2013/09/03

中国アプリデベロッパーと喋って感じた「アプリ海外展開の難しさ」

"ニ〜〜〜ハオ〜〜〜〜〜!!!"
2013 年 8 月中旬、北京 (中国) に出張に行ってきた。

目的は北京で開催されるモバイルゲームイベント (東京ゲームショウの中国版みたいなもの?) で、日本のモバイルアプリ市場についての講演をするため。
それを通じて、中国のアプリデベロッパーにもっと日本進出意欲を高めてもらい、会社としてのプロモーション支援ビジネスを拡大しようってわけだ。

(ちなみにこの記事の中でいう「アプリデベロッパー」は、アプリ内課金を主な収益源とするゲームを想定している。)

中国に限らずだけど、海外のデベロッパーが日本に多く進出してくるようになると、プロモーションやローカライズ等で日本国内にお金が落ちてくる。
その海外マネーを日本に流入させるのがミッションの、外交官とか商社マンみたいな気持ちで行った。
(もちろん、ひとりで妄想してテンションを上げていただけである)

講演は 30 分だけだが、その前日・前々日や講演後に、たくさんの中国デベロッパーに会って直接話をすることが出来た。
名刺交換しただけで 30-40 人ぐらい。
中には収益的に月間数億円は稼いでいたり、ダウンロード数で 1,000 万を超えるようなトップデベロッパーも何人かいた。

その中で共通して感じたのは 2 つ。
  1. 中国トップデベロッパーは海外進出、特に日本・韓国進出に強い意欲を感じている
  2. ただし日本・韓国ともに市場が独特すぎて、中国にいる人 / 中国人からはどうすれば成功できるのかよくわからん

1. 中国トップデベロッパーは海外進出、特に日本・韓国進出に強い意欲を感じている


当然っちゃ当然で、日本も韓国も市場規模がデカいというのが最大の理由。
ソースは App Annie Index
界隈の人にとっては今更だが一応キャプチャも載せておく。
2013年4-6月 Google Play 収益 TOP 5 (AppAnnie)

加えて、米国やヨーロッパと比べて文化的に近いというのも、日本・韓国を進出先として検討する感覚的な理由になっているらしい。

それは中国や韓国の同僚と喋っていても肌感覚でなんとなくわかる。
例えば年上や目上の人を敬うといった、元々儒教国家ならではの感覚・文化的な近さってのを非常に感じる。

例えば飲み会で乾杯するとき、発声は「カンパイ」とか「カンベイ」とか何かすごい近いし、グラスを相手より下げて敬意を表すみたいなことも共通しているらしい。
(若者諸君、ちゃんとやってるか?この旧きよき飲み会文化。ぼくは新卒時代ぜんぜん出来てなかったぞ)

2. ただし日本・韓国ともに市場が独特すぎて、中国にいる人 / 中国人からはどうすれば成功できるのかよくわからん


一方で、市場の独自性ってのがいずれの国も強く、進出を妨げているというのも事実。

例えば中国では Google Play がサービス提供しておらず、Android マーケットは 3rd party のものが数百個ほど乱立しているという。
iOS については Jail Break (脱獄) させて使っているユーザーが非常に多いとか。

アドイノベーション社 石森さんのこの資料が、わりと新しくて網羅的なので、わかりやすいと思う。



韓国については、Sumsung のお膝元なので (なのか理由はわからんが) 、とにかく OS でいうと Androidのシェアが高い。
スマホ普及率も 70〜80% を超えている。
通信環境もめちゃくちゃ良くて、地下鉄とかでも普通に繋がるし、街中だとそこらじゅうで wi-fi が飛んでるし、LTE の普及もどんどん進んでる。

実際去年の夏に行って見たカンジ、ガラケーはオッサンが使っているのを 2 人見ただけだったし、電車の中ではヘッドホンをつけた若者が大きめのスマホをずーっといじっている姿をよく見た。

そして Kakao 。
プラットフォームとしては Google Play がメジャーだが、その中に更に配信プラットフォームとして Kakao (チャットアプリ Kakao Talk で有名。日本でいう LINE ゲームみたいなもの) があり、ゲームはそれ経由のダウンロードが非常に多い。 

このあたりはデータも含めて、メタップス社 佐藤さんの記事に詳しい。

 【Google Play】1年で見えてきた【北米+日本+韓国】3つの巨大アプリ市場ざっくりまとめ。 (Apr 7, 2013)
 【韓国GooglePlay攻略】 韓国でAndroidアプリを出す際に見ておきたいポイントまとめ (Jan 7, 2013)

これらのマーケットへの進出は、多くの日本のデベロッパーにとっては「何だかよくわからん。難しい!」と認識されている。
だからこそ、上記のようなノウハウを持っている会社は非常に貴重な存在だ。

それと全く同じように、日本のマーケットも「どうやったら成功できるのか、よくわからん」という風に、中国のデベロッパーからは見られている模様だ。
特に、日本のユーザーがどういうコンテンツを好むのか、という部分 (微妙な文化的な差異) が彼らからは良くわからないらしく、すげー質問された。

プラットフォームとしては、パズドラ以降ネイティブアプリがメジャーになってきている昨今、とりあえず App Store と Google Play を押さえておけば基本 OK 。
プロモーションも、お金あるところはブーストとかアドネットワークとか、代理店を通じて一通りやっているところもちらほら。

ただ、実際それで大ヒットになっているかというと中々そういう事例はまだ少ない。
その理由がどこにあるかというと、彼らも感じているところで、結局日本のユーザーに好かれて、長い期間アクティブに遊んでもらう、更には一定割合チャリーンと課金してもらうための、コンテンツ作り・運営のノウハウ部分だ。

まぁ考えてみれば、そりゃそうだ。
日本のデベロッパーを見ても、ビジネス的に上手くいってるところとそうでないところの差異は、突き詰めるとここの差分に行き着く。
プロモーションとかは、同じ代理店とか使ってればある程度ノウハウが横展開されるわけで。

言語のローカライズは、金かければちゃんとできる。
ただ、コンテンツのカルチャライズ (文化的な差異を適合させること、かな) と、日本人が喜ぶ運営 (サポートとか、バグ後の対応とか) のところは、誰かちゃんと日本人ユーザーの気持ちが分かっている人がいないと、ハンドリングが難しいってのは避けられない事実だろう。

なので、そういうアドバイス、さらにガッツリとハンズオンでサポートできるような人・会社があれば、中国デベロッパー向けのコンサルかレベニューシェアでけっこう良いビジネスが出来ると思う。
単にプロモーションの支援ってだけじゃなくて、実際アプリを開発・運用した経験を踏まえた、成功による利益を共有するパートナーシップって形が良いんだろうな。

でも相手が中国企業ってなると、また独特の商慣習とかがあったりするんだろうから (ぼくは今回はただ喋っただけなので、そのへんはよくわからない) 、全部出来る人・会社はかなり限られてくるんだろうな。

そんなことを考えた中国出張だった。

この 2 年で中国・韓国・シンガポール・インドに出張を達成したので、あと APAC だとオーストラリア、それからやっぱりマウンテンビュー本社と、アイルランドのオフィスにも行ってみたいなあ。

Q
 

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