2016/05/10

「サッカーを通じて得られるソフトスキル」子育てとサッカー (3/3) : GrowthHackStudio 広岡氏

お子さんがサッカーで活躍している様子を Facebook で post しているのを何度か拝見して、同じサッカー好きなパパとしては話を伺ってみないと!

と思って、Growth Hack Studio (グロースハックスタジオ) Co-founder で取締役の広岡 一実氏に、サッカーを通じた子どものグロースハックについて聞いてきたよ (適当)。

この記事は 3 記事中 3 記事目だよ。




ぼく : うちまだ何も習い事とか始めてないんですけど、僕もサッカー好きなんでサッカーやらせたいなぁとは思ってて。でもサッカー習い始めた瞬間、例えば、ほんとは野球のほうが才能あったかもしれないのにとか、本人的には実はバスケすげー好きになるポテンシャルがあったのにそれをやらないままになっちゃった、みたいなことが起こらないのかなぁって考えちゃうんですよね。

広岡氏 (以下「広岡」) : うちは幼稚園の時にバスケや陸上も習ってたし、色々やらせたよ。結果サッカー。

ぼく : ちゃんと色々やった結果選択してるんですね。お子さんが自分で選んだんですか?

広岡 : 面白いのが、サッカーが上手くなるために他のスポーツをやってるんだよ、全部。足が速いほうが相手を抜けるから足が速くなりたい、だから陸上部に入りたいって言い出して。今もまた、足が遅いから陸上やりたいって言い出しはじめた。

ぼく : その課題は、自分で考えたんですか?コーチとかから言われたんですかね?

広岡 : 言われたってのもあるし、数字で出るからね、タイムで。その課題を潰してみたいって思っただけでしょ。どれくらい本気で潰す気なのかはわからないけど。

ぼく : 面白いなー。ぼく、自分が小学校の頃サッカーやってた頃、そんな何が課題かとか考えずにやってましたよ。

広岡 : その期間は幼稚園で終わってる感じがする。サッカー習い始めてからでいえば、2 歳からやってるから、もう 4〜5 年とかになるからね。

ぼく : そっか、ぼく小 3 から始めたから、4〜5 年だともう中 1 とかか...

広岡 : 相手を「騙す」にはどうすればいいかみたいな話もしてる。よく考えてるよ、そういうの。視野の広さっていうのは徐々にみんな、 技術のレベルとともに上がってくる。良い場所にトラップできるようになれば、顔上げるまでの時間も早くなるし、パターンも身に付き始めてるからボールを止める前からだいたい「次はこーなんじゃないかな」って、早い子はもう気づいてる。

サッカー選手はあの仕事に向いていない?


ぼく : サッカー通じてうちの子色々学んでるなー、って実感はありますか?

広岡 : それはある。ものすごいある。もともと俺がサッカー好きな理由の 1 つが、選択肢が多いってとこなのよ。ドリブルする、パス出す、シュート打つ、いずれもどっちに向かうとか全部自由、にもかかわらずその時にデフォルトでい くつか選択肢の個数に制限があって。それを考慮した上で、無数にある選択肢の中からどれをチョイスするかっていう、これがすごく楽しくて。


ぼく : 選択肢が複数ある状況の中で、選択肢はこれとこれがあるねって把握して、その中からチョイスして、みたいなのが出来るようになってきてるってことですか。

広岡 : 上手くなってる。コーチとかにも「お前ここ見えてたか」って指摘を受けたりするんだよね。お前ここ見えてたか、こっち側の選択肢のほうがよかったんじゃないの、っていう突っ込みが。本人の中で当然、そうかもね、確かにそっち見てなかったよねって理解はあって。これが次の練習では選択肢として視野に入って、 プレイで出せるか出せないか、っていうので学んだかどうかが分かる。

バディではこんなん出来る子もいる

広岡 : 視野の広さはねやっぱりサッカーが 1 番つきやすい。そういう風に考えるとまあよう学んでるなとは思う。

ぼく : なるほどね。確かにスポーツによっては、例えばアメフトとかポジションによっては、プレイごとに何をしなきゃいけないのかって最初から決められてたりしますもんね。

広岡 : 勝手な印象で、すげー偏見なこと言うと、サッカー選手はエンジニアには向いてないんじゃないかって思う。曖昧なんだよ。「だいだいあのへん」でいい。野球とかアメフトとかって、絶対こうでなければならない、ってパターンの応酬がもっと強くなるから、よりいかに自分に与えられた役割を確実にこなすか、そのルールをみんなが遂行するか、って考え方になっちゃう。サッカーって最後曖昧じゃん。

ぼく : 曖昧ですね。監督の指示通りにプレイは進まないですもんね。

広岡 : いくわけがない。しかもその作戦を練ってる時間もない。ってなると、その瞬間瞬間でガッて、いくつかあるフレームの中から選ぶかっていう、その選択は個人のスキルだとか脳に依存しやすい。自由さがデカい。

ぼく : それがエンジニアに向かないと。

広岡 : そう。あと昔思ったのが、サッカー選手はゴルフに向いてない。集中力の使い方が全然違う。ゴルフって、最後あんなちっちゃなボールをあんなちっちゃいカップに入れきらないといけないでしょ。サッカーのシュートは半分以上曖昧だからね。左上のほう、右下のほう、とか。

広岡 : 集中力の使い方があって、ゴルフはティーショットが一番ゆるくて広いの。最後になっていってシュッと線になっていく、ってのを 18 回やるわけ。サッカーは、30 分とか 45 分っていう中で、時々体がガッと集中力使っていくっていうね。

ぼく : 確かにね、見るともなしに全体的にふわっと周りを見とく、って状態を続ける...みたいな。

広岡 : だから最近スプリント回数が論点になって。サッカー選手って以外と全力疾走の回数は多くねーなって思うもん。ここ一番でだけスプリントする。集中力を、30 分間とか 40 分間、1 回の瞬間のためにやってる感じだよね。その集中力の考え方が違う。

ぼく : 面白い、なるほどね確かに。マラドーナも、90 分の中でボール持ってるのは 2 分だけだった、とか言いますもんね。

広岡 : その瞬間のためだけに、長い時間を使って、ひたすら何かやってるんだよね。自分でボランチやってみたとき、ボランチってスプリントよりも、ダラダラずっと走り続けるんだなって思ったんだよ。ちょっとずつポジション直して、空いたスペース埋めて、とか。トップのほうが全力疾走の数が多いっていうか、疲れ方の質 も違うし。

ぼく : 確かに、ボランチでスプリントはあんまりないですね。

広岡 : インターセットが狙えるタイミングでボールサイドにキュッて寄るときか、カウンターで一気に上がったれー、っていうとき以外はボランチはほとんどスプリントしない。でもずーっと確かに動いてる。

ぼく : フォワードとか、歩きながらちょっとだけ体の向きとか変えるくらいですもんね、自分が仕事しないときは。

広岡 : どれもこれも曖昧なんだよね。野球のピッチャーみたいな「この中にこのボールを投げて」っていう絶対的なルールが、サッカーって無いから。それが良いのか悪いのかわからないけど。

ぼく : 確かに、その人がやってたスポーツで、性格だったり、どのぐらい深く・長く集中できるかとか、影響されてる気はしますね。

広岡 : 僕の中では比較的、サッカーやってた人には器用な人が多いかな。でも、何かの専門家ってのは少ないかもしれない。

ぼく : 確かになー。専門家って逆に言うと、1 つ強いところがあるけど他のことはあんまり出来ないよ、みたいな。

広岡 : どっちがいいか問題だね。

子どもが壁にぶち当たったら?


ぼく : お子さんがサッカーやってる中で、壁にぶち当たったこととかってありましたか?

広岡 : あるある。小学 1 年生の真ん中ぐらいから壁だったんじゃないかな。やっぱ早生まれで体ちっちゃいし、30 人もいたら試合に出れないこととか多くて。

ぼく : お子さんはどういう風なリアクションだったんですか?例えば、お父さんに助けを求めてくるとか。

広岡 : 特にそういうこともなかった。だいたい練習みてるし、終わった後にどうだったとかどうのとか話はするけど。

ぼく : どういう話をするんですか?個別具体的なプレイの話とか?

広岡 : まず最初、練習向かう車の中とかで、今日は何をやるのって聞く。攻撃を頑張んの、守備を頑張んの、ドリブルを頑張んの、とか何か 1 個頑張るこをと決める。で、終わった後にどうだったかって今日の点数を聞く。だいたい高い点数を言ってくる。

ぼく : 何を頑張るみたいなのは、自分から出てくるんですか?

広岡 : それは出てくる。けど、終わった後出てこないときはある。「なにが悪かったの?」「言いたくない」って。

ぼく : 自分でも何がだめだったのかって分かってそうですね。

広岡 : 分かってる。だからそれ指摘すると怒るし。外から見てても同じ課題が見えるよ。ただ、それが体の大きさに起因する問題、がちょっと出てて。

ぼく : 先ほどおっしゃっていた、1 年生の後半のタイミングですね。


広岡 : 僕が言ってたのは、体の大きさに起因するってことは、体がデカくなったら解消する。これは外部環境だ。だから、体がデカくなったときに一気にバンっていける 準備をしましょう、と。それが結局、トラップだったり、足元の基礎的な話になったり。今はお前より体がデカいあいつが活躍してるけど、基礎とかやってない から、体が整ってどっちが基礎あるのってなったときに重要だよって言って、出来るだけ体で負けたことを気にさせないようにしてる。

ぼく : それ良いですね。目の前の「体で負ける」ってとこばっかり気にしがちですもんね。

広岡 : それはもう時とともに解決するから。できるだけ足元の、本人に出来そうな話をする。解決できない問題に対して意識を向けないように、とは言ってる。しょうがないもん、体が小さいし、解決しようがない。

ぼく : 面白い。なんか広岡さんの性格みたいなところがみえてきます。

広岡 : まんまでてるんだろうなとは思う。解決できるようになったら解決するから、なにをアセットにしときましょみたいな感じだよね。

サッカーと仕事で一番大事なことって?


広岡 : サッカーにおける KPI って、俺の中でいかにボールを止められるかなんですよ。ボールを止める技術が高いやつが絶対に勝つと思ってて。蹴り方が下手だろうがそんなに飛 ばなかがろうが、ボールが自分のコントロール範疇に止められるっていうのが第 1 歩かなって。そこで負けなければ、その先は得意なプレイに流れればと。ただファーストタッチで足元にボールをピタっと止めるっていうのは、次のシチュエー ションが決まってくるから。

ぼく : トラップミスると、選択肢ほんとつぶれますもんね。

広岡 : 一気に消えるね。ほんとに細かい話なんだけど、遠脚でタッチするとか、試合で相手が出た瞬間に効く。そういう感じの基本が一番かな。だから基礎練なんのためにやってたかっていうと、トラップのためにやってた。

ぼく : お子さんには、トラップ難しいような浮き球を蹴ったりとか?

広岡 : できるだけ強めのパスは蹴ってる。これぐらいのスピードは止められる、これは止められない、ってわかればいいかなって。止められるボールでも、体勢が良けれ ばこれぐらいの早さでも止められる、これは体勢がよくても止められない、とかもあるよね。強弱、左右、とか...そんな狙った通りにも俺蹴れてないけど ね。

ぼく : 「サッカーの KPI はボールを止められるかどうかだ」みたいなのは、仕事でもあります?技術なのか意識なのかわかんないですけど。

広岡 : やっぱりいいインプットの量を増やせるかじゃないかな。方法は 2 つあると思うんだけど、俺は誰かに聞きに行く派。考えをまとめる前にもう聞きまくって、ある程度情報がたまった段階で、もともと想定してたことが合ってた か答え合わせをするタイプ。やっぱりインプットがないと、アウトフットは出ないよね。

ぼく : なるほど。

広岡 : 普通のサラリーマンでもメンターをつけましょうみたいな話も、基本的には全部いいインプットのため。それがまぁ、サッカーでいうトラップみたいなもんじゃない。SNS 見るのも、本読むのも。紙で日経読むのもすごく重要なことだと思う。

ぼく : 紙はやっぱ、電子で読むのと全然違いますよね。

広岡 : 広いからじゃないかな、面積的に。紙で見るって、局地戦っていうよりかは、上から俯瞰で見るかんじじゃん、記事を一気にバッと。で、自分の好きなものに フォーカスしていく。基本的に脳みその動きって Google Map みたいな動きをするのかなって思うんだよね。まずバーッて広く全体を見て、ぐーって寄っていって、いや違った、こっちか、ってやっていって。Google Map のあの感じは、世界で一番いけてるUXだと思う。

ぼく : ちょっと広いところから、ギューンって。

広岡 : 相対的な距離感覚だとか、どの駅から近いのかとかが分かる。あれは全ての UX の中でダントツにいけてる気がする。新聞も、さっき言ったサッカーに近いんだけど、どこが空いてんだ、どういう構造なんだって、マーケットをまず粗々で見る。荒く見て細かくして、また荒く見て、の繰り返し。

ぼく : Web とかアプリとかのニュースとかだと、タイムライン形式で出てくるだけで、全体どうだったっけみたいなのは分からないですもんね。ニュースアプリとか、金融、グローバル、タブがいっぱいあるんですけど、全部いっぺんにはみれないですもんね。

広岡 : 全体像を見てから個別を見る癖がある人がニュースアプリとか見ると、自分の頭の中で紙面を作れるんだと思う。ここは経済面のここだな、みたいな。

広岡 : あとよく言うのが、日経読んでると、この記事がでたのはあの時のあれが原因かなとか、連続性・ストーリーで見られるようになる。全体のストーリーラインがどういう風になってるのか、みたいなのを把握するっていう意味で、継続して初めて価値がありますみたいな。

ぼく : 今見てる二次元じゃなくて、昨日・今日・明日の記事で、連続で三次元でみると初めて繋がって見えると。面白い。


ぼく : あと何か、子どもの教育論・サッカー論で言い残したこととかあります?

役割分担、得意不得意、仕事でも同じ?


広岡 : できるだけ現役でいようと、自分もプレーを続けようと思ってる。やってないやつに言われると、子どもも多分ムカつくと思うの。少なくとも土俵が変わっちゃうんだよね。できるだけ、プレイイングマネージャー、現場の気持ちもわかった状態でいたい。

ぼく : 非エンジニアがエンジニアとのコミュニケーションに困るケースも、そこが理由にあるかもしれないですね。

広岡 : それはある。あたりまえなんだよね。やったことないから、わかんねぇんだよね。

ぼく : 逆にやったことのある人は結構リスペクトもってくれたりしますよね。エンジニアでも、会社経営してた方とかは、面倒くさい作業や自分のやりたくない・得意じゃないことをやってくれる人に対して「ありがたい」みたいな気持ちになったりする。

広岡 : 自分は CFO とか管理系がバックボーンなんだけど、お金周りの仕事にも 3 つ種類あって。お金を集める、増やす、維持する。それぞれに得意な人がいる。この 3 つのパターンで適正が違うんだよね。集めるのが得意な人が、意外と増やすのが苦手だったり、その逆だったり。

ぼく : 創業 3 代目社長が前代と同じやり方だと上手くいかない、みたいなのもそのせいかもしれないですね。

広岡 : 0→1, 1→10, 10→100, っていう役割分担とかもそうだよね。そういうのも含めると結構、自分がもってる価値観って極めて狭いなと思ってて。思うけどでもなかなか、経験してないから、相手が何言いたいのかとか、すぐ腹落ちするような伝え方とかが出来ない。ゴールキーパーとフォワードとかもそうで、やったことないと相手の思いは本当のところは分からない。

ぼく : それでいうとぼく、全ポジション経験あるんですよ。小学校でキーパーやって、高校の最後にはフォワードまで上がって。留学して、背が低かったからお前フォワードやれってなったんですけどね。

広岡 : 俺も中 3 でキーパーやったよ。同学年でキーパーやってた子が、勉強するっていって辞めやがって。俺は中盤やってたんだけど、前線とかバックより層が厚かったから。しんどかったね~。モチベーションコントロールがしんどかった。

ぼく : 性格的に向いてなかったんですか?

広岡 : 全然向いてない。落ち着きが足りない(笑)。今やってる事業もそうだけど、事前にしっかり計画立ててっていうよりは、走りながら PDCA 回すタイプだからね。

ぼく : リアクティブなポジションは向いてないんですね。キーパーやってそのへんは少しは適正ついたり、変わったりしたんですか?

広岡 : サッカー脳は明らかに上がった。それは間違いない。だって後ろからずっとみてるから。キーパーやってるかやってないかで雲泥の差があったと思うね。

広岡 : キーパーやっててよかったなって思ったのが、前職の時に初めて管理本部をやったとき、キーパーやってた時の近い感じになって。やっと全体図っていうか、会社組織ってどうなってるんだとかが、後ろから見てて分かるって感覚と近かったね。

ぼく : お子さんにもキーパーやらせてみたいなって思いますか?

広岡 : 遊びではたくさんやったらいい。でも自分が本当にキーパーやりたいならやればいいけど、最近やりたくないって言うことが多い。体が小さくてボールが飛ばないから。器用だから、1 年生の頃はパントキックが上手に出来て活躍できてたけど、今はみんな出来るようになってきたから優位性がなくなった。そこで距離が出るか出ないかが差別化要因になるんだよね。

ぼく : なるほど、わかりやすい。

広岡 : あと、痛いしね。ボールが顔にガーンってあたるから。たぶん野球でもみんなキャッチャーやってみたいって言うけど、ファールチップ一回でも顔面喰ったら「二度とやりたくない」みたいなのに近いと思うの。憧れはあるんだと思うけど思った以上に痛いの。

ぼく : 現実ですよねそこは。痛いわあれは、確かに。顔とか蹴られますしね。



というわけで最後は痛い話だったけど、サッカーや教育を通じた子どものグロースについて伺ったよ。
サービスのグロースに悩んでる方は Growth Hack Studio に相談しよう! (PR だけどお金はもらってない)



この記事は 3 記事中 3 記事目だよ。


Q

0 件のコメント:

コメントを投稿