうやって遊ぶんですか?

いよちゃん:コントローラーのタッチする部分をスワイプすると全てのタイルが同じ方向に移動します。タイルには、それそれ数値が含まれており、同じ色の数値が重なると数値の合計値になります。

いよちゃん:数値が合算されると、それぞれのタイルの種類のパラメータが画面の上部にあるので、そこに合算され、戦闘が始まります。


いよちゃん:タイルの種類は以下の通りです。
青 = 剣、白 = ドラゴン、赤 = ライフ、黄 = ゴールド

いよちゃん:剣でドラゴンを攻撃し、ドラゴンがライフを攻撃し、ライフが0になったらゲームオーバーです。

いよちゃん:ゴールドは、ゲーム終了後も加算され続け、アイテムを使うときに消費されます。アイテムを使うと、画面上の全てのドラゴンのタイルを消したりすることができます。

ぼく:操作はスワイプするだけで簡単そうですね。tvOS 向けアプリを作る上で苦労した点・工夫した点とかってありますか?

いよちゃん:初めて Apple TV に触ったので色々と未知な部分が多く戸惑いました。

いよちゃん:まず Siri Controller (Apple TV のコントローラー) からどんな情報が入ってくるかわからなかったので、ログをとりながら動作の確認をしました。


いよちゃん:また Siri Controller に向いてないゲームもあるので、ゲームの企画のときに、そのあたりを考慮したほうがいいと思います。

ぼく:確かに。座標がとれないから、画面上の任意のオブジェクトをタップさせるような動作は Apple TV では難しかったりしますもんね。

いよちゃん:そうなんですよ。Apple TV は、iOS デバイスのように画面にタッチして、ボタンを押したり、アイテムを選んだりすることができません。従って、全てのボタンをフォーカス制御する必要がありました。


いよちゃん:また、Menu ボタンを押すと 1 つ前の画面に戻ったり、Pause 画面を表示するなどの対応が必要になります。これらも iOS アプリでは無かった挙動です。

ぼく:細かいところとはいえ、感覚的にはけっこう iOS とは違う操作感になりますね。デザイン面ではどうですか?

いよちゃん:アイコンも iOS と異なり、サイズや、さらにレイヤーに分けて作る必要があります。Apple TV 用のアプリを作る前には、Apple TV Human Interface Guidelines の確認が必要なります。
https://developer.apple.com/tvos/human-interface-guidelines/

ぼく:開発者は要チェックですね!

いよちゃん:エフェクトは思ったような動きにならないので、今回はシューティングのプログラムの関数を利用しました。ベジェ曲線みたいな軌道を計算してます。

ぼく:ベジェ曲線って知らなかったので今ググりましたw

出典: Wikipedia

いよちゃん:イラレのパスを描く時の曲線です。簡易的な関数だと思うので、実際のベジェ曲線とは違うかもしれないですけど。始点と終点を固定にして中間の 2 点を設定すると、中間点の近いところを通る曲線を描く関数を利用しています。
 
いよちゃん:あと、60fps だとあまり綺麗でなかったので、実際のフレームレートの倍のパーティクルを出したり、透明度を少し変えてキレイな軌道を表現しています。

ぼく:おぉ〜そういうの良いですね。端末の性能も上がってるので、最近だと 60fps だとギリギリ (ちょっとヌルヌルさが足りないかも...) ってなっちゃいますもんね。

いよちゃん:そのほか、Apple TV 内にデータを保存することはできるのですが、消える可能性があるので、iCloud に保存する必要がありました。

ぼく:なるほど、それも知らないと忘れがちなポイントですね。

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ぼく:コンテストの準備ではどんなことをしましたか?

いよちゃん:コンテスト向けに以下の点について考慮しました。

1. Apple TV の特徴を意識したゲームを開発する


TV は、大画面で複数で見ることが想定されるので、2プレイヤーに対応しました。

Apple TV に付属している Siri Controller は、購入時に1台しか付属していないので、コントローラ1台で遊べるように、ターン制にしました。

 

2. Apple がフィーチャーするアプリのトレンドに合わせる


Apple がフィーチャーするゲームは、多少傾向があるので、その中でミニマリズムなゲームのデザインにしました。
毎週 US と UK でフューチャーされているゲームをチェックして研究しています。

海外では、アップルにフィーチャーされるためのTipsとか出回っていますし。最近フィーチャーされているゲームも Apple TV 版も出していたりします。

デザイン面は、超リアルな感じか、ピクセルアートか、クロッシーロード風、あとは超ミニマルなシンプルでスタイリッシュなグラフィックが好きな感じですね。欧米では、ミニマルなのが毎週 1〜2 個フューチャされてます。

日本のゲームでは、国内向けのソシャゲか、あとは Oink Games さんなどの定番がカタいですね。

日本と欧米の違いは難しいところです。
日本のカジュアルゲームのようにバナー広告が多いゲームは、欧米のユーザーからは好まれません。
ゲームバランスも、欧米みたいに最初難しくすると日本のユーザーは怒るし、逆に海外のレビューを見ると「簡単すぎるのはゲームじゃない」って書いているも人いました。

3. 広告をどのように使うかを検討する


AppLovin 主催のコンテストということもあり、動画リワード広告を見ると 3,000 ゴールド取得することができ、プレイ中にそのゴールドを使用して、アイテムを利用することが出来るというようにしました。


ぼく:今後 tvOS でもそれ以外でも、こういうアプリ・ゲームを作りたいとかありますか?

いよちゃん:ゲームにより向き不向きがあると思いますが、可能であれば tvOS には対応したいと思います。
Dungeon Tiles はモバイル版も作ってから、おそらく 5 月末から 6 月頭のリリースになると思います。

ぼく:楽しみにしてます。インタビューありがとうございました & 改めて優勝おめでとうございました!!



Apple TV が答えなのかどうかは分からないが、今後世界でも日本でも「テレビがインターネットに繋がる」ことは間違いなく来る未来だと思う。

そこにゲームやアプリを配信できるオープンなプラットフォームがあり、課金や広告などマネタイズの手段も整備されてくると、大きな市場になるのではないだろうか。

その市場に大手が出てくるまでは恐らくまだもう何年か時間があって、それまでの間は (iPhone が出てから 2-3 年のスマホアプリ市場と同様) 伊與田さんのような個人デベロッパが活躍できる時代になり得る。

早くから参入して、プラットフォームの特性を理解したり、デザインや UX のノウハウを溜めたりしておくことは、(伊與田さんの話にもあったが) かなりの競争優位につながるんじゃないかしら。

というわけで、長くなったけどこのへんで。

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